皆さんはNest.js(読み方:ネスト・ジェーエス)というフレームワークをご存知でしょうか?
Web開発業界では様々な製品が発表される中、未だに大きな成長を続けているのが特徴です。
そんな中で一際大きな注目を集めているのが、Nest.jsです。
Nest.jsはさまざまなフレームワークがある中で大きな注目を集めており、魅力的な特徴やメリットがあります。
しかし、2024年7月現在、そこまで日本語の情報が多くないため、馴染みがないという人も少なくないでしょう。
それでは、Nest.jsとは何か、Nest.jsの特徴やメリット・デメリット、Nest.jsとNext.jsとの違いについてご説明しましょう。
Nest.jsとは?
Nest.jsとは、フロントエンドからバックエンドまで一貫してTypeScriptでの開発を実現できるフレームワークであり、JavaScriptにおけるバックエンド開発の主流とされているExpressとシェア率を大きく分けるまで成長しています。
このことから、バックエンド開発にこだわるならExpress、フロントエンドからバックエンド開発まで一貫して開発したいならNest.jsのどちらかと言われるほどです。
まだ日本語の情報は少ないですが、それでも今後のWeb開発で主流のフレームワークとして活用されると予想できます。
Nest.jsの基本情報は、以下の通りです。
リリース日 | 2017年 |
作成者 | カミル・ミシュリエヴィチ (Kamil Myśliwiec) |
主な用途 | サーバーサイドのアプリケーション開発 |
主な特徴 | TypeScriptベース、モジュール式構造、依存性注入、Angularに似た構造 |
関連するフレームワーク | Express.js、Fastify など |
公式サイトURL | https://nestjs.com/ |
また前述したTypeScriptについて詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧いただけたらと思います。
Nest.jsの特徴
Nest.jsの特徴は、以下の通りです。
- TypeScriptがベースになっている
- 柔軟性に優れている
- モジュール式構造が採用されている
それでは、Nest.jsの特徴についてご説明しましょう。
TypeScriptがベースになっている
Nest.jsはTypeScriptがベースになっているのが特徴です。
これまではフロントエンド開発をJavaScriptやTypeScriptで行い、バックエンド開発をJavaScriptやPHP、Pythonなどのプログラミング言語で行うケースが主流でした。
しかし、Nest.jsを活用すればフロントエンド開発からバックエンド開発まで一貫した開発ができるのがポイントです。
Nest.jsを活用すれば、フロントエンド開発とバックエンド開発で人員を分ける必要性がなくなり、Nest.jsだけで一貫した開発ができるようになります。
さらに、TypeScriptはJavaScriptに型をを追加した言語であり、コードのバグもいち早く発見できるので大規模なアプリ開発を行うのに向いています。
柔軟性に優れている
Nest.jsは開発の柔軟性に優れているのも特徴です。
Nest.jsは依存性注入による開発ができるのがポイントで、コードの再利用がやりやすく、モジュール間の独立性を保ちつつ柔軟なアプリ開発の構築ができます。
車でたとえる場合、車を動かすにはエンジンが必須です。
そのエンジンは外部から用意することになりますが、車が特定のエンジンタイプに依存しているようでは柔軟性が足りません。
そこでエンジンを注入することにより、車が特定のエンジンタイプに依存することがなく、どんなタイプのエンジンでも車に投入できるのがポイントです。
依存性注入は車というコンポーネントが必要とするエンジンという依存物を外部から提供することによって、コードの柔軟性を利便性を高められるでしょう。
柔軟性が高まることでテストとメンテナンスがやりやすくなるのも特徴です。
モジュール式構造が採用されている
Nest.jsはモジュール式構造を採用しているのが特徴です。
モジュール式構造とは、開発するアプリケーションを細かく分割して制作し、それぞれが完成したときに組み合わせて大きなアプリケーションを制作する方法です。
一つの工程に集中して取りかかるのではなく、細かく分割することで作業時間の低減やチーム開発の速さや柔軟性を高めます。
Nest.jsのメリット
Nest.jsのメリットは、以下の通りです。
- エンジニアが確保しやすい
- 静的型付けのメリットが受けられる
- 拡張性が高い
- テストフレームワークが標準搭載されている
それでは、Nest.jsのメリットについてご説明しましょう。
エンジニアが確保しやすい
IT業界は全体的に人手不足と言われている一夫で、Nest.jsはエンジニアが確保しやすいメリットがあります。
Nest.jsはフロントエンド開発からバックエンド開発まで一貫した開発ができるため、フロントエンド開発もしくはバックエンド開発しかしたことがないという人でも、短期間の教育で戦力になれる可能性があるでしょう。
人手不足と言われている一方で、Nest.jsによって貴重なエンジニアが確保できるのは大きな
静的型付けのメリットが受けられる
Nest.jsはTypeScriptをベースにしているため、静的型付けのメリットが受けられるのがポイントです。
保守性が高くなるうえに、モジュール式構造によって多人数開発に滅法強くなります。
拡張性が高い
Nest.jsは拡張性が非常に高く、目的に応じて好みのカスタマイズができるのがポイントです。
セキュリティ性能を高めたり、データベース上の操作を快適にしたりと、多種多様なサードパーティ製のパッケージやモジュールに対応できます。
テストフレームワークが標準搭載されている
Nest.jsはテストフレームワークが標準搭載されているのもメリットです。
外部からテストフレームワークを導入する必要性がなく、手間がかかるような設定を行うこともないため、すぐにテストやメンテナンスなどができます。
Nest.jsのデメリット
Nest.jsのデメリットは、以下の通りです。
- 初心者にとって学習コストが高い
- 日本語の情報が少ない
- 古いフレームワークと比べてコミュニティの規模が小さい
それでは、Nest.jsのデメリットについてご説明しましょう。
初心者にとって学習コストが高い
Nest.jsは従来のプログラミングなどと違い、スムーズに操作するにはどんな機能が搭載されているのか、その機能で何ができるのか学習しなければなりません。
ある程度操作に慣れないと思うような開発ができない可能性があるため、今まで静的型付けの言語を扱ったことがない人や初心者によって学習コストが高くなります。
日本語の情報が少ない
Nest.jsは比較的新しい言語なので、日本語の情報が少ないのがデメリットです。
公式の英語のドキュメントは非常に充実しているので、英語が読める人にとっては非常に有用な教材になります。
しかし、英語が読めない人にとっては情報の少なさによってさらに学習ハードルが高くなってしまいます。
古いフレームワークと比べてコミュニティの規模が小さい
現在使われている長い歴史を持つフレームワークであれば大規模のコミュニティがありますが、Nest.jsは比較的新しいのでコミュニティの規模が小さいです。
コミュニティの規模が小さいと分からないことがあったときに質問しても回答数が少ない可能性があり、特定の問題を解決するためのソリューションやライブラリもあまりないのが現状です。
Next.jsとの違い
Next.jsはNest.jsと同様、TypeScriptのフレームワークの一つに該当しますが、React.jsをベースにしている点が大きな違いと言えます。
ただ、Nest.jsと違って元々JavaScriptで開発されていることから、TypeScriptに対応するために別個で設定する必要があります。
Next.jsはサーバー機能を持っており、フォルダ内にファイルを配置するだけで自動的にルーティングが作成される機能もあります。
さらにWeb開発をスムーズにするための機能もデフォルトで利用できる他、画像サイズに応じてオリジナルの画像をトリミングしてから配信する最適化の機能もあるのがポイントです。
Next.jsについてもっと詳しく勉強したい方は以下の記事を是非ご確認ください。
まとめ
Nest.jsは比較的新しいフレームワークであり、非常に将来性が高いものとして注目を浴びています。
モジュール式構造や拡張性の高さ、エンジニアの確保がしやすくなるなどさまざまなメリットがありますが、その一方で初心者にとって学習コストが高く、日本語の情報も少ないといったデメリットもあります。
とはいえ、Nest.jsは今後急速に成長する可能性が高いため、いずれコミュニティの規模が大きくなって勉強しやすくなるでしょう。
興味がある人は、是非ともNest.jsを勉強して活用してみてはいかがでしょうか。
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