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公開日:2026.07.24 更新日:2026.08.07

RFPと要件定義の違いとは?書き方・記載項目・作成手順をわかりやすく解説

斎藤裕一
監修者
取締役 斎藤裕一
RFPと要件定義の違いとは?書き方・記載項目・作成手順をわかりやすく解説

システム開発を外部に発注する際、RFPと要件定義書の違いが曖昧なまま進めてしまうと、ベンダー選定や開発工程で問題が起こりやすくなります。たとえば、ベンダーごとに提案内容や見積もりの前提が異なり、適切に比較できないことがあります。

選定後に「必要な機能が含まれていない」「想定していた業務フローと違う」と判明すれば、追加開発やスケジュール遅延、予算超過につながりかねません。こうしたトラブルを防ぐには、RFPと要件定義書の役割を理解し、ベンダー選定前に何を整理すべきかを明確にする必要があります。

本記事では、RFPの役割から要件定義書との違い、記載すべき項目、作成の流れまでを実務目線で解説します。実際の記載例やチェックリストを確認したい方は、システム発注担当者向けの「RFPの書き方完全ガイド」も併せてご活用ください。

RFPと要件定義(要件定義書)の違い

RFPと要件定義(要件定義書)の違い

RFPと要件定義(要件定義書)の違いは、作成する目的・役割・タイミング・担当者・記載内容の5点に集約されます

RFPは複数のベンダー(システム開発会社やツール提供企業)に自社の課題や要望を詳細に伝える発注書類であり、要件定義書は選んだベンダーと具体的な開発内容や条件を詰め、双方の合意事項を明確にするための文書です。

観点RFP(提案依頼書)要件定義(要件定義書)
目的提案・見積もりを依頼する開発内容や条件を確定する
文書の役割ベンダー選定の判断材料開発の基準となる取り決め
作成するタイミングベンダー選定前ベンダー選定後
作成主体主に発注者発注者とベンダーの共同
主な内容課題、目的、要求、予算、提案条件業務要件、機能要件、非機能要件

本章ではそれぞれの観点で違いを比較します。

作成する目的・役割の違い

RFPの役割は企業が抱えている課題や実現したいことをベンダーに伝え、提案を引き出すことにあり、要件定義書の役割は合意内容を確定させることにあります。

RFPを作成する段階では依頼先が決まっていないため、特定のベンダーと詳細な仕様を詰めることが目的ではありません。発行後に質疑応答や説明会を挟むことはありますが、あくまで比較を前提に全社へ同一の条件を示すのが基本です。返ってきた提案を横並びにして選定へ進みます。

対して要件定義書の役割は、契約したベンダーとの対話を通じて、開発するシステムの内容や範囲を具体化することです。発注者の意図とベンダーの技術的判断を突き合わせ、双方が納得した内容を文書に固定していく作業です。要件定義書に記載された内容は、その後の設計・開発・テストや、追加費用の判断基準となります。

作成するタイミング・作成主体の違い

作成の順序はRFPが先、要件定義書が後です。また、提案依頼書を作るのは発注者側となり、社内の現状の課題やニーズを洗い出し関係部署にヒアリングを重ね、システム化の目的と目標、予算・スケジュールを固めたうえで文書にまとめます。

発注者側で仕上げるのがRFP、ベンダーと一緒に仕上げるのが要件定義書と捉えると、実務での混乱は避けられます。

「要求」と「要件」「実装方法」を混同しないための考え方

RFPと要件定義書を作成するうえで重要なのが、「要求」「要件」「実装方法」を区別することです。これらを混同すると内容が抽象的になりすぎたり、反対に技術仕様を細かく指定しすぎたりします。

内容記述例記載する資料
要求(目的)達成したい状態や解決したい課題月次レポートの作成時間を20時間から2時間へ短縮したいRFP
要件(機能・非機能)求める機能や性能の水準レポートを自動生成できること/検索は3秒以内RFPで提示し、要件定義で詳細化
実装方法技術的な実現手段レポート機能をAPI連携で実装する選定後の要件定義で詳細化

RFPには、発注者が実現したい要求だけでなく、提案や見積もりに必要な範囲で機能要件や非機能要件も記載します。

たとえば「業務を効率化したい」という要求だけでは、ベンダーごとに想定するシステムの範囲が異なります。「レポートを自動生成できること」「承認ワークフローを設けること」など、必要な機能を示すことで、提案条件を揃えやすくなります。

一方で、RFPの段階で実装方法まで決め打ちすると、ベンダーが持つ知見を活かせない場合があります。自社が想定した方式より優れた解決策があっても、指定された技術に沿った提案しか返ってこなくなるためです。

RFPでは何を・どの水準でまでを定め、どの技術や言語を使って実装するかはベンダーの提案に委ね、ベンダー選定後の要件定義で実装方法を決める流れがよいでしょう。

そもそもRFP(提案依頼書)とは

RFPとは「Request for Proposal」の略で、日本語では提案依頼書と訳される文書です。システム導入を検討する発注者が、自社の現状の課題・目的・要求事項をまとめ、複数のベンダーに提案と見積を依頼するために作成します。

口頭やメールで断片的に要望を伝えた場合、ベンダーごとに前提の理解が食い違い、提案の粒度も方向性もばらばらになりがちです。それでは、どの提案が自社にとって最適なのかを客観的に判断できません。

RFPの内容が曖昧であれば、その後の提案や要件定義も曖昧になりやすいため、プロジェクトの成否を左右する重要な資料といえます

RFI(情報提供依頼書)・要求仕様書との関係

RFPと混同されやすい文書として、RFIと要求仕様書があります。RFIは「Request for Information」の略で、情報提供依頼書を意味します。RFPを作成する前に、ベンダーの実績や技術力、対応可能な範囲、製品情報などを収集するために使われます

RFIで相場観や実現の可能性を確認し、候補となるベンダーを絞り込んだうえで、RFPを作成する流れが一般的です。

一方の要求仕様書の扱いは企業によって分かれ、RFPの一部として書き込むケースもあれば、独立した文書として添付するケースもあります。いずれにせよ発注者側が要求を整理する文書となります。

RFPは「SIerへの発注」を前提とした文書です。SESや自社開発も含めて発注形態から検討したい方は以下の資料をご参照ください。

SIer・SES・自社開発、結局どれが正解か|発注前に知っておきたい選定基準(無料DL)

RFPに記載する主な項目

提案依頼書に書く内容は、①概要、②提案依頼内容、③選考の進め方と3つのブロックに分け整理できます。背景と目的を共有し、提案してほしい中身を伝え、選び方を示す流れです。

①概要

概要ブロックの役割は、プロジェクトの必要性をベンダーに理解させることです。記載するのは、プロジェクトの背景、現状の課題、システム化の目的、ゴール(KPI)、対象範囲(スコープ)、発注者の会社情報などです。RFPの土台となる部分であり、後の要件定義にも引き継がれる情報です。

目的は1〜2文で簡潔にまとめることがポイントで、ゴールは数値で定量化することが求められます。例えば「受注率を15%から25%へ引き上げる」と示せば、ベンダーは達成手段を具体的に検討できます。

スコープでは、対象範囲だけでなく対象外も明記してください。何をやらないかを示すことで、見積の前提が揃います。

②提案依頼内容

このブロックには、ベンダーに提案してほしい中身を記載します。RFPの中核にあたり、選定後の要件定義でさらに詳細化していく部分でもあります。

含めるのは、機能要件、非機能要件(性能・セキュリティ)、スケジュール、プロジェクト体制・管理方針、概算費用、成果物一覧などです。

要求事項は数値で書くことがポイントです。「処理が速いこと」ではベンダーごとに解釈が割れるため、「レスポンス3秒以内」のように定量的に記述します。

また、機能に優先順位をつけることも重要です。必須(Must)・希望(Want)・望ましい(Better)の3段階に分けておかないと、すべてが必須と受け取られ、予算内で収まる提案が返ってきにくくなるので注意が必要です。

特にセキュリティは、RFPの段階でどこまで書くべきか判断に迷いやすい項目です。発注時に確認すべきセキュリティ要件を整理した以下資料もあわせてご活用ください。

情報漏洩・セキュリティ対策ガイド|発注者向け開発段階でのセキュリティ要件(無料DL)

③選考の進め方

最後に、提案の提出方法や評価方法を提示します。RFPで見落とされやすい箇所ですが、記載の有無が提案の質を左右します。

記載するのは提案書の提出期限、評価基準、採点方法、問い合わせ先です。とくに重要なのが評価基準の事前開示です。何を重視して選ぶのかを伝えておけば、ベンダーは力を入れる箇所を判断でき、提案の精度を高められます。

発注者側も、評価項目を先に決めておくことで、担当者の主観に左右されにくい選定ができる利点があります。

GeNEEでは、項目ごとの記載例やチェックリストをまとめた「RFPの書き方完全ガイド」をご用意しています。具体的な記載方法やサンプルを細かく説明していますので、ぜひご活用ください。

RFP作成の5つの流れ

RFP作成の5つの流れ

提案依頼書の作成は次の5ステップで進めます。規模にもよりますが、着手から発送まで2か月前後を見込んでおくと現実的です。

  • STEP1:社内課題の洗い出し・現状分析(1〜2週間):現場ヒアリングと現行システムの棚卸し
  • STEP2:プロジェクトチームの結成・役割分担(〜1週間):推進担当者の選定と承認フローの確定
  • STEP3:要件の優先順位付け(1〜2週間):必須(Must)・希望(Want)・望ましい(Better)の切り分け
  • STEP4:ドキュメント作成・社内レビュー(1〜2週間):本文の執筆と承認取得
  • STEP5:ベンダーへの提示・質疑応答対応(2〜3週間):送付後の質疑応答対応

実際に進める際に、ボトルネックとなりやすいのはSTEP1とSTEP3です。部門ごとに業務フローや課題認識が異なるうえ、属人化した作業や例外対応まで洗い出す必要があるため、想定以上に時間がかかることがあります

また、担当者としてRFPを作成する際は、プロジェクトの目的に照らしてMust・Want・Betterに分け、優先順位を整理します。ここで情報収集や調整が不十分だと、後の要件整理や見積もりにも影響するため、余裕を持って進めることが重要です。

システム発注で失敗しないRFPを作成するためのポイントと注意点

システム発注で失敗しないRFPを作成するためのポイントと注意点

提案の質は、提案依頼書の具体性に比例します。押さえるべき観点は次の6点です。

ポイント実践の要点
目的とゴールを明確に何のために構築するのかをKPIで示す
スコープを明示対象範囲に加え、対象外も書く
ゴールや性能条件を数値で示す「速いこと」ではなく「3秒以内」と記述
実装方法を必要以上に指定しない手段は選定後の要件定義で決める
自社とベンダーの役割を明確にする自社とベンダー双方の体制を記載
要求事項に優先順位をつけるMust/Want/Betterの3段階で分ける

最も避けたいのは曖昧な表現です。解釈がベンダーごとに分かれると提案を比較できず、開発開始後の認識齟齬にも直結します。「必要に応じて」「柔軟に対応できること」といった記述を見つけたら、数値や条件に置き換えられないか検討してください。

なお、システム開発の遅延の多くは要件定義の失敗に起因するとされており、RFP段階から要求を明確にしておく重要性はここにあります。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)/ユーザのための要件定義ガイド 第2版

まとめ :RFPの書き方サンプルは完全ガイドで

RFPは提案を募る文書、要件定義書は合意を確定する文書です。RFPは選定前に発注者が単独で、要件定義書は選定後にベンダーと共同で作成します。RFPに書くのは「要求」と「要件」であり、記載項目は概要・提案依頼内容・選考の進め方の3ブロックで整理してください。

違いと全体像を押さえたら、次は実際に書く段階です。とはいえ、各項目をどの粒度で記述すべきかは、原則を知っただけでは判断できません。

GeNEEでは、システム発注担当者向けに『RFPの書き方完全ガイド』をご用意しています。項目別の記載サンプルや作成チェックリスト、WBS・課題管理表の書式まで収録した実践マニュアルです。これからRFPを作成する方や、現在の内容に抜け漏れがないか確認したい方は、ぜひご活用ください。

また要件整理やベンダー選定、システム開発の進め方でお悩みの際は、GeNEEまでお気軽にご相談ください。

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監修者
斎藤裕一
斎藤裕一
取締役

<略歴>
大阪大学工学部、大阪大学大学院情報科学研究科修了。
国内最大手IT企業の株式会社NTTデータで大手金融機関向けに債権書類電子化システム、金融規制・法規制対応システムの要件定義・インフラ設計・開発・構築・複数金融サービスのAPI連携等を手がける。その後、株式会社GeNEEの取締役に就任。

<資格>
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、Oracle Master Platinum等多数

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