公開日:2022.06.04 更新日:2025.03.31

DX促進に欠かせない技術|ABCD技術とIoT・5G・RPAなどを徹底解説

DX支援企業_株式会社GeNEE

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が高まり、多くの企業がDXを推進するために、新たな技術の導入や既存システムの適応を進めています。

しかし、「DXを実現するために必要な技術とは何か?」という疑問を持つ企業も少なくありません。

DXの成功には、単にデジタル技術を取り入れるだけでなく、自社の課題や業界の特性に適した技術を選定し、戦略的に活用することが重要です。

本記事では、DX推進において不可欠な技術について詳しく解説し、活用方法を紹介します。

※企業のDX化における課題については、こちらの記事も参考にしてください。

DXを支える主要技術

DXを推進する上で欠かせない技術要素として、『ABCD技術』という考え方があります。これは、DX化を実現するために必要な技術の頭文字を取ったものであり、それぞれ以下の分野を指します。

  • A:AI(人工知能)
  • B:ビッグデータ・BI(ビジネスインテリジェンス)
  • C:クラウド・サイバーセキュリティ
  • D:データ統合・デザイン思考

まずは、それぞれの技術について詳しく見ていきましょう。

A=AI(人工知能)

AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、学習や判断を行うプログラムやシステムのことを指します。この技術は1950年代から研究が進められ、これまでに3つのブームを経て進化してきました。

第一次AIブーム(1950~1960年代)は、「探索」や「推論」を用いたルールベースのプログラムが開発され、チェスや数学の定理証明を行うAIが登場しました。次に、1980~1990年代の第二次AIブームでは、「知識ベースシステム」や「エキスパートシステム」が登場し、一定のルールや知識を与えた上で推論を行う技術が発展しました。

そして、2000年代以降の第三次AIブームでは、ビッグデータと機械学習の実用化によりAIが急速に進化しました。ディープラーニング(深層学習)が登場し、AIが自ら特徴を学習することが可能になりました。これにより、画像認識(顔認証)、音声認識(スマートスピーカー)、自然言語処理(チャットボット)などの技術が飛躍的に発展しました。

現在、AI技術はビジネスのあらゆる分野で活用されています。たとえば、顧客対応にAIチャットボットを導入したり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と組み合わせることで業務の自動化を実現したりするケースが増えています。また、小売業や製造業では、AIを活用した市場予測や在庫管理の最適化が進んでいます。金融やセキュリティ業界では、不正取引の監視や設備異常の検知などにも活用されており、その影響力はますます大きくなっています。
AIの導入により、業務の効率化が進み、人材不足の解決策としても期待されています。そのため、DX推進にとって不可欠な技術のひとつといえるでしょう。

参照:「人工知能(AI)研究の歴史」(総務省)をもとに株式会社GeNEE作成

B=ビッグデータ・BI

ビッグデータとは、事業に役立つ知見を導き出すために、さまざまな形式のデータを蓄積し、分析する技術を指します。かつては統計学やパターン認識の場で使われていましたが、近年では動画や音声、テキストなどのリアルタイムデータの蓄積と分析が可能になり、活用の幅が大きく広がっています。

一方、BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業の情報システムなどに蓄積される膨大な業務データを収集・分析し、その結果を可視化することで、業務や経営の意思決定を支援する仕組みのことです。BIツールを活用することで、レポート作成、データ分析、マーケティング戦略の策定など、より迅速で正確な意思決定が可能になります。

近年では、AIと組み合わせたBIツールの進化も進んでおり、データから自動的にインサイトを抽出し、意思決定をより効率的に行うことができるようになっています。

DXを推進するためには、データの収集と分析が不可欠です。また、データの可視化を通じて、わかりやすく活用できる仕組みが求められます。そのため、ビッグデータとBIの活用は、DX推進において重要な要素の一つであると言えるでしょう。

参照:「ビッグデータとは何か」(総務省)をもとに株式会社GeNEE作成 

C=クラウド・顧客体験・サイバーセキュリティ

クラウドとは、クラウド・コンピューティングのことで、インターネットを介してデータやシステムを提供する仕組みのことを指します。

従来のオンプレミス環境では、企業がサーバーを自社に設置し、導入から維持管理までを行っていましたが、クラウド技術の発展により、企業はITインフラの構築コストを削減し、場所を問わずデータの利用や業務の遂行が可能になりました。さらに、AI・ビッグデータ・BIなどのDX関連技術の多くがクラウド上で提供されており、企業の柔軟なIT運用を支えています。

顧客体験とは、製品やサービスを利用する前から後までの一連のプロセスで、顧客が得る価値や満足度のことを指します。企業がDXを推進する際には、単に業務のデジタル化を行うのではなく、顧客のニーズを分析し、それに基づいたサービスの提供を強化することが重要です。例えば、アンケートデータや顧客の行動履歴を分析し、サービスのカスタマイズや新商品の開発につなげることで、顧客満足度を向上させることができます。

サイバーセキュリティは、DX推進に伴い重要性が増している分野です。企業がクラウドやデジタル技術を活用するにつれ、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクも高まっています。システムの安全性を確保するためには、ゼロトラストセキュリティの導入、データ暗号化、アクセス管理の強化などの対策が不可欠です。顧客の信頼を維持し、企業の資産を守るためにも、サイバーセキュリティの確保はDX推進の上で欠かせません。

このように、クラウド・顧客体験・サイバーセキュリティの3つの要素は、DXを支える重要な技術であり、企業が競争力を高める上で不可欠な要素となっています。

D =データ統合・デザイン思考

データ統合(Data Integration)とは、さまざまなシステムやデータソースから得られる情報を一元的に集約し、統一されたフォーマットで管理・分析できるようにすることを指します。

企業では、異なる部門やシステムごとに分散したデータを効率的に活用するために、データウェアハウス(DWH)やデータレイクの導入が進められています。これにより、ビジネスの意思決定を迅速化し、データドリブンな戦略を推進することが可能となります。

一方、デザイン思考とは、新しい技術やシステムをより使いやすく設計するための手法です。単に高度な技術を導入するだけではなく、最終的にそのシステムを利用するユーザーのニーズや課題を把握し、直感的でストレスなく使えるデザインを実現することが求められます。例えば、UI/UXの最適化や、ユーザーインタビューを活用したフィードバックの取り込みなどが、デザイン思考の一環として重要視されています。

DXの成功には、技術そのものだけでなく、それをどのように人が活用するかが鍵となります。データ統合によって企業の情報資産を最大限に活かし、デザイン思考を通じて直感的で利便性の高いシステムを構築することで、DXの効果を最大化できるのです。

※DXの概要と重要性について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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DXの関連技術

DXを支える主要技術の他に、DX推進を強化するための関連技術が存在します。下記のDXに関連する技術は、データ収集、処理、通信、業務自動化などさまざまな分野で活用され、DXの進展を加速させています。

  • IoT(モノのインターネット)
  • エッジコンピューティング
  • デジタルツイン
  • ブロックチェーン
  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
  • 5G通信技術

それぞれの技術について詳しく解説していきます。

IoT(モノのインターネット)

IoTとは「Internet of Things」の略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。家電製品や自動車、産業機器、パーソナルコンピューターなどの物理的なデバイスにインターネット接続機能を持たせ、リアルタイムでデータを収集・送信・操作できる仕組みを指します。

IoTの代表的な活用例として、スマートホームシステムがあります。例えば、自宅の冷暖房機をスマートフォンを通じて遠隔操作することが可能です。また、工場の生産ラインでは、IoTセンサーを活用して設備の稼働状況をリアルタイムで監視し、故障の予兆を検知することで、メンテナンスの効率化が進められています。

さらに、IoTデバイスから収集されたデータをAIと組み合わせて分析することで、業務の自動化や最適化が可能になります。たとえば、小売業では、IoT技術を活用して在庫管理を自動化し、需要予測の精度を向上させることで、無駄なコストを削減することができます。
DX推進において、IoTは重要な役割を果たし、業務の効率化や新たなビジネスモデルの創出に貢献しています。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、データ処理をクラウド上ではなく、デバイスやローカルネットワークの「エッジ(端)」で行う技術です。

従来のクラウドコンピューティングでは、大量のデータがクラウドに送信され、処理・分析された後に結果が返されるため、通信遅延や帯域の負荷が課題とされていました。エッジコンピューティングは、これらの課題を解決し、リアルタイム性が求められるシステムに最適な技術です。

例えば、自動運転車やスマートファクトリーでは、ミリ秒単位の判断が必要になります。エッジコンピューティングを活用することで、データ処理の時間を短縮し、より迅速な制御が可能になります。また、セキュリティ面でも、クラウドにすべてのデータを送るのではなく、ローカル環境で処理することでデータ漏洩リスクを軽減できます。

エッジコンピューティングは、IoTとの相性が良く、デバイスが大量のデータを生成する環境では、クラウドとの適切なバランスを取りながら処理を分散させることが求められます。
DXの推進において、エッジコンピューティングは、リアルタイム処理や通信の最適化を実現する重要な技術となっています。

デジタルツイン

デジタルツインとは、物理的な世界のデータをリアルタイムで収集し、仮想空間上に精密なデジタルモデルを構築する技術です。IoTセンサーやクラウドコンピューティング、AIと連携することで、現実世界の変化を即座にシミュレーションし、より高度な分析や最適化が可能になります。

この技術は、製造業や建設業、都市計画などの分野で広く活用されています。例えば、スマートファクトリーでは、生産設備の状態をデジタルツイン上で監視し、故障の予兆検知や保守作業の最適化を行うことができます。また、都市計画においては、交通量や環境データをデジタルツインで可視化し、効率的な都市設計を行うために活用されています。
デジタルツインの導入により、業務プロセスの可視化とシミュレーションが容易になり、企業はより精度の高い意思決定が可能になります。DXの推進において、リアルタイムデータを活用した高度な最適化を実現するために、デジタルツインは不可欠な技術となっています。

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、取引データを分散型のネットワーク上に記録し、改ざんや不正を防ぐ技術です。従来の中央集権型のデータ管理と異なり、ブロックチェーンではネットワーク上の複数のノード(コンピューター)が取引の正当性を検証しながらデータを共有するため、高いセキュリティ性と透明性を持ちます。

この技術は、主に仮想通貨(暗号資産)で広く知られていますが、近年では金融、医療、物流、行政などさまざまな分野で活用が進んでいます。例えば、金融業界では、送金や決済プロセスの効率化にブロックチェーンを活用し、取引の信頼性を向上させています。また、医療分野では、患者データを安全に管理し、関係機関との情報共有を円滑にするために利用されています。

さらに、サプライチェーン管理においても、ブロックチェーンを活用することで、製品の生産・流通・販売の履歴を正確に記録し、偽造品対策や品質管理の強化が可能になります。
ブロックチェーン技術の導入により、データの透明性と信頼性が向上し、企業のDX推進を大きく後押しする要素となっています。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、業務プロセスを自動化するためのソフトウェア技術です。従来、人間が手作業で行っていたルーチンワークを、ロボット(ソフトウェア)によって自動化することで、業務の効率化やコスト削減を実現します。

RPAは、特に定型業務や繰り返し作業が多い業務に適用され、経理・財務、人事、カスタマーサポート、データ入力などの分野で広く活用されています。例えば、請求書処理や在庫管理、顧客情報の更新など、手作業では時間がかかる業務をRPAによって迅速かつ正確に処理することが可能です。

近年、AIと組み合わせた「インテリジェントRPA」が登場し、より高度な判断を伴う業務の自動化も可能になっています。これにより、データの分析や予測、文章の読解なども自動化できるようになり、企業のDX推進において重要な役割を果たしています。
RPAの導入により、従業員は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中することができます。そのため、DXの推進を加速させる技術の一つとして、多くの企業で導入が進んでいます。

5G通信技術

5G(第5世代移動通信システム)は、DX推進において欠かせない通信技術の一つです。従来の4Gと比較して、高速・大容量通信、低遅延、多接続といった特徴を持ち、さまざまな業界のデジタル化を加速させます。

例えば、製造業では5Gを活用したスマートファクトリーの導入が進んでおり、リアルタイムのデータ分析や遠隔操作が可能になっています。また、自動運転技術においても、車両同士の通信(V2X)を高速化し、安全性の向上に貢献します。

さらに、医療分野では遠隔診療の高度化が期待されており、5Gの低遅延技術により、遠隔手術やリアルタイムの健康データ管理が実現されるとされています。

このように、5G通信技術は、DXの基盤として多くの業界で活用が進んでおり、今後の技術革新においても重要な役割を果たしていくでしょう。

まとめ

DXを成功させるためには、単に最新技術を導入するだけでなく、自社の現状を正しく把握し、戦略的に技術を活用することが重要です。本記事で紹介したAI、ビッグデータ、クラウド、サイバーセキュリティ、データ統合・デザイン思考に加え、IoTやエッジコンピューティング、5G通信技術などの関連技術を組み合わせることで、より効果的なDX推進が可能となります。

また、技術導入の際には、組織全体での理解を深め、業務プロセスの変革を意識することも不可欠です。新たなシステムの導入や既存システムの最適化を通じて、DXの実現を加速させましょう。

DXは一度の導入で完了するものではなく、継続的な改善が求められるプロセスです。企業の競争力を高めるためにも、常に最新の技術トレンドを把握し、適切な形で取り入れていくことが重要です。

※会社のDX化を行う際に注意すべき点については、こちらの記事をご覧ください。

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監修者
飯嶋シロ
コンテンツマーケティングディレクター
<略歴>

慶應義塾大学卒業後、日系シンクタンクにてクラウドエンジニアとしてシステム開発に従事。その後、金融市場のデータ分析や地方銀行向けITコンサルティングを経験。さらに、EコマースではグローバルECを運用する大企業の企画部門に所属し、ECプラットフォームの戦略立案等を経験。現在は、IT・DX・クラウド・AI・データ活用・サイバーセキュリティなど、幅広いテーマでテック系の記事執筆・監修者として活躍している。

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