公開日:2024.03.11 更新日:2024.03.18

創造的思考(クリエイティブシンキング)とは何か。その重要性とポイントについて解説

現代社会はテクノロジーの進化やグローバル化などにより、ビジネスの変化スピードが日を追う毎に加速しています。このような変化の時代には、新たなビジネスモデルやプロダクトが誕生しやすく、それらの誕生の土台となるのが「創造的思考(クリエイティブシンキング)」です。

過去の事例に捕らわれすぎる事無く、自由な発想を主題とする創造的思考は、AIの活用フィールドの広がりをはじめとする時代の転換期とも言える現在の社会において、とても重要な思考法であると考えられます。

本記事では、創造的思考の概要から解説を始めます。

そこから、創造的思考と並べて「三大思考法(トリプルシンキング)」として語られる、論理的思考(ロジカルシンキング)や批判的思考(クリティカルシンキング)についても触れてみたいと思います。

その後は、創造的思考が転換期を迎えている現代のビジネスシーンにおいてどのような力を発揮するのか、そして、創造的思考の恩恵を最大化するために重要なことは何かについて解説します。

創造的思考(クリエイティブシンキング)とは何か

ビジネスシーンの変化のスピードが加速し、新しいアイデアやイノベーションを矢継ぎ早に求められる時代となっています。そうしたニーズに応える思考法として注目されているのが、「創造的思考(クリエイティブシンキング)」です。

創造的思考とは、これまでになかった新しい発想やアイデアを生み出す、独創的な思考法のことを指します。既成概念にとらわれず、柔軟な視点で物事を捉えることを重視します。

特徴としては、次の3つがあげられます。

・既成概念にとらわれない柔軟な発想

・アイデアの量を重視した思考

・直感を大切にした思考

既成概念にとらわれず、自由な発想をすることで、今までになかった斬新なアイデアが生まれます。また、短時間で大量のアイデアを出す「ブレーンストーミング」の手法を取り入れることが多く、アイデアの量を重視します。

一方で、創造的思考のみに頼ると「ただのアイディア豊富な人」に陥ってしまう危険性もあります。そこで、後述の論理的思考や批判的思考を上手に組み合わせながら、直感に基づく柔軟な発想をビジネスの場に適切に落とし込む流れを作ります。

創造的思考のみのビジネスは、詰まるところ「面白い事を行き当たりばったり展開するビジネス」になってしまうため、斬新なアイディアをビジネスに適切に落とし込むための別の切り口(思考法)とセットにしておく事が重要なのです。

創造的思考により斬新なアイディアに辿り着き、論理的思考や批判的思考により現実的な着地点を模索する事が理想です。

ビジネススピードが日々加速している現代では、企業が市場における先発的優位性を保つために、連続的なイノベーションが不可欠です。創造的思考法は、その源泉になり得る物として大きな注目を集めています。

このように「既成概念に捕らわれずに柔軟な発想」という言い回しでは、少々難しく感じてしまうかもしれません。

そこで、より噛み砕いた言い回しをしてみたいと思います。

「こどもは新たな遊びを開発する天才だ」という言い回しを耳にした事があるかと思います。創造的思考の根っこは、まさにそこです。

そこには「これまではこうしていた」「正しい使い方をするべきだ」などという知識は無く、ただ「より楽しむために」という思考のみが存在します。

そのように、与えられたおもちゃ本来の使い方とは全くちがう遊びを生み出す「創造的思考」の能力は、元々誰にでも備わっているのです。

三大思考法(トリプルシンキング)について

ビジネスシーンを中心に注目を集めている創造的思考(クリエイティブシンキング)ですが、その創造的思考とセットで語られる思考法があと2つ存在します。

それは「論理的思考(ロジカルシンキング)」と「批判的思考(クリティカルシンキング)」です。それらを合わせて三大思考法(トリプルシンキング)と称されています。

創造的思考については前項にて触れていますので、ここでは残りの2つの思考法である「論理的思考」と「批判的思考」について解説していきます。

■論理的思考(ロジカルシンキング)について

論理的思考(ロジカルシンキング)とは、物事に筋道を立てて分析し、主張に対する根拠を論理的に説明しながら結論を導き出す思考法です。ここでは飛躍したインスピレーションを持ち込まずに、客観的な事実関係やデータをベースに、整合性や因果関係などを重視します。

特徴をまとめると、以下のようになります。

・論理的な分析を中心とした思考

・事実とデータを重視する

・整合性を重視する

論理的に正しく結論を導くことを優先させるため、新しい発想やアイデアよりも過去の事象を見つめ直し、既存の枠組みの中で深掘りすることに適しています。

■批判的思考(クリティカルシンキング)について

一方で批判的思考(クリティカルシンキング)は、物事に対して批判的な視点を持ち、多角的に検証する思考法です。

批判的思考という名称から、ネガティブな考え方だと誤解されがちですが、その本質は「検証の重要性を意識する」という事にあります。

特徴としては、以下があげられます。

・多角的な視点で検証する

・既成概念にとらわれない

・本質を見極める 独自の考えを持ち、既成概念に捉われ過ぎることなく、事実関係や根拠を様々な角度から検証します。物事の真の姿に迫ろうとする姿勢が重要視されます。

つまり、既成概念にとらわれすぎることなく、「本当にこれでいいのか」を突き詰めながら物事の本質を見極めようとする思考法です。

この批判的思考が目指す先について、少し平易な言い回しをするならば「バイアスを排除した視点で検証を重ねる」という事であり、さらに砕いた言い方を採用するならば「色眼鏡を外して考える」という事です。

この三大思考法はそれぞれ違う特徴があり、状況に応じて使い分けることが大切です。一見すると共存が難しそうに見えるかもしれませんが、そんなことはありません。

例えば、新たなアイディアを探し求める創造的思考の原動力は、それまでの物事の本質と課題に向き合おうとする批判的思考ですし、アイディアをビジネスの場に落とし込むために論理的思考は欠かせません。

現代のビジネスシーンにおける複雑な課題を解決するためには、三つの思考法のバランスを考慮した上で、それぞれの思考法を正しく使い分ける事が重要になります。

GeNEE_時代の転換期に必要なクリエイティブシンキング

創造的思考(クリエイティブシンキング)は時代の転換期に力を発揮する

ビジネスシーンはもちろん、様々な場面で変化が加速している現代において、独創的なアイデアや技術革新にもスピードが求められる時代となっています。こうした激動の時代では、創造的思考が力を発揮します。

例えば近年急速に注目を集めているAI(人工知能)は、私たちの身の回りのあらゆる分野で革新的な可能性を秘めています。大きな可能性を秘めているAIではありますが、その恩恵を最大化する為には、AIをどのような場面で活用し、どんな社会課題を解決するのかについての新たなアイディアが必須となります。

つまり、まさにAIによる時代の転換期といえる現代においては、これまでとは異なる考え方でAIと社会を結び付ける「現時点では飛躍しているインスピレーション」が必要となり、それを生み出す源泉が創造的思考なのです。

ここで人類史を少しだけ振り返ってみます。これまでの歴史を遡れば、人類は多くの科学技術革新を経て進歩の道筋を歩んできましたが、その裏には常に創造的思考がありました。

例えば電球や蓄音機をはじめとする発明王として知られるトーマス・エジソンがいます。彼はひとつの発明に対して途方も無い回数の失敗を積み重ねていました。それはまさに、既成概念に捕らわれず失敗を恐れないという創造的思考が行動の源泉になっていたと捉える事が出来ます。

近年ではApple社のスティーブ・ジョブズ氏も、世界に先駆けて新たなプロダクトを生み出す力は、やはり創造的思考による物だったと考えられます。

このように、時代を動かす天才達が共通して持っていた行動力の源泉が創造的思考なのです。 AIをはじめ、様々なイノベーションが必要とされる現代こそ、創造的思考をはじめとする三大思考法を的確に取り入れ、既成概念の先にあるこれからの時代を作り上げるチャンスではないでしょうか。

ビジネスシーンで創造的思考(クリエイティブシンキング)が重要となる場面について

私たちが日々活動しているビジネスシーンでも、既成概念にとらわれない柔軟な発想が求められる場面は数多く存在します。それは例えば、新規プロダクト開発や新規事業立ち上げのタイミングであり、あるいは既存事業の改善の場面です。

では、具体的にそれぞれの場面でどのように創造的思考が重要視されるのでしょうか。3つの場面を想定して考えてみたいと思います。

〈創造的思考が重要な場面その1/新製品・サービス開発の場面〉

消費者ニーズやテクノロジーが刻々と変化する中、従来の延長線上にない発想が求められます。競合他社に先んじて先進的なサービスやプロダクトを提供するには、既成概念からの脱却が欠かせません。

〈創造的思考が重要な場面その2/事業再生・転換の場面〉

事業再生でも、合理化や事業譲渡といった一般的手法にとらわれず、業態転換といった大胆な選択肢を描ける柔軟性が重要です。既存の事業資産を違う形で再構成する創造的な考え方が力を発揮します。

〈創造的思考が重要な場面その3/組織改革の場面〉

組織改革においては、昔ながらのトップダウン式の指示命令系統から脱却し、メンバーが自律的に動ける組織をつくるなど、創造的思考による新たな組織形態を生み出す事が出来ます。これまでの概念に捕らわれない組織の関係性は、新たなアイデアを生み出す源泉となり、ビジネスの好循環を生み出すきっかけにもなり得ます。

いずれも、成功への近道は大きな発想の転換にあるといえます。外部環境や内部資源を違う視点で捉えなおし、ビジネス的改革を起こすことができれば、事業は新たな成長の為の種を手に入れる事になります。

不確実かつスピード感を求められる変革期の現代だからこそ、ビジネスにおいて創造的思考は欠かせません。既成事実や成功事例にとらわれない柔軟性こそが、企業の先発的競争優位を生み出す源泉となり得るのです。

GeNEE_許容するチームワークがクリエイティブシンキングを強める

創造的思考(クリエイティブシンキング)の効果を最大化するポイントは「寛容性」である

「新しいアイデアやイノベーションを生み出す上で、最も重要な資質は何か。」創造的思考を成功に結びつける為であるに重要な資質を問われているとするならば、その回答は「寛容性」であると考えます。

既成概念からの解放は容易なことではありません。ましてや、過去に特定の成功体験がある場合は、そこから逸脱したアイデアに対する忌避感が生まれるのは必然であるとすら言えます。誰でも過去の成功をもう一度トレースしたいという思いは持ち続ける物です。

そこで「寛容性」が重要になります。寛容性とは、他者や違う意見を受け入れる度合いの高さを示す言葉です。寛容であるほど多様な価値観を理解でき、狭い枠や既成概念から脱却できるのです。

プロジェクトが改革や新規開発を目的とする物であるならば、そのチームメンバー全員が寛容性を意識的に心に忍ばせる必要があります。

もしも寛容性が低い環境に無理をして創造的思考を取り込もうとした場合はどうなるでしょうか。例えばプロジェクトリーダーが自分と違う意見に対して拒絶反応を示すチームでは、プロジェクトチーム全体の視野が狭まり、メンバーも萎縮して新たなアイデアの発信をしにくくなります。結果として、新しいアイデアを取り入れることが難しくなります。

創造性を発揮するには「知ることの楽しさ」が重要です。好奇心を保ち、自分と異なる視点に触れ、そこから学ぶことが大切です。この姿勢こそ寛容性なのです。

他者のアイデアを認め、新たな発見を楽しみ、トライアンドエラーを前提とする「寛容性」

を持つプロジェクトでは、創造的思考が最大限の効果を発揮することができます。

まとめ

現代のビジネスシーンは、AIをはじめとした新たなムーブメントを背景とした転換期にあると言えます。このような時代で、ビジネスを更に発展させる鍵として、創造的思考(クリエイティブシンキング)は非常に大きな力になります。

一方で、創造的思考だけに頼ってしまっては「珍しいことを繰り返すだけの行き当たりばったりなプロジェクト」に陥ってしまう危険性もあります。そこで、創造的思考と同時に「論理的思考」や「批判的思考」を取り込むことが重要になるのです。

三大思考法を適宜取り入れることで、創造的思考は完成します。

創造的思考を最大限活用するために「寛容性を持ったプロジェクトチーム」の存在は不可欠です。過去の成功体験に縛られない新機軸のアイデアの誕生を期待する創造的思考には、プロジェクトメンバーが斬新なアイデアを気兼ねなく交換し合う環境が重要だからです。

日進月歩の現代ビジネスシーンのスピード感に追いつくために、そして先発的優位性を獲得するために、創造的思考をプロジェクトに意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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