公開日:2022.11.21 更新日:2022.12.28

機械学習と深層学習でできることは何か。実際の事例とともに解説


GeNEE_機械学習

機械学習とは何か

機械学習とは、人工知能を活用してデータを分析する方法の1つです。コンピュータが過去の経験によって学習したものの中から何らかのデータを分析・予測したり、言語の処理などを行っていきます。身近に利用されているものの例としては、飲食店での客層分析、アパレルショップでの売上予測、AIによるチャットでの問い合わせ対応などがあります。機械学習には、大きく分けて「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つの学習方法があります。

教師あり学習

「正しい結果」や「正解」を導き出していく方法を教師あり学習といいます。教師あり学習は機械学習のうち最もよく利用されるものであり、この場合「正解」と「不正解」の境界が明確な状態となります。結果的に「識別」と「回帰」ができるようになります。

識別

何かの種類や特性などを見分けることを識別と言います。教師あり学習では、与えられた情報やデータが正しいものであるかまたは正しくないものであるかを識別することができます。身近な例では閲覧しているwebサイトが安全か否か、受信メールが迷惑メールか否かを判断する際にも活用されています。このように機械学習は、私たちの生活をセキュリティ上の危険から守る存在でもあります。

回帰

回帰とは、何かを行うことでどのような結果をもたらしたかという因果関係を明確にすることをいいます。一定期間の中で継続的に収集したデータを分析し、数値にまとめることで今後のデータの動きを予測することができます。この機能は様々な業種での売上予測などに活用されています。

教師なし学習

教師なし学習とは「正解」または「不正解」を明確に区別するのではなく、大量に収集したデータから数値の特徴やパターンを記憶していく学習方法です。教師なし学習で収集した大量のデータをカテゴリ分けする機能のことを「クラスタリング」といいます。

クラスタリング

教師なし学習における代表的な方法です。クラスタリングでは「正解」と「不正解」の境界が不明瞭なまま、大量のデータの中から類似している情報をグループ分けします。例えば、人の性別や年齢、動物の種類などを分類する際などに活用されています。

主成分分析

収集された大量のデータの中から、ある一定の法則を見つけ出す方法を主成分分析と言います。この主成分分析はデータを高次元から低次元に圧縮したい場合などに活用されます。

強化学習

機械学習のうち、様々な状況下で最も望ましい結果に繋げるための学習方法を強化学習といいます。例えば、株式投資の売買において最大限利益を出したいときなど何らかの報酬を得たい状況である場合に活用されています。

深層学習とは何か

深層学習とは人間の神経構造の仕組みのようなニュートラルネットワーク技術を活用して、より高精度の結果を導き出すことができる学習方法です。身近な例ではスマートフォンでの音声認識や画像認識、顔認識、自動運転などの技術に活用されています。今後も深層学習の活用によって新しいシステムが開発され続け、私たちの生活にさらなる利便性をもたらすと期待されています。

機械学習と深層学習の違い

「機械学習」と「深層学習」は、AIとしてまとめられます。AIとは、人間が本来持っている知能をコンピュータ上で実現しようとする技術のことです。「機械学習」とは、コンピュータに対して人間の手によって学習させ、その経験からデータの分析や今後の数値の予測などを行う学習のことです。具体例としては基幹系システムの中の販売管理機能に組み込まれる需要予測、メールの振り分け、チャットボットなどに活用されています。一方「深層学習」とは機械学習によって得られた経験に加えて、人間の神経構造のような高精度の技術を活用しながら高度の認識機能や新しいシステム開発につなげていく学習方法です。深層学習はスマートフォンでの顔認証や自動運転、IoT家電などに活用されています。

機械学習に適した事例

私たちが日常生活で普段よく利用するシステムには、機械学習が活用されていることがあります。今回は、機械学習に適した3つの事例を紹介します。

事例1:タクシー配車予測

1つ目の事例は、タクシーの配車予測です。

機械学習を活用して、対象となる地域におけるある一定期間内での時間帯別タクシー乗車数のデータを収集します。そこから得られたデータを分析することで、タクシーの配車予測を行うことが可能です。このようなタクシー配車予測システムの普及によって、タクシードライバーの不足やタクシー事業者の売上減少などの問題解決に繋がります。

事例2:企業が行う需要予測

2つ目の事例は需要予測です。今後どの程度の需要が見込まれるかを予測するのが、機械学習による需要予測システムです。ある店舗における、一定期間内の商品販売数、客数、その日の気温や気候、曜日や時間帯ごとの特性などのデータを細かく記録し、教師あり学習によってそれらのデータをすることで、今後の需要予測や売上予測を行っています。最近では、製造や物流、交通、飲食店など様々な業界でAIによる需要予測が活用されています。需要予測システムの普及によって、業務効率化による生産性の向上、コストの削減など様々なメリットが生じます。

 

 

事例3:SNS自動投稿

3つ目の事例は、SNSでの自動投稿サービスです。SNS自動投稿とは、機械学習によって過去のSNS投稿でのいいね獲得数やエンゲージメント率を分析し、自社に合ったベストな投稿内容やタイミングを提案してくれるサービスです。最近ではスマートフォンの急速な普及によって消費者の購買プロセスが変化し、SNSマーケティングを導入する企業が増加しています。このように機械学習は、マーケティングの分野でも活躍の場を広げています。

深層学習に適した事例

深層学習による人間と同じような能力やそれを超えるような高精度の技術は、医療や製造、防犯など様々な業界の現場で活用されています。今回は深層学習に適した事例を3つ紹介します。

事例1:医療現場

医療現場では、疾病の診断や治療方針の決定、手術支援などに役立てられています。大きく5つに分けて解説します。

画像診断

深層学習の活用によりコンピュータが必要な情報や特徴を自ら探し出し、データ処理を行うことが可能となります。医療機関において過去の患者の症例および画像を記録しておき、それらの経験とCT、MRI、レントゲンなどで得られた画像とを結びつけることで異常な兆候があればすぐに担当医に知らせることができます。そのため、医師にとっては診断業務の効率化につながり、患者にとっては病気の早期発見につながるなど双方にメリットが生じると考えられます。

疾病診断

深層学習を活用することによって、人間の脳だけでは全て把握することが困難な莫大な量のゲノム配列やデータを分析し、疾病診断を行うことが可能となりました。過去の事例では東京大学医科学研究所附属病院で、これまで治療法が確立されていなかった骨髄性白血病患者のゲノムをAIによって解析することに成功しています。深層学習によるゲノム解析能力は、今後も未知の疾病や難病の治療にも役立てられると考えられています。

新薬の開発

深層学習の活用によって、新薬の開発におけるターゲット選定、リード化合物の探索や最適化、分子構造のマッチング、ケースリポートの登録などのプロセスを短縮できたり、様々なコストを削減することが可能になります。

これまで新薬の開発には、多くの時間や費用がかかるという課題がありました。しかし深層学習の活用によって時間や費用など様々なコストが削減されるため、1人でも多くの患者の命を救うことに貢献していくと期待されています。

手術支援

深層学習は、急性期医療での手術支援にも活用されています。その仕組みとしては手術に関する画像をコンピュータが学習し、その経験を踏まえて手術を担当する医師の操作を手助けするというものです。手術現場でのAI活用によって術者の技術や習熟度に左右されることなく、どの医師でも高度な操作を行うことが可能になりました。

遠隔での医療支援

深層学習の活用により、インターネット環境を利用した治療の指導やモニタリングだけでなく、遠隔での疾病診断や疾患の特定を行うことが可能になりました。今後も、地方や諸島部など遠方に住む人々に対して幅広く普及されることが期待されています。

事例2:IoT家電

IoT家電とは、インターネットに接続することが可能な家電のことです。例えば、遠隔操作ができるエアコンや冷蔵庫と連携してその中に入っているものでできる料理のレシピを通知してくれる電子レンジなどがそれにあたります。このようなIoT家電にもAIによる深層学習が活用されています。例えばシャープが開発したAI搭載の洗濯乾燥機は、毎回洗濯するたびに利用者の好みの仕上がりを学習して、次の洗濯でそれを反映させていくことができます。

事例3:自動翻訳機

深層学習の活用によって、自動翻訳機による翻訳の精度が格段と向上しました。翻訳精度向上につながった要因の1つは、深層学習が持つ人間と同じような言語処理能力の活用です。そのため同じ読み方をする言葉でも、シーンによっていくつかの意味を瞬時に表現することが可能になりました。AIによる自動翻訳技術は、今後も人々の生活やビジネスなど幅広い場面で活躍していくことが期待されています。

機械学習と深層学習活用時の注意点

機械学習と深層学習の活用は、私たちの日常に幅広く利便性をもたらすものでありますが、一方で開発に携わる際にはいくつかの注意点もあります。下記では、機械学習と深層学習を活用する際に気をつけるべき3つの注意点を解説します。

事前に十分なデータ収集が可能か確認する

機械学習と深層学習を活用したシステムの精度を上げるには、できる限り多くのデータを確保することが必要不可欠です。せっかく新しいシステムを開発しても、データ収集不足の場合はその精度が下がってしまうため、結果的に既存システムの機能より劣ってしまうという可能性も考えられます。そのため機械学習や深層学習をビジネスで活用する際は、事前に十分なデータが確保できそうかを確認してから検討するようにしましょう。

コストに見合う成果が期待できるか判断する

機械学習と深層学習を活用したシステムを開発する場合、学習までのデータ収集や分析、パソコンでの加工作業などに多くのコストがかかります。無駄なコストをかけることにならないよう、事前にコストに見合った成果が見込めるか、多くの時間や費用をかけてでも実現したい機能であるかどうかを十分に確認しておく必要があります。

判断プロセスのブラックボックス化を事前に認識しておく

ビジネスにおけるブラックボックス化とは、業務遂行や何らかの判断を起こすまでのプロセスが見えなくなってしまう現象のことを言います。機械学習、深層学習を活用したシステムを開発した場合、AIによって導き出される結果とそれを判断するまでのプロセスが不明確になることはよくあることです。そのような場合でも、開発者がAIの判断理由を説明できるかどうか、その判断内容をビジネスの現場で採用できるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。

おわりに

ここまで、機械学習と深層学習の基本的な概念、それぞれの違い、活用事例について解説しました。機械学習と深層学習の仕組みやどのような場合に活用されているかについて理解が深まりましたでしょうか。それぞれ、私たちが日常生活でよく利用するシステムやマーケティングなどのビジネスだけでなく、命に関わる重要な場面でも活用されています。今回は一部の事例を紹介しましたが、その他にも機械学習や深層学習は幅広く活用されています。今後も機械学習や深層学習を活かした新しいビジネスシステムの開発により、私たちの日常生活や社会全体に対してさらに利便性や安全性をもたらしてくれることでしょう。それらの新しいシステム開発に携わる方は、事前のデータ収集やコスト、見込まれる成果などを十分に確認しておく必要があります。まずは機械学習、深層学習それぞれの学習方法を正しく理解しておくことが第一です。

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