公開日:2025.01.22 更新日:2025.01.22

ランサムウェア攻撃の最新動向と高度な防御策

ランサムウェア攻撃の最新動向と高度な防御策

近年、ランサムウェア攻撃はますます高度化し、個人から企業、公共機関に至るまで甚大な被害をもたらしています。また、新たな攻撃手法や暗号資産を利用した身代金要求の増加など、脅威は進化し続けています。

本記事では、最新の動向や被害事例をもとに、ランサムウェアの基本から高度な防御策、さらにはインシデント発生時の対応策までを見ていきましょう。

ランサムウェアは、データを人質に取って身代金を要求する悪意のあるソフトウェアであり、その被害は近年急速に拡大しています。

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ランサムウェアとは

この章では、ランサムウェアの基本的な仕組みや種類、もたらす影響、感染経路について詳しく解説します。

ランサムウェアの基本的な定義と仕組み

ランサムウェアは「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語であり、サイバー攻撃の一種です。

攻撃者は被害者のシステムやファイルに不正にアクセスし、重要なデータを暗号化して使用不能にします。そして、そのデータの復旧(暗号解除)のために身代金を要求するという手法が基本です。

ランサムウェアの仕組みは下記の通りです。

  1. 侵入:攻撃者はフィッシングメール、不正なWebサイト、VPN機器の脆弱性などを悪用してターゲットのシステムに侵入
  2. 暗号化:システムに侵入したランサムウェアは、内部の重要なデータやファイルを暗号化し、利用できない状態にする
  3. 要求:攻撃者は暗号化解除のための復号キーを提供する代わりに、金銭(主に暗号資産)の支払いを要求
  4. 脅迫:近年の手法では「二重恐喝」が増加しており、暗号化だけでなく、盗んだデータを外部に公開すると脅すケースが主流

従来のランサムウェア攻撃は主に暗号化を目的としていましたが、近年では複数の脅迫手段を組み合わせ、被害者に対してより強い圧力をかける手法が一般的です。特に、企業が持つ機密情報や顧客データは攻撃者にとって大きな利益を生むため、標的にされるケースが増えています。

ランサムウェアの主な種類

ランサムウェアは攻撃手法や被害の対象に応じて、いくつかの種類に分類されます。種類ごとに目的や攻撃手法が異なるので、それぞれの特徴を理解することで効果的な対策が可能です。

以下の表に、主な種類をまとめました。

種類特徴代表例
暗号化型ファイルやデータを暗号化し、復号キーと引き換えに身代金を要求するWannaCry, CryptoLocker
画面ロック型画面をロックして端末の操作を不可能にし、解除と引き換えに要求Jigsaw, Petya
暴露型データの暗号化に加え、窃取したデータを公開すると脅迫するMAZE, LockBit
破壊型データを完全に破壊し、システムを復旧不能にするNotPetya, KillDisk
NAS標的型NAS(ネットワーク接続ストレージ)に保存されたデータを暗号化するQlocker, DeadBolt
IoTデバイス型IoT機器を標的にして、操作不能にし、身代金を要求するMirai派生型ランサムウェア

暗号化型ランサムウェアは依然として最も一般的なタイプであり、多くの企業や個人が標的となっています。一方で、暴露型や破壊型はさらに深刻な被害をもたらし、データの公開や完全な破壊を脅迫材料にしています。

特に、NASやIoTデバイスを狙う新型ランサムウェアも登場し、デバイス管理の脆弱性が新たなリスク要因となっています。

ランサムウェア攻撃がもたらす影響

ランサムウェア攻撃が引き起こす影響は多岐にわたり、経済的損失や信頼の低下など、企業活動に大きな打撃を与えます。

以下の表に、主な影響をまとめました。

影響具体例
業務停止・生産の遅延システム停止により業務や工場の生産が止まる
経済的損失身代金の支払い、システム復旧コスト、業績悪化など
情報漏洩と信用失墜顧客や社員の個人情報、機密情報が外部に流出
法的リスク規制違反や賠償責任が発生する可能性

影響は単なる金銭的損失にとどまらず、企業の信頼低下や長期的な事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に情報漏洩は、顧客からの信頼を大きく損ない、企業ブランドの価値を低下させるため、迅速な対応と事前の対策が重要です。

ランサムウェア攻撃の主な感染経路

ランサムウェア攻撃は、さまざまな経路を通じてシステムに侵入します。

以下の表に、主な感染経路と特徴をまとめました。

感染経路特徴
フィッシングメール偽のメールに添付されたファイルやリンクを開く
VPNやリモートアクセス脆弱なVPN機器やリモートデスクトップを悪用
ソフトウェアの脆弱性未更新のソフトウェアやOSの脆弱性を突く
不正なWebサイトの閲覧偽サイトへの誘導やドライブバイダウンロード攻撃

特に近年では、リモートワークの普及に伴い、VPN機器やリモートデスクトップを狙った攻撃が増加しています。また、従業員の誤った操作(メール添付ファイルの開封やURLクリック)を起点とした感染も後を絶たず、組織全体でセキュリティ意識の向上が求められます。

ランサムウェアの最新動向

ランサムウェアの最新動向

近年、ランサムウェア攻撃は新たな攻撃手法の登場や多プラットフォーム対応、さらにはランサムウェアグループの活動の組織化といった動向が目立ち、被害の深刻化が進んでいます。

本章では、最新のランサムウェアの種類や手法、攻撃の高度化、暗号資産を利用した新たな脅威について見ていきましょう。

新たなランサムウェアの種類と手法

近年、ランサムウェア攻撃はさらに高度化し、新たな種類や手法が登場しています。手法は従来の攻撃を超えて、組織や個人に深刻な被害をもたらしています。

以下の表に、主な種類をまとめました。

種類手法・特徴代表例
二重恐喝型データ暗号化後に、窃取したデータを公開すると脅迫し、二重に身代金を要求MAZE, REvil
三重恐喝型二重恐喝に加えて、DDoS攻撃を実行しシステムを停止させ、圧力を強化するDarkSide, Avaddon
ノーウェアランサム型暗号化を行わず、窃取データの公開のみを脅迫材料とする攻撃Alpha, Akira
サプライチェーン攻撃型サプライチェーン上の脆弱な子会社や協力企業を狙い、本体企業へと感染拡大するSolarWinds事件, DarkSide
RaaS型(サービス型)ランサムウェアを提供・販売するサービスとして展開し、犯罪者が容易に攻撃可能GandCrab, Conti
ワーム型自己増殖機能を持ち、ネットワーク内で感染を広げるWannaCry, Bad Rabbit

新たな攻撃手法として注目されるのが三重恐喝型ノーウェアランサム型です。これらは暗号化にとどまらず、データ漏洩、システム停止、DDoS攻撃など複数の脅迫手段を組み合わせ、被害者への圧力を最大化します。

さらに、RaaS型(Ransomware as a Service)の登場により、サイバー犯罪者が高度な技術を持たなくてもランサムウェアを利用できるようになり、攻撃の敷居が大幅に下がりました。加えて、サプライチェーン攻撃は間接的に大手企業を狙う手法として急増しており、IT関連企業やパートナー企業のセキュリティ対策が喫緊の課題となっています。

サプライチェーン攻撃について詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。

多プラットフォーム対応の進展

従来のランサムウェアは主にWindows OSをターゲットにしていましたが、近年ではLinux、Mac OS、クラウド環境、さらにはIoTデバイスなど多様なプラットフォームへと攻撃が広がっています
例えば、Linuxサーバーを標的とする「DarkSide」や「LockBit」、NASデバイスを狙う「Qlocker」などが登場し、クラウドサービスを利用する企業でも被害が報告されています。

企業は異なる環境に対しても統一的かつ包括的なセキュリティ対策を講じる必要性が高まっているのです。

クラウドについて詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。

標的型攻撃の高度化

ランサムウェア攻撃の多くは「ばらまき型」から「標的型」へと進化し、特定の企業や組織を狙ったカスタマイズ攻撃が主流となっています。攻撃者は事前に標的の情報を収集し、VPN機器の脆弱性やリモートデスクトッププロトコル(RDP)の不正アクセスを利用して、システム内部に侵入します。

特に医療機関、製造業、公共インフラといった業界は重要なデータやシステムを抱えているため、被害が深刻化しやすい傾向にあります。標的型攻撃では、組織の弱点に合わせた手法が用いられ、対応の遅れが致命的な事態を招く可能性が高いです。

ランサムウェアグループの活動と対策強化

ランサムウェア攻撃は個人犯罪者の手を離れ、組織化された犯罪グループによって運営されるようになっています。グループは専門化し、役割分担を行いながら高度な攻撃を展開しているのです。

以下の表に、グループごとの活動をまとめました。

ランサムウェアグループ活動内容主なランサムウェア
LockBitグループ高速暗号化と二重恐喝を実施LockBit
REvil(Sodinokibi)RaaS提供、企業を標的に高度な攻撃を実行REvil
DarkSideサプライチェーン攻撃や重要インフラへの標的型攻撃DarkSide
Contiグループ二重恐喝を中心にした高度なカスタマイズ攻撃Conti

グループはダークウェブ上でツールやデータを売買し、活動を拡大。一方で、法執行機関やセキュリティ企業の連携が強化され、ランサムウェアグループの摘発も進んでいます。

身代金要求の増加と暗号資産の利用

ランサムウェア攻撃による身代金要求額は年々増加しており、被害者が支払う金額も高額化しています。特に大手企業や公共機関を狙った攻撃では、数百万ドル規模の要求が一般化しつつあるのです。

また、支払い手段として暗号資産(仮想通貨)が利用されるケースが多く、攻撃者の匿名性が維持されることから、追跡が困難な状況が続いています。さらに、暗号資産を介して資金洗浄(マネーロンダリング)を行うケースも報告されており、法執行機関やセキュリティ企業による規制の強化が求められています。

ランサムウェアから守る防御策

ランサムウェアへの高度な防御策

ランサムウェアの脅威が高度化し続ける中、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれないケースが増えています。

攻撃者は企業の脆弱なポイントを狙い、ネットワーク全体に被害を拡大させる手法を用いています。そのため、単一の対策に頼らず、多層的で包括的な防御策が求められるでしょう。

本章では、多層防御、ゼロトラストセキュリティ、マイクロセグメンテーションといった高度な防御策について解説します。

多層防御によるリスク軽減

多層防御とは、複数のセキュリティ対策を組み合わせて脅威を段階的に防ぐアプローチです。ランサムウェアの感染経路は、メールの添付ファイル、フィッシングサイト、不正アクセス、ソフトウェアの脆弱性など多岐にわたるため、単一の対策では防ぎきれません。

具体的には、入口対策としてメールセキュリティやWebフィルタリング、内部対策としてネットワーク監視や不正アクセス防止、出口対策としてデータのバックアップと復元体制の強化が重要です。さらに、エンドポイント保護(EPP)やエンドポイント検出・対応(EDR)ツールを導入することで、異常な動きや感染の早期検知が可能となります。

多層防御を構築することで、万が一1つのセキュリティ層が突破されても、他の層で脅威を食い止め、被害を最小限に抑えることができます。継続的なシステムの監視と、複数のセキュリティ対策の併用がランサムウェア対策の基本です。

ゼロトラストセキュリティの導入

ゼロトラストセキュリティとは、「何も信頼しない」という前提でシステム全体のアクセスを管理するセキュリティモデルです。従来の「内部は安全、外部は危険」という境界型防御の考え方では、1度内部に侵入された場合に被害が拡大しやすいという問題がありました。

ゼロトラストでは、すべてのユーザーやデバイスに対して認証・検証を行い、最小限のアクセス権限のみを許可します。具体的には、多要素認証(MFA)の導入、ユーザー行動分析(UBA)による不審な動きの検知、デバイスのセキュリティ状態の評価です。

さらに、ネットワーク内のアクセスも厳密に制限し、不要な権限や接続を最小限に抑えることで、不正アクセスの拡大を防ぎます。

ゼロトラストの導入により、ランサムウェアがシステム内部に侵入しても、最小限の権限でしか行動できないため、被害の範囲を効果的に抑えることが可能です。クラウド環境やリモートワークが一般化した現代において、ゼロトラストは最も有効なセキュリティ対策の一つと言えるでしょう。

ゼロトラストセキュリティの詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。

マイクロセグメンテーションによる被害局所化

マイクロセグメンテーションは、ネットワークを細かい単位(セグメント)に分割し、セグメント間の通信を厳密に制御する手法です。従来のネットワークでは、1つのデバイスがランサムウェアに感染すると、他のシステムやデバイスにも被害が拡大しやすいという課題がありました。

マイクロセグメンテーションでは、各セグメントごとにアクセス制御を設定し、必要最低限の通信のみを許可します。そのため、仮に1つのセグメントで感染が発生しても、他のセグメントへの影響を最小限に抑えることができるでしょう。

たとえば、企業内の部門ごとやシステムごとにセグメントを分けることで、被害の局所化が可能になります。

さらに、各セグメントの動きを監視し、不審な通信や挙動が検出された場合には即座に対処することで、被害拡大のリスクの低減が可能です。クラウドや仮想環境におけるセキュリティにも有効であり、ゼロトラストモデルと組み合わせることで、より堅牢な防御体制を構築できます。

インシデント発生時の具体的な対処法

インシデント発生時の対応と復旧

ランサムウェア攻撃が発生した場合、初動対応の遅れが被害の拡大を招く要因となります。迅速かつ適切な対応を取ることで、影響を最小限に抑え、復旧までの時間を短縮することが可能です。

本章では、インシデント発生時の被害状況の把握、データ復旧手順、法的対応と外部専門家の活用について見ていきましょう。

迅速な被害状況の把握と報告

ランサムウェア感染時は、速やかに状況を把握し、関係者へ報告することが重要です。初動対応の迅速さが、被害拡大の抑止と復旧時間の短縮に直結します。

対応の手順は、以下の通りです

  1. 感染確認
    • 異常な動作や脅迫メッセージの表示を確認
    • 感染端末やサーバーの特定を行う
  2. 被害範囲の把握
    • 暗号化されたファイルやデータの確認
    • ネットワーク内の感染拡大状況を調査する
  3. 影響度の評価
    • 業務停止範囲、システム停止箇所の把握
    • 顧客や取引先への影響を分析する
  4. 報告と連携
    • 組織内のセキュリティ担当者や経営陣へ速やかに報告
    • 必要に応じて外部の専門家や関係機関(警察・セキュリティ企業)へ連絡

被害状況の把握と報告を確実に行うことで、復旧プロセスや外部との連携がスムーズに進みます。また、被害拡大を防ぐために、早期にシステムの隔離やネットワーク遮断を実施することが必要です。

バックアップからのデータ復旧手順

ランサムウェア感染時に最も重要な対策の一つが、バックアップを利用したデータ復旧です。定期的にバックアップを取得しておくことで、身代金を支払わずに業務再開が可能となります。

データ復旧の手順は、以下の通りです

  1. 感染端末の隔離
    • ランサムウェアがネットワーク全体に拡大しないよう、感染端末をネットワークから切り離す
  2. バックアップデータの安全性確認
    • 直近のバックアップデータにランサムウェアが含まれていないか確認
    • ウイルススキャンを実施し、安全性を確保する
  3. システムの復旧準備
    • 感染端末・サーバーの初期化を行い、クリーンな状態に戻す
    • ネットワークとシステムの安全性を再確認する
  4. バックアップからのデータ復旧
    • 安全なバックアップデータを利用して、ファイルやシステムを順次復旧
    • データの整合性と完全性を確認する
  5. 動作確認と監視強化
    • 復旧後のシステム動作確認を実施
    • 再発防止のため、不審な動きを監視する体制を強化

定期的にバックアップを取得し、オフライン環境に保管することで、ランサムウェア攻撃からの迅速な復旧が可能となります。また、復旧後は原因分析を行い、同様の攻撃が発生しないようセキュリティ対策を徹底することが重要です。

法的対応と外部専門家の活用

ランサムウェア攻撃が発生した場合、法的な対応や外部専門家との連携が不可欠です。特にデータ漏洩が発生した場合や顧客への影響が懸念される場合は、法令遵守と信頼回復のための行動が求められるでしょう。

まず、個人情報保護法や業界ごとの規制に従い、被害報告や情報公開が必要なケースがあります。

たとえば、顧客情報や機密情報の漏洩が確認された場合、該当者への通知や関係機関への報告が義務付けられていることがあります。また、法的責任が発生する可能性もあるため、弁護士や法務部門と連携し、適切な対応を検討する必要があるでしょう。

さらに、ランサムウェア攻撃は高度化しており、内部リソースだけでは解決が困難な場合が多いため、外部の専門家やセキュリティ企業との協力が欠かせません。

具体的には、感染経路の特定、被害範囲の分析、システム復旧支援、再発防止策の提案を専門家から受けることで、迅速かつ確実な対応が可能となります。

国内のランサムウェア事例

近年、国内企業や公共機関を狙ったランサムウェア攻撃が増加しており、被害は業務停止や個人情報流出、経済的損失と多岐にわたります。特にVPNの脆弱性や設定ミスを狙った高度な攻撃が目立ち、業種や規模を問わず被害が拡大しているのです。

本章では、具体的な事例をもとに、ランサムウェア攻撃の手法や影響を紹介します。

情報漏洩|大手ゲームソフトウェアメーカー

2020年11月、大手ゲームソフトウェアメーカーがランサムウェア攻撃を目的とした不正アクセスを受け、最大39万件の個人情報が漏洩しました。
攻撃の原因は、旧式のVPN装置の脆弱性を悪用されたことにあり、テレワーク導入の際に予備用として使われた装置が標的となったのです。メールやファイルサーバーが利用不能となり、一時的に業務が停止しましたが、企業は身代金の支払いを拒否し、再発防止策を強化することを表明しました。

基幹システム暗号化|大手製粉企業

2021年7月、大手製粉企業がランサムウェア攻撃を受け、基幹システムとバックアップサーバーが暗号化され、データの復旧が困難となりました。
攻撃者は企業のセキュリティ対策を突破し、複数のサーバーに同時に侵入。社内の重要なシステムやデータが影響を受けたため、決算報告書の提出が約3ヶ月遅延するなど、企業活動に深刻な支障をきたしたそうです。同社は、今後の対策として外部セキュリティ専門家を交えたセキュリティ強化チームの導入を報告しました。

工場出荷停止|大手自動車メーカー

2020年6月、大手自動車メーカーがランサムウェア攻撃の被害にあい、国内外9つの工場が操業停止となる大規模な事態が発生しました。
攻撃者は、中枢のサーバー設定を変更する手法で、社内ネットワークと通信を遮断。結果、工場の生産ラインや出荷システムが停止し、本社勤務の従業員も業務が不能に陥りました。同社では特定の環境にカスタマイズされたランサムウェアが使用されたと報告されており、サイバー攻撃の高度化が浮き彫りとなった事例です。

個人情報流出|国立大学機構

2022年10月、国立大学機構が第三者による不正アクセスを受け、約4万件の個人情報が流出する事件が発生しました。
攻撃対象は、学生や職員の認証システムサーバーであり、氏名や生年月日、メールアドレスなどの情報が危険にさらされました。

原因は、ファイアウォール設定の変更時に発生した設定ミスであり、外部からのアクセスが可能な状態になっていたことが判明。大学はシステムの安全性を確保するため、セキュリティ評価手順の確立を行うと発表しました。

海外のランサムウェアの具体的な事例

海外のランサムウェア事例

ランサムウェア攻撃の脅威は国内にとどまらず、世界中で大規模な被害をもたらしています。

本章では、海外で発生した代表的なランサムウェア事例を紹介し、手法や影響を解説します。

システム停止|米国大手医療企業

2020年9月、アメリカの大手医療企業がランサムウェア攻撃を受け、約400の外来センターのシステムが停止しました。攻撃の原因は、従業員が開封したフィッシングメールであり、感染したランサムウェア「Ryuk」がシステム全体に広がったのです。
この攻撃により、予約システムや検査データの確認が不能となり、多くの患者が他の医療施設への搬送を余儀なくされました。医療現場に与えた影響は大きく、サイバー攻撃が人命にも関わる危険性を浮き彫りにした事例です。

サーバー暗号化|ドイツの大学病院

2020年9月、ドイツの大学病院がランサムウェア攻撃を受け、30台のサーバーが暗号化される事態が発生しました。病院のシステムがダウンし、救急患者の受け入れが不能となったため、近隣の別の病院へ搬送された患者が死亡するという悲劇が起こったのです。
原因は、大学病院が使用していた商用アドオンソフトウェアの脆弱性であり、攻撃者はこれを悪用して侵入。この事件は、ランサムウェア攻撃が医療機関にとって単なるシステム障害ではなく、人命にも直接的な影響を及ぼすことを示しています。

医療システム停止|イギリス国民保健サービス

2017年5月、イギリスの国民保健サービス(NHS)がランサムウェア「WannaCry」による攻撃を受け、システムが全面的に停止する事態が発生しました。この攻撃はイギリス国内だけでなく、世界150カ国以上に広がり、医療機関や企業に大きな被害をもたらしたのです。
NHSでは患者の治療データや予約システムが利用不能となり、手術の延期や緊急診療の停止が相次ぎました。攻撃の原因は、システムの脆弱性を修正するセキュリティパッチの未適用であり、適切な管理がされていれば防げた可能性が高い事例です。

まとめ|最新動向を踏まえたランサムウェア対策の重要性

ランサムウェア攻撃は年々高度化し、被害の範囲や深刻度が拡大しています。

企業や組織は最新の動向や事例を踏まえ、ゼロトラストセキュリティや多層防御などの高度な防御策を導入し、被害を最小限に抑える体制を構築することが求められます。攻撃発生時の迅速な対応や復旧体制、そして日常的なセキュリティ強化を徹底することで、ランサムウェアの脅威に打ち勝つことが可能です。

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