公開日:2023.03.26 更新日:2023.05.26

企業のDXにノーコードはどのように活用できるか。メリット、デメリットを解説

GeNEE_ノーコード開発でのDX

現在、大企業を中心として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の動きが日に日に加速しています。企業がDXを推進することによって業務改善や組織スリム化を図り、新たな価値の創出、競争優位性の獲得が可能になるからです。ただこのDXを正しく進めていくには、デジタルやIT知識、そしてDXに関するノウハウが必要不可欠になります。そのためデジタル人材やIT人材(以下、デジタル人材等とします。)が担う役割は今後益々大きくなると言っても過言ではありません。

しかしながら昨今のデジタル人材等の不足により、DXが思うように進んでいない企業も少なくありません。そのような場合に効果的なのが、ノーコードと呼ばれる開発手法です。ノーコードを採用することで、デジタル知識のない人でもシステム開発を進めることができるでしょう。

この記事では、ノーコードの活用方法、メリット、デメリット、事例などを紹介します。

 

DXで活用されるノーコードとは何か?

ノーコードとは、プログラミング言語を使用せずにWebサービスやアプリケーションなどのシステムを開発する手法です。ノーコード開発とも呼ばれています。の対義的な意味合いでよく使われる用語として、フルスクラッチ、アリコードと呼ばれる開発手法があります。フルスクラッチやアリコードは、システムエンジニアやプログラマーが、プログラムをひとつ一つプログラミングし、開発する手法のことです。

ノーコード開発は、マウスのドラッグ&ドロップ操作で直感的に開発が行える方法です。GUI上に設置された汎用的な部品(パーツ)を配置するだけで、簡単に画面や機能を作成することができます。そのためプログラミングの知識やノウハウがないスタッフでも短時間で簡素なシステム開発が行うことが可能です。(但し、GUI上で設置された部品や機能しか使用できないので、複雑なシステム、中規模~大規模なシステム、企業の中核を担う基幹システムや業務システムには適していないケースも多数存在します。)

デジタル人材等が不足している昨今においては、ノーコード開発は注目されている手法と言えます。自社にデジタル人材が在籍していない場合でも、ノーコード開発を利用することでDXを推進していくことが可能となるでしょう。

 

 

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ノーコード開発を行うメリット

ノーコード開発では、プログラミングの知識なしにシステムを開発することが可能です。そのため、さまざまなメリットがあります。デジタル人材等の不足が懸念されている現代においては、注目度の高い開発手法と言えるでしょう。ここではノーコード開発のメリットについて説明します。

知識やノウハウのない担当者でも開発できる

通常のシステム開発の場合、JavaやPHP、C言語、Ruby(Ruby on Rails)といったプログラミング言語を使用してソースコードを記述していきます。そのため、システム開発にはデジタル人材等が必要不可欠でした。他方、ノーコードを用いてシステム開発を行う場合は、ソースコードを記述していく必要がありません。そのため、プログラミングに関する知識やスキルが無くても、開発することが一応は可能となります。ノーコード開発では、シンプルなシステム開発、Webサイト、Webアプリ、スマートフォン向けアプリ開発などの叩き台(市場動向を把握するためのMVPや試作品のようなもの)を作ることが可能です。ノーコード開発用のプラットフォームを使用し、マウス操作、キーボード操作などで作成を進めていきます。

新技術を活用しやすい

ノーコード開発は、ノーコード運営会社が提供する専用のプラットフォーム上で簡易的なシステム、アプリの作成を行うものがほとんどです。専用のプラットフォームには汎用的な部品(パーツ)が準備されており、GUI上で、パーツをポチポチと配置していくことで開発を進めます。使用できるパーツには、AIなどの新技術が組み込まれたものも一部用意されています。そのため、パーツを配置するだけで新技術を活用することが可能とも言えます。

従来、新技術を活用しながら開発を進めようとすると、新技術に精通したデジタル人材等を調達・確保したり、新技術を習得するための学習期間を設けることが必要でした。しかしノーコード開発ではこれらが不要となり、新技術に関する知識やノウハウが無くても新技術の活用ができると言えるでしょう。

開発工数・開発コストの削減

ノーコード開発では、あらかじめ用意されているパーツを組み合わせて簡易的なシステムやアプリを制作します。そのためエンジニアの採用コストや委託コストもかかりませんし、難度のあるコーディング作業等も不要になるため、開発工数や開発コストを削減できる可能性を秘めています。(開発前の要件定義や設計作業が不十分の場合、手戻り等が増え、結果的に開発工数や開発コストが膨らむケースも増えているため、ここでは「可能性を秘めている」という表現を使用させていただきます。)システムやアプリ開発をスピーディーに行うことで、エンドユーザやクライアントの要望に応じたものを即座に提供することが可能になります。

ノーコード開発を行うデメリット

一見利便性の高そうなノーコード開発。しかしながら、ノーコード開発にもデメリットが存在しています。プログラミング知識やノウハウを必要としないことが逆に不便になってしまうケースが多々起こり得るのです。ここではノーコード開発のデメリットについて説明します。

GeNEE_ノーコード開発でのDXの道のり

細かなカスタマイズや機能拡張ができない

先述の通り、ノーコード開発を採用する場合、ノーコード運営会社が提供する専用のプラットフォームを使用します。プラットフォームの中に用意されているパーツなどを配置し、システムやアプリを作成します。そのため、あらかじめ用意されているパーツ以上のことは一切できません。通常のITシステム開発と比較すると、自由度が低いという大きな欠点を抱えています。

フルスクラッチ開発では、必要となった機能を新しく追加開発したり、使いやすいように細かくカスタマイズしたりして自由に制作することが可能です。またサーバやネットワークといったインフラ面もチューニングできます。結果として、要望に応じたシステム開発ができるのです。しかしながらこのノーコード開発では、新たな機能が必要となった場合でもプラットフォーム内にそのパーツや機能が用意されていなければ組み込むことが不可能なのです。

このようにノーコード開発は誰でも簡単にシステム開発ができる反面、用意されている決まった機能しか実装することができません。そのため中規模から大規模な開発、複雑なシステムを開発する場合には不向きと言えるでしょう。複雑なシステムの場合にはフルスクラッチ開発で行う方が自由度が高く後戻りを防ぐことも可能です。

またノーコード開発で作ったものをフルスクラッチ開発に切り替える場合、倍近くの開発工数、開発コストがかかります。「初期にノーコードで簡素なシステム、アプリを作ったから移行するのが非常に大変。」というケースが増えつつあります。将来、数十年使用する想定のシステムやアプリの場合には、やはりフルスクラッチで開発された方のが後々のリスクを防止できると言えるでしょう。

開発環境に依存してしまう

ノーコード開発は専用のプラットフォーム上で開発を行うため、利用するプラットフォームの環境にどうしても依存してしまいます。使用できる機能やデザイン、セキュリティなど、プラットフォーム側で準備されているものしか利用することができません。またプラットフォームを提供している企業がノーコード開発のサービスを終了してしまうと、システムやアプリは完全停止(使用不可状態)となります。このようにプラットフォームを選択する際は、サービスの終了のリスクを考えておく必要があると言えるでしょう。

またプラットフォームには使用料金が設定されています。使用料金を引き上げられても開発環境は手放せないため、受け入れるしかありません。プラットフォームを選択する際は、費用面の検討が必要不可欠と言えるでしょう。

さらには、プラットフォームにセキュリティ上の欠陥があった場合、開発したシステムにも影響があるためこれは非常に深刻な問題と言えます。サイバー攻撃などを受けて、データが改ざんされたり情報が漏洩したりする可能性があります。ノーコード開発を採用する場合、機密情報や顧客情報等の取り扱いやセキュリティについてもしっかりと検討する必要があるでしょう。

中規模~大規模開発、難度の高さや独自性の強い開発には不向き

中規模から大規模システム開発の場合、複雑な機能や利用する企業独自の機能が必要となる場合がほとんどです。そのため、ノーコード開発のプラットフォームでは対応していない機能がほとんどとなるはずです。そのためノーコード開発は、中規模から大規模のシステム開発、アプリ開発には不向きと言えます。

仮にノーコード開発で中規模以上のシステムやアプリを開発した場合、限定された機能しか実装ができないため、使われないシステム、アプリになってしまう可能性が非常に高いです。中規模以上のシステムやアプリを開発する場合には、フルスクラッチで開発することをお勧めします。

通常のフルスクラッチ開発でしたら、複雑な機能や難度の高い機能実装にも対応できます。また利用する企業の専用機能を実装することができ、それらが競合他社との差別化要素になることがほとんどです。システムエンジニアなどの技術力を持った開発会社への依頼や連携が必要になりますが、要望に応じたシステムやアプリ開発、そしてそれら逐次発展させていくことができます。

 

ノーコード開発と相性の良い事例

DXを推進する上では、ノーコード開発は利用価値のある手法と言えます。企業内にIT人材がいなくても成果を上げることができるためです。ここでは、ノーコード開発をDXに活用した事例を紹介します。

事例1:ペーパーレス化システムのノーコード開発

株式会社カクイチは、物置や倉庫、ガレージ、土木や農業用のホース、ミネラルウォーター、鉄鋼二次製品などの製造と販売、環境や健康事業、ホテル事業など多岐に渡って事業を展開している企業です。近年では、農家の生産性向上を支援する「アクアソリューション事業」に注力しています。

アクアソリューション事業では、業務効率化の一環として伝票のペーパーレス化に取り組みました。従来の紙ベースの伝票作業を、すべてスマートフォンで完結できるシステムの構築です。このシステムをノーコード開発で実施し、社内に導入しています。

従来の業務 ・紙の伝票を作成し、社内システムへ転記を行っていた。

・受注、出荷、設置それぞれの情報を独立して管理していたため、抜け漏れが発生することが多かった。

・データ確認のためSlackを利用しているが、投稿作業が手間となっている。

システム開発 ・作業報告と見積システムがリアルタイムに連携できるように、ノーコード開発でスマートフォンアプリ「Platio」を開発した。

・受注、出荷、設置の各種情報の連携処理を1.5ヵ月の短期で開発した。

システム導入後 ・スマートフォンアプリ「Platio」によって伝票のペーパーレスが実現した。見積システムとPlatioの連携も可能となった。

・「Platio」で報告するだけでSlackへ通知され投稿作業が短縮化された。

事例2:自動FAX送信システムをノーコード開発

株式会社ケーホウは、高等学校向けに進路ガイダンスの開催、企画、大学の見学ツアー実施などを行っている企業です。大学見学ツアーや進路ガイダンスでは、参加依頼や案内書、確定連絡などすべてをFAXで実施していました。内勤スタッフがExcelファイルを印刷し、一件一件宛名を手書きして送信する形です。この業務が大きな負担となっていました。この一連の業務を自動化できるシステムの開発を、ノーコード開発で実施しています。

従来の業務
  • 注文書のデータをExcelに転記し印刷。宛先を一件一件手書きで記入しFAXで送信していた。
  • 多い日は500枚ほどFAX送信を行うため、終日かかることもあった。繁忙期は残業や休日出勤で対応している。
システム開発
  • 注文書からExcelにFAXの宛先とデータを自動で取り込みできるソフトウェアをノーコードで開発した。
  • FAXを時間指定で自動送信できるソフトウェアもノーコードで開発している。
  • 大学から返信された進路ガイダンスの「参加/不参加」票をOCR出取り込み、Excelに参加大学一覧として保存できるソフトウェアをノーコードで開発した。
システム導入後
  • FAXの宛先が自動生成されるため、一件一件手書きしていた作業が削減できた。
  • FAX送信が自動化されたことで、人の介入が不要となった。
  • 単純作業が自動化されたため、内勤スタッフの負担が大幅に軽減されている。

 

まとめ

今回はノーコードの活用方法、メリット、デメリット、活用事例などを紹介しました。デジタル人材等の不足に伴い、DX推進が滞っている企業も少なくないでしょう。今回紹介したノーコード開発を利用すれば、デジタル人材等を調達・確保しなくてもシンプルなシステム開発やアプリ開発が可能となります。ただし、ノーコード開発を採用する場合には潜在的リスクを孕みます。将来的なシステム、アプリの利用ケースをしっかりと検討し、ノーコードで開発すべきか、フルスクラッチで開発すべきか、しっかりと情報収集し、判断するようにしましょう。

 

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