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公開日:2026.07.30 更新日:2026.08.10

【サンプル・テンプレート付】RFP(提案依頼書)の書き方ガイド

斎藤裕一
監修者
取締役 斎藤裕一
【サンプル・テンプレート付】RFP(提案依頼書)の書き方ガイド

目次

「システム開発を発注したいが、RFP(提案依頼書)に何を書けばいいのか分からない」——初めてRFPの作成を任された担当者の多くが、この壁に直面します。

RFPは、開発会社(ベンダー)から質の高い提案を引き出し、プロジェクトを成功に導くための最重要ドキュメントです。しかし、書き方が曖昧だと提案の質にばらつきが生じ、追加費用や納期遅延といったトラブルを招きかねません。

本記事では、システム発注を初めて担当する方に向けて、RFPの書き方を項目別のサンプル・記載例付きで一から解説します。社内検討からベンダー選定までの全体プロセス、記載すべき項目、失敗しないためのポイントまで網羅しているので、専門知識がなくても大丈夫です。

さらに、すぐに使えるRFPテンプレートも無料で配布しています。ゼロから作るのが不安な方は、あわせてご活用ください。
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RFP(提案依頼書)とは?意味と読み方をわかりやすく解説

RFP(提案依頼書)とは、システムやアプリの開発・導入を検討する発注企業が、依頼候補となる開発会社(ベンダー)に対して「何を実現したいか」「どのような要件を満たしてほしいか」を提示し、提案書の提出を求めるための文書です。

RFPの定義と日本語での意味

RFPの読み方など基本情報は、以下です。

  • 正式名称:Request for Proposal
  • 読み方:アールエフピー
  • 日本語訳:提案依頼書
  • 作成する人:発注側(システムを導入・開発したい企業)
  • 渡す相手:開発会社・ベンダー(提案を依頼する候補先)
  • 役割:要件を正確に伝え、各社から比較可能な提案を引き出す

RFPは、複数のベンダーに同じ条件を提示することで、各社の提案を同じ土俵で比較できるようにする「プロジェクトの共通ルールブック」としての役割を果たします。RFPがないまま口頭で依頼すると、各社が異なる前提で提案を持ち寄るため、内容の粒度や範囲がバラバラになり、公平な比較ができなくなります。

RFPには、主に次のような情報を記載します。なお各項目の書き方は「RFPの基本構造」および「項目別の書き方サンプル」で解説します。

  • プロジェクトの背景・現状の課題
  • システム化の目的・達成したいゴール(KPI)
  • 求める機能要件・非機能要件
  • 予算・スケジュールの想定
  • 提案書の提出方法・評価基準

RFI・RFQとの違い

RFPと混同されやすい書類に、RFI(情報提供依頼書)RFQ(見積依頼書)があります。この3つは「発注プロセスのどの段階で使うか」が大きく異なります。

項目RFIRFPRFQ
正式名称Request for InformationRequest for ProposalRequest for Quotation
日本語名情報提供依頼書提案依頼書見積依頼書
目的情報収集・市場調査提案の募集・比較検討価格の比較・調達
依頼する内容会社情報・製品概要・概算具体的な要件に対する提案確定仕様に対する正式見積
回答の形式一般的な情報・資料具体的な提案書正式な見積書
使うタイミング検討初期段階ベンダー選定段階発注直前段階

基本的な流れは「RFI(情報収集)→ RFP(提案募集)→ RFQ(価格決定)」の順に進みます。ただし、すでにある程度要件が固まっている場合は、RFIを省略してRFPから始めるケースも一般的です。

RFI・RFQとの違い

RFPは「情報収集(RFI)」と「価格決定(RFQ)」のあいだに位置し、提案そのものを募って比較検討するための書類という位置づけになります。なお、RFPと混同されやすい「要件定義書」との違いは、次で詳しく解説します。

RFPを作成する目的とメリット

RFPを作成する最大の目的は、プロジェクトの成功確率を高めることです。要求事項を文書として明文化することで、発注側は最適なベンダーを選びやすくなり、開発リスクを事前に回避して、期待どおりのシステムを予算内・スケジュール内で導入できるようになります。

RFPは「発注側からの一方的なお願い文書」ではなく、発注側とベンダーの双方にメリットがある点が重要です。

発注側が得られる3つのメリット

  1. 見積もりの精度が上がる:「作りたいもの」が曖昧なまま見積もりを取ると、ベンダーはリスクを見込んで高めの金額を提示するか、逆に安すぎて後から追加費用が発生しがちです。要件を明確にすることで、適正で精度の高い見積もりを得られます。
  2. 提案の質が揃い、比較検討しやすくなる:複数社に提案を依頼(コンペ)する場合、RFPという共通のルールがないと、各社がバラバラの解釈で提案を持ち寄ってしまいます。条件を統一することで、各社の提案内容と実力を横並びで公平に比較できます。
  3. 「言った・言わない」のトラブルを防げる:プロジェクト後半で多いのが「この機能も入っていると思っていた」という認識のズレです。RFPで合意事項を文書化しておくことは、プロジェクトを守る”保険”として機能します。

なお、RFPは提案内容・費用・スケジュールが整理された資料でもあるため、経営層や関連部署への説明・意思決定資料としても有効です。選定の根拠が明確になり、社内承認をスムーズに得やすくなります。

ベンダー(受注側)にとってのメリット

  • 提案精度が向上する:「何を解決したいか(目的)」「何を重視して選ぶか(評価基準)」が明確なため、的外れな提案を避け、自社の強みと課題を合致させた具体的な提案ができます。
  • 適正価格を提示できる:要件が明確であれば、仕様変更リスクに備えた予備費(バッファ)を上乗せする必要がなくなり、現実的なスケジュールと競争力のある価格を安心して提示できます。

つまり、質の高いRFPは発注側とベンダーの双方にとって「良い取引の土台」になります。

RFPと要件定義書の違い

RFPと混同されやすいのが「要件定義書」です。両者は作成するタイミングと目的が大きく異なります。

項目RFP(提案依頼書)要件定義書
作成タイミングベンダー選定ベンダー選定
目的提案を依頼し、比較・選定する実装する仕様を確定する
主に作成する人発注側発注側とベンダーが協働
記載の粒度要求レベル(何を実現したいか)仕様レベル(どう実現するか)
位置づけ選定のための依頼文書開発のための設計の土台

一言でいえば、RFPは「どのベンダーに頼むか」を決めるための書類、要件定義書は「決まったベンダーと何をどう作るか」を固めるための書類です。この関係を発注プロセス上に置くと、次のようになります。

RFPと要件定義書の違い

RFPで「何を実現したいか(要求)」をベンダーに伝えて最適な1社を選び、そのベンダーとともに「どう実現するか(仕様)」を要件定義書に落とし込む——という流れになります。

関連記事:RFPと要件定義の違いとは?書き方・記載項目・作成手順をわかりやすく解説

社内検討からベンダー選定までの全体プロセス

RFPの作成は、システム発注という一連の流れの中の一工程です。全体像を把握しておくと、「RFPをいつ・何のために書くのか」が明確になり、作業の抜け漏れを防げます。

発注プロセスは、大きく次の5つのフェーズに分かれます。

システム発注の5フェーズとRFP作成の位置づけ

フェーズ1:社内検討

システム導入の目的や課題を、社内で整理する最初の段階です。ここが曖昧なままだと、以降のすべての工程がぶれてしまいます。課題・ニーズの洗い出し、業務改善の方向性の検討、プロジェクト目標の設定、予算・スケジュールの概算などを行います。

フェーズ2:RFI発行

RFI(情報提供依頼書)を発行し、候補となるベンダーの情報を集める段階です。各社の企業情報・実績・製品概要を収集し、市場動向を把握したうえで、提案を依頼する候補ベンダーを絞り込みます。要件がある程度固まっている場合は、このフェーズを省略してRFPから始めることもあります。

フェーズ3:RFP作成

集めた情報と社内で整理した要求をもとに、RFP(提案依頼書)を作成し、候補ベンダーへ発送する段階です。要求事項の整理、RFP文書の作成、社内レビュー・承認を経て、各社へ提示します。本記事で詳しく解説するのは、この工程です。

フェーズ4:提案評価

ベンダーから提出された提案書を評価する段階です。提案書の受領・確認、内容の評価、プレゼンテーションの実施などを通じて、依頼先の候補をさらに絞り込みます。RFPで事前に評価基準を定めておくと、この評価が公平かつスムーズに進みます。

フェーズ5:ベンダー選定

最終的な発注先を決定する段階です。最終交渉、契約条件の確認、発注先の決定を経て、契約締結に至ります。ここで選んだベンダーとともに、次工程の要件定義へと進みます。

RFP作成(フェーズ3)は発注プロセス全体の”背骨”にあたる工程で、この出来栄えが後続の提案評価・ベンダー選定の質を大きく左右します。

RFP作成の進め方|5ステップと作成期間の目安

RFPは、いきなり本文を書き始めるとほぼ確実に抜け漏れが発生します。次の5つのステップに分けて進めることで、社内の合意を固めながら、精度の高いRFPを効率的に完成させられます。

各ステップの所要期間と、全体に占める時間の目安は次のとおりです。

RFP作成のステップとかかる期間の目安

RFP本文の作成そのもの(STEP1〜4)はおおむね1〜1.5ヶ月、ベンダーへの提示から提案書の受領まで(STEP5)を含めると約1.5〜2.5ヶ月が全体の目安です。

STEP1:社内課題の洗い出し・現状分析(1〜2週間)

最初に、「何に困っていて、何を実現したいのか」を社内で正確に把握します。ここが土台となるため、最も時間をかけるべきステップです。現場担当者へのヒアリング、業務フローの可視化、現行システムの棚卸しを行い、経営層・管理職にも方向性を確認しておきます。現場の実態を無視して機能だけで要件を決めると、使われないシステムになりがちなので注意が必要です。

STEP2:プロジェクトチームの結成・役割分担(〜1週間)

RFP作成を一人で抱え込まないための体制づくりです。推進担当者を選定し、システムを実際に使う関係部署(営業・経理・情シスなど)を巻き込みます。

あわせて、社内の承認フローと全体スケジュールを確定させ、「誰が・いつまでに・何を承認するか」を明確にしておきます。

STEP3:要件の優先順位付け(Must / Want)(1〜2週間)

洗い出した要望を、そのまますべて盛り込むのではなく、優先順位をつけて整理する重要なステップです。「絶対に必要な機能(Must)」「できれば欲しい機能(Want)」に仕分けし、予算・納期を設定します。

あわせて、性能・セキュリティなどの非機能要件もこの段階で整理しておきます。すべてを「必須」にすると、ベンダーが比較提案をしにくくなるため注意しましょう。

STEP4:ドキュメント作成・社内レビュー(1〜2週間)

ここでようやくRFP本文を作成します。整理した要求をRFPの構成(概要/提案依頼内容/選考の進め方)に沿って落とし込み、社内関係者のレビューを受けて修正・最終化します。

提出後の要件追加は大きな手戻りにつながるため、この承認段階で抜け漏れを徹底的に確認しておくことが肝心です。

STEP5:ベンダーへの提示・質疑応答対応(2〜3週間)

完成したRFPを対象ベンダーへ送付し、質疑応答(Q&A)に対応します。必要に応じて補足説明会を開き、認識のズレを解消します。この期間はベンダーが提案書を作成する時間でもあるため、余裕をもったスケジュール設定が求められます。最後に提案書を受領し、次のフェーズ(提案評価)へと進みます。

【規模別】RFP作成期間の目安

作成期間は、プロジェクトの規模や関係部署の数、既存システムとの連携の複雑さによって変動します。おおよその目安は次のとおりです。

プロジェクト規模RFP作成期間の目安
小規模(機能が限定的)2〜4週間
中規模(複数部署が関与)1〜2ヶ月
大規模(基幹システム・全社導入)2〜3ヶ月

いずれの場合も、STEP1の現状分析に十分な時間を確保することが、後工程の手戻りを防ぐ最大のポイントです。

RFPの基本構造|記載すべき項目一覧

RFPに記載する情報は、大きく概要」「提案依頼内容」「選考の進め方」の3に分けて整理します。この3部構成は、システム開発・Web制作・ERP導入など用途を問わず共通する、RFPの基本フレームです。

RFPの基本構造

RFPの3部構成(概要・提案依頼内容・選考の進め方)

概要|自社の状況と目的を伝える

「概要」は、自社の現状・課題・目指すゴールなど、プロジェクトの全体像をベンダーに伝えるパートです。ここが明確だと、ベンダーは自社のニーズに合った提案を用意しやすくなります。

項目記載する内容
本書の目的RFPの位置づけと目的を簡潔に示す
プロジェクトの背景システム導入に至った経緯・経営的背景
現状の課題現行の業務・システムで抱えている問題点
システム化の目的何のためにシステムを導入するのか
ゴール・KPI達成したい成果を定量的な指標で設定する
プロジェクト範囲提案を依頼する対象範囲(機器購入・保守の有無など)
発注者の会社情報自社の会社概要・組織図
現行システム構成現在使用しているシステムや連携状況
機器情報現行のPC・サーバなどの台数・スペック

② 提案依頼内容|ベンダーに提示してほしい内容

「提案依頼内容」は、どのような情報を盛り込んで提案書を作成してほしいかをベンダーに指定するパートです。RFPの中で最もボリュームが大きく、提案の質を左右する中心部分になります。

項目記載する内容
受注側(ベンダー)の会社情報企業情報・実績・得意業界の提示を依頼する
提案システム概要・構成提案システムの全体像と構成
機能要件(Must/Want整理)実装してほしい機能を優先度付きで指定する
非機能要件(性能・セキュリティ)性能・可用性・セキュリティなどの品質要件
UI/UX要件・画面イメージ対応デバイス・デザイン方針・画面イメージ
プロジェクトスケジュール要件定義〜リリースまでの全体スケジュール
プロジェクト体制・管理方針体制図・PMの経歴・進行管理の方法
成果物(納品物)一覧納品してほしいドキュメントなど
サポート・運用体制納品後の運用保守体制・SLA
概算費用(初期・月額)初期費用・運用費用の内訳を含む概算見積
制約事項・リスク現時点で判明している制約やリスク
契約内容契約形態・支払条件など

③ 選考の進め方|どう選ぶかを伝える

「選考の進め方」は、提案書を受け取ったあと、どのような手順・基準でベンダーを選定するのかを伝えるパートです。評価基準を事前に開示しておくことで、ベンダーはポイントを押さえた提案ができ、比較・選定の公平性も高まります。

項目記載する内容
選考スケジュール提案提出〜結果通知までの日程
提案書の提出期限提出締切の日時
プレゼン日程プレゼンテーションの実施日
選考結果の通知方法結果連絡の時期・方法
提案書提出先・担当者提出先・連絡先の情報
評価基準・方針評価で重視するポイント
採点方法・重視ポイント配点・採点の方法

なお、②の「受注側(ベンダー)の会社情報」は、フェーズ2でRFI(情報提供依頼書)を発行済みの場合は省略できます。RFIを作成していない場合のみ、ここでベンダー側の情報開示を依頼しましょう。

質の高いRFPを書くための6つの作成ポイント

同じ3部構成でRFPを作っても、書き方次第でベンダーから引き出せる提案の質は大きく変わります。ここでは、提案の精度を高め、後工程のトラブルを防ぐために押さえておきたい6つのポイントを解説します。

① 目的とゴールを明確にする

「何のためにシステムを構築するのか」を、達成すべきKPIとあわせて具体的に記載します。目的が曖昧なままだと、ベンダーは方向性を定められず、的外れな提案になりがちです。

ベンダーが提案しやすい状態を作ることが、質の高い提案を得る第一歩です。

② スコープ(対象範囲)を明示する

システム構築の対象範囲と対象外の境界を明確にします。「何をやるか」だけでなく、「何をやらないか」を書くことも同じくらい重要です。あわせて、IT機器の購入や保守の有無なども明記しておくと、提案の範囲がぶれません。

③ 要求事項は数値で書く

「処理が速いこと」のような形容詞的な表現は、ベンダーによって解釈が異なり、トラブルの原因になります。可能な限り定量的な基準に置き換えましょう。

曖昧な表現具体的な表現
業務を効率化したい受発注業務の処理時間を現状の50%に削減する
使いやすいシステムにしたい新入社員でも1時間の研修で基本操作ができる
高速に処理したい検索結果を2秒以内に表示する
データを一元管理したい営業・在庫・経理のデータを単一DBで管理する

④ 「要求」と「要件」を混同しない

RFPに書くのは、あくまで「要求(何を実現したいか)」です。「要件(どのように実現するか)」は、ベンダー選定後の要件定義フェーズで決めるもの。

解決策(手段)を先に決めつけてしまうと、ベンダーの専門知識を活かした最適な提案を受けられなくなります。

観点要求要件
意味何を実現したいかどのように実現するか
決めるタイミングRFPに発注側が記載選定後にベンダーと協働で定義
顧客情報を一元管理したいクラウドCRMを構築し既存基盤とSSO連携する

⑤ 開発体制と役割を明示する

自社側のプロジェクト体制と役割分担を明記します。「誰が最終意思決定をするのか」「業務側の窓口は誰か」が分かると、ベンダーは必要なリソースを正確に見積もれます。

あわせて、ベンダーに求めるPM・SEのスキルレベルや体制も要求事項に含めておきましょう。

⑥ Must / Want / Better で優先順位を整理する

機能要件は、すべてを「必須」にするのではなく、3段階で優先順位を整理します。全項目を必須にすると、予算オーバーになりやすいうえ、ベンダーが比較提案をしにくくなります。

優先度記号意味
必須(Must)必ず実現してほしい機能
希望(Want)できれば実現してほしい機能
あれば望ましい(Better)予算内で可能であれば実装してほしい機能

この優先度付けは、限られた予算・納期の中で「まず何を実現すべきか」を明確にし、スモールスタートを可能にします。

【項目別】RFPの書き方サンプル・記載例

ここからは、これまでのポイントを反映した具体的な記載例を、項目ごとに紹介します。そのままコピペして、自社の情報に書き換えるだけでドラフト(下書き)が作れます。 ※ 記載例に登場する会社名・数値はすべて架空のものです。

① 概要セクションの記載例

まずは、プロジェクトの全体像を伝える「概要」から。

表紙

営業支援システム導入プロジェクト 提案依頼書(RFP) 本書は、〇〇株式会社の営業支援システム導入に際し、ベンダーへの提案依頼内容を取りまとめたものです。 2026年MM月DD日 〇〇株式会社

ポイント:会社名・プロジェクト名・日付を必ず記載し、「提案依頼書(RFP)」であることを明示します。

プロジェクトの背景・課題

【背景】当社は現在、営業活動において以下の課題を抱えている。
【現状の課題】
・顧客情報がExcel管理のため、情報が分散し最新化されていない
・商談進捗が担当者任せで、組織的な案件管理ができていない
・月次レポートの作成に毎月約20時間を要しており、業務効率が低い

ポイント:「なぜ今このプロジェクトが必要か」を背景として記述します。課題は業務別・数値を使って具体的に書くと伝わりやすくなります。

目的・ゴール

【目的】SFA導入により営業活動の可視化・標準化を実現し、売上向上と業務効率化を図る。
【ゴール(KPI)】
・営業案件の受注率:現状15% → 目標25%(+10%)
・月次レポート作成時間:20時間 → 2時間以内
・顧客情報入力の翌日反映:達成率100%

ポイント:目的は1〜2文で簡潔に。ゴールは必ず数値(KPI)で定量化します。

機能要件・非機能要件の記載例

RFPの中でも、提案の質を最も左右する部分です。

機能要件(Must / Want整理)

【機能要件一覧】優先度:◎必須 ○希望 △あれば望ましい
◎ 顧客マスタ管理(顧客情報の一元管理・検索)
◎ 商談管理(ステータス・確度・金額・担当者)
◎ 日報・活動ログの入力・閲覧
○ 売上予実管理・レポート自動生成
△ 名刺管理・OCR取り込み機能

ポイント:◎/○/△の優先度で整理します。すべてを必須にすると、ベンダーが比較提案をしにくくなります。

非機能要件

【非機能要件】
・可用性:稼働率99.9%以上(計画停止を除く)
・性能:画面遷移・検索のレスポンス3秒以内
・セキュリティ:ISO27001取得、データ暗号化必須
・拡張性:ユーザー数50名 → 300名への拡張対応が可能なこと
・サポート:障害発生時4時間以内の一次回答

ポイント:「速いこと」「安全なこと」では不十分です。すべて数値・基準で具体化します。

本記事で紹介した記載例に加え、UI/UX要件・プロジェクト体制図・WBS・課題管理表のサンプルまでを1つのテンプレートに収録。穴埋め形式なので、自社の情報を入れるだけでRFPが完成します。
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③ UI/UX要件・画面イメージの記載例

システムの「使い勝手」に関わる要件です。文章だけで伝わりにくい部分なので、画面イメージの添付が効果的です。

UI/UX要件(デバイス・デザイン方針)

【対象デバイス・ブラウザ】PC(Win10/11)・タブレット・スマートフォン対応。Chrome / Edge / Safari最新版でのレスポンシブ対応。
【デザイン方針】コーポレートカラー(#XXXXXX)を基調。シンプル・直感的な操作性を重視。初期表示3秒以内(LTE回線想定)。
【アクセシビリティ】WCAG 2.1 AA準拠を目標。キーボード操作・スクリーンリーダー対応。

ポイント:デザイン方針を記載しておくと、ベンダー間の認識齟齬を防げます。コーポレートカラーや既存サイトのURLを共有するとより伝わりやすくなります。

画面イメージ・モックアップの提示方法

【画面イメージの提示例(添付資料として提供)】
・対象画面一覧:ログイン画面 / ダッシュボード / 検索
・一覧 / 詳細 / 申請・入力フォーム / 管理画面
・各画面に「この画面で何ができるか」「主要な操作フロー」を注記
・現行システムのスクリーンショットや競合サービスの参考URLの共有も有効

ポイント:モックアップは完成度よりも「何を実現したいか」が伝わることが重要です。手書きスケッチ・PowerPoint・Figmaのいずれでも構いません。添付することで見積精度が大幅に向上します。

なお、あわせてユーザー種別ごとの利用シーン(例:一般ユーザーはスマホから入力、管理者はPCで集計、閲覧専用は参照のみ)を書いておくと、UIの設計方針がより明確になります。

プロジェクト管理(スケジュール・予算・体制)の記載例

スケジュール・予算

【スケジュール(希望)】
・RFP提出締切:2026年MM月DD日
・プレゼンテーション:2026年MM月DD日
・ベンダー選定完了:2026年MM月DD日
・本稼働予定:2027年4月1日
【予算(税抜)】
初期費用:1,000万円以内 月額:50万円以内

ポイント:予算は上限を明示することで、ベンダーが範囲内で適切な提案を行えます。

プロジェクト体制・管理方針

【自社側体制】
PM:1名(最終意思決定)、業務担当:2名(要件確認)、IT担当:1名
【ベンダーへの要求事項】
・PM経験5年以上のPMアサイン
・週次進捗報告(課題管理表・議事録の提出)
・変更管理プロセスの明示(スコープ変更時の合意フロー)
・WBSの共有と進捗可視化(週次更新)

ポイント:自社体制を明示することで、ベンダーが必要なリソースを正確に見積もれます。PMの要件・報告ルールは必ず記載しましょう。

⑤ 選考の進め方(評価基準・採点配分)の記載例

選考スケジュール

・RFP配布・送付:2026年MM月DD日
・質疑応答期限:2026年MM月DD日
・提案書提出期限:2026年MM月DD日
・プレゼンテーション:2026年MM月DD日
・選考結果通知:2026年MM月DD日
・契約締結:2026年MM月DD日

評価基準・採点方法(配点例)

評価項目配点
機能要件への対応度30%
技術力・実績・導入事例20%
コスト(初期・月額)20%
プロジェクト体制・管理手法15%
サポート・保守体制10%
セキュリティ・信頼性5%

ポイント:評価基準を事前に開示することで、ベンダーはポイントを押さえた提案ができ、比較・選定の客観性も高まります。

以上が、RFPの主要項目の記載例です。ここで紹介した例に加え、画面イメージや体制図、選定後に使うWBS・課題管理表のサンプルまでをまとめた完全版テンプレートを無料で配布しています。ゼロから作るよりも、穴埋め形式で効率的にRFPを完成させたい方は、ぜひご活用ください。
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RFP作成でよくある失敗と注意点

RFPは、内容が曖昧だったり情報が不足していたりすると、提案の質のばらつき・追加費用・納期遅延といったトラブルを招きます。ここでは、特に陥りやすい失敗と、その対策を整理します。

まずは、よくある失敗パターンの一覧です。

よくある失敗対策
評価基準が不明確評価基準を明示し、関係部署で意識を統一する
目的・優先順位が曖昧目的を定め、Must/Wantで優先順位をつける
スコープの定義が不十分対応範囲と成果物を具体的に明記する
現状の情報が不足既存環境(CMS・システム構成など)を正確に記載する
現場の業務フローを無視現場へのヒアリングを行ってから要件化する
要件を詰め込みすぎるスモールスタートを前提に取捨選択する
提出後に要件を追加する提出前に複数名でレビューし抜け漏れを防ぐ

以下、特に重要な3つの注意点を詳しく解説します。

① 現状の業務フローを無視しない

新しいシステムを導入する際、現場の実際の動き(業務フロー)を無視して機能だけで要件を決めると、使い勝手の悪いシステムになりがちです。

必ず現場担当者にヒアリングを行い、「今どうやって仕事をしているか」「どこがボトルネックか」を把握してから、RFPに落とし込みましょう。

現場の声を軽視すると、導入しても使われず、期待した効果を得られません。

要件を詰め込みすぎない

「せっかくだから」とあれもこれも機能を盛り込むと、予算オーバーになるだけでなく、開発期間が延び、操作も複雑になります。

「必須(Must)」と「希望(Want)」の優先順位をつけ、まずはスモールスタートを目指すのが成功の秘訣です。機能は後から追加できますが、複雑になりすぎたシステムを後からシンプルにするのは容易ではありません。

提出後の要件追加は避ける

RFPを提出・公開する前に、複数名・複数部署で慎重に確認し、要件の抜け漏れがないかを徹底的にチェックしましょう。

ベンダーはRFPをもとに工数・体制・費用を見積もって提案しているため、後から予定外の要件が追加されると、工程や見積もりを検討し直す必要が生じます。

その結果、スケジュール遅延やコスト増大を招き、最悪の場合はベンダーとの信頼関係を損なうことにもなりかねません。

要件の抜け漏れを防ぐには、次のような対策が有効です。

  • RFP作成前に現行業務を洗い出し、一覧表にまとめる
  • プロジェクトメンバー全員でレビューを実施する
  • 解釈が分かれそうな箇所や矛盾点がないかをチェックする
  • 第三者の視点で読み直し、理解できない部分がないか確認する

なお、技術的にわからない部分(サーバースペックや最新のセキュリティ技術など)を無理に書く必要はありません。

「現在のアクセス数は月間〇〇万PVです。この負荷に耐えうるサーバー構成を提案してください」というように、プロであるベンダーに提案を求める書き方にすれば十分です。

良い提案を引き出すベンダー評価・選定のポイント

RFPを出して提案書が集まったら、次はどのベンダーに発注するかを決める段階です。ここで選定を誤ると、どれだけ良いRFPを作っても成果につながりません。提案書を評価する際のポイントを整理します。

まず、提案書を受け取ったときにチェックすべき観点は次のとおりです。

評価の観点確認するポイント
価格の妥当性金額の根拠・内訳が明確か。極端に安すぎないか
実績同業種・同規模の導入実績があるか
開発体制実際に担当するPM・メンバーの経験は十分か
提案の的確さ自社の課題を正しく理解した提案になっているか
コミュニケーション質問への反応が速く、説明が分かりやすいか

以下、特に重要な3つのポイントを解説します。

価格だけで選ばない

最も安い提案が、最良の提案とは限りません。極端に安い場合、「必要な機能が含まれていない」「テスト期間が短すぎる」「担当者のスキルが低い」といったリスクが隠れていることがあります。

金額そのものより、その価格の根拠を確認しましょう。費用の内訳が明確でない提案は、後から追加費用が発生しやすい点にも注意が必要です。

② 提案書だけでなく「体制図」と「実績」を見る

どれだけ提案書が優れていても、実際に開発するメンバーの経験が浅ければプロジェクトは失敗します。「誰がPM(プロジェクトマネージャー)を務めるのか」「類似案件の実績はあるか」を、体制図で必ず確認してください。

特に、自社と同じ業界・近い企業規模での導入実績があるベンダーは、業務とシステムのミスマッチが起きにくく、評価ポイントが高くなります。

③ コミュニケーションの相性を確認する

システム開発は、数ヶ月〜数年にわたる長期のプロジェクトです。そのため、担当者との相性も重要な選定基準になります。

「質問へのレスポンスが速いか」「専門用語ばかりでなく、分かりやすく説明してくれるか」といった点は、プロジェクト期間中のストレスや意思疎通のしやすさに直結します。

提案時のやり取りやプレゼンテーションの場は、この相性を見極める絶好の機会です。

これらの観点は、RFPの「選考の進め方」で設定した評価基準・採点方法とセットで機能します。RFP作成の段階で評価軸を明確にしておけば、提案が集まったあとの選定も、公平かつスムーズに進められます。

RFP作成に不安があれば開発会社への相談も有効

ここまで、RFPの書き方を一通り解説してきました。とはいえ、初めてシステム発注を担当する場合や、社内にIT人材が少ない場合は、要件の整理そのものに難しさを感じることも多いはずです。

そのようなときは、RFPを提出する前の段階で、開発会社に相談するのも有効な選択肢です。「発注してから相談するもの」と思われがちですが、実際にはRFP作成や要件整理の段階から相談できるケースは多くあります。

早い段階で相談することで得られること

  • 現状課題の整理・壁打ち:漠然とした課題を、要件として言語化する手助けが得られます
  • 実現可能性の確認:やりたいことが技術的に実現可能か、早い段階で判断できます
  • 費用感・スケジュール感の把握:想定予算と実現内容のミスマッチを事前に防げます
  • 要件の抜け漏れ防止:専門家の視点で、見落としがちな非機能要件などを補えます

こんなときは相談を検討

  • 初めてシステム・アプリの発注を担当する
  • 社内に要件定義やプロジェクト管理のノウハウが少ない
  • 大規模・全社導入で、関係部署が多く調整が複雑
  • やりたいことはあるが、要件としてまとまっていない

こうしたケースでは、無理にすべてを自社で書ききろうとするよりも、早めに専門家の視点を取り入れたほうが、結果的にプロジェクトがスムーズに進みます。

GeNEEでは、RFP・要件整理の段階からご相談いただけます

株式会社GeNEEは、スクラッチ開発・DXコンサルティング・AI開発・アプリ開発を手がけるシステム開発会社です。単に開発を請け負うだけでなく、RFPの作成や要件整理といった上流の準備段階からご相談を承っています。

「何から手をつければいいか分からない」「自社のRFPに抜け漏れがないか確認したい」といった段階でも構いません。システム・アプリ開発をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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RFP・テンプレートに関するよくある質問(FAQ)

Q1. RFPとは何ですか?

RFP(提案依頼書、Request for Proposal)とは、システムやアプリの開発・導入を検討する発注企業が、開発会社(ベンダー)に「何を実現したいか」「どのような要件を満たしてほしいか」を伝え、提案書の提出を求める文書です。読み方は「アールエフピー」。複数社に同じ条件を提示することで、各社の提案を公平に比較できます。

Q2. RFPと要件定義書の違いは何ですか?

RFPはベンダー選定”前”に発注側が作成する提案依頼文書、要件定義書はベンダー選定”後”に作成する詳細な仕様文書です。RFPは「何を実現したいか(要求)」、要件定義書は「どう実現するか(仕様)」を扱い、作成するタイミングと目的が異なります。

Q3. RFP作成にはどのくらいの期間がかかりますか?

プロジェクトの規模により、小規模で2〜4週間、中規模で1〜2ヶ月、大規模で2〜3ヶ月が目安です。関係部署の数や既存システムとの連携の複雑さによって変動します。特に、最初の現状分析に十分な時間を確保することが、後工程の手戻りを防ぐポイントです。

Q4. RFPはWord・PowerPoint・Excelのどれで作るのがよいですか?

一般的にはWordまたはPowerPointが使われます。文章中心ならWord、図やフローチャートを多用して全体像を見せたいならPowerPointが向いています。Excelは項目が細かくなり全体像が見えにくくなるため、単体での作成はあまり推奨されません。目的やボリュームに応じて選びましょう。

Q5. RFPサンプル・テンプレートはそのまま使ってもよいですか?

基本構成は参考になりますが、そのまま使うのは避けましょう。自社の課題や業界特有の要件を反映する必要があります。テンプレートの構造を理解したうえで、自社の要件に合わせてカスタマイズすることが、質の高いRFPを作るコツです。

Q6. RFP作成を外注・相談すべきケースは?

社内に要件定義やプロジェクト管理のノウハウが少ない場合や、大規模・全社導入で調整が複雑な場合は、開発会社への相談が有効です。RFP提出前の要件整理の段階から相談できるケースも多く、同業種での実績や技術的な知見を重視して相談先を選ぶとよいでしょう。

まとめ|RFP作成チェックリスト

RFP(提案依頼書)は、単なる仕様書ではなく、ベンダーから最高の提案を引き出すための依頼状です。良いRFPがあれば、ベンダーは自社の課題を深く理解でき、結果としてプロジェクトの成功率が大きく高まります。

本記事の要点を振り返ると、質の高いRFPを作るには、次の3点が特に重要でした。

  • 背景・課題・目的を具体的かつ数値で記述する
  • 機能要件はMust / Want / Betterで優先順位を整理する
  • 「選考の進め方」で評価基準を事前に明示する

最後に、完成したRFPを提出する前のセルフチェックにお使いいただけるチェックリストをまとめました。

RFP作成チェックリスト

  • ☐ プロジェクトの背景・課題が具体的に記述されているか
  • ☐ 目的・ゴールがKPI(数値)で定量化されているか
  • ☐ 対象範囲(スコープ)と対象外が明確か
  • ☐ 機能要件がMust / Want / Betterで整理されているか
  • ☐ 非機能要件(性能・セキュリティ等)が数値で記載されているか
  • ☐ 予算の上限(初期費用・月額)が明示されているか
  • ☐ 希望スケジュール・稼働予定日が記載されているか
  • ☐ 開発体制・役割(自社・ベンダー双方)が明記されているか
  • ☐ 選考スケジュールと評価基準が記載されているか
  • ☐ 発注者の会社情報・問い合わせ先が記載されているか

このチェックリストをすべて満たしていれば、ベンダーが提案しやすく、手戻りのないベンダー選定につながるRFPになっているはずです。まずは本記事の記載例をコピペして、ドラフト(下書き)から始めてみてください。それだけでも頭の中が整理され、プロジェクトの第一歩を踏み出せるはずです。

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監修者
斎藤裕一
斎藤裕一
取締役

<略歴>
大阪大学工学部、大阪大学大学院情報科学研究科修了。
国内最大手IT企業の株式会社NTTデータで大手金融機関向けに債権書類電子化システム、金融規制・法規制対応システムの要件定義・インフラ設計・開発・構築・複数金融サービスのAPI連携等を手がける。その後、株式会社GeNEEの取締役に就任。

<資格>
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、Oracle Master Platinum等多数

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