公開日:2024.01.04 更新日:2024.01.17

システム・アプリ開発におけるペルソナ設定の重要性とは?

システムやアプリ開発の成功とは何か。そのひとつの答えが「リリースされたシステムを利用する事により快適さが向上する」というユーザー体験であると言えます。
どんなに機能的に優れたシステムを開発しても、ユーザーの求めている結果に結びつかなければそれは成功例とは言えません。
そして、その成功のためのカギがペルソナ設定です。
ユーザーのニーズを正確に把握し、優れたユーザービリティを提供するために、ペルソナ設定が重要な役割を果たします。

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ペルソナ設定とは

まずはじめに、ペルソナとは何か?について触れてみたいと思います。
ペルソナとは、元々はマーケティング用語です。ユーザー像を具体的に想像・設定し「ユーザーに使ってもらえる」プロダクトを開発するための定義を指します。

よく似た概念にターゲット設定という物がありますが、両者の違いはその具体性です。

■ターゲット設定の例
・年齢/20代半ば〜30代前半
・性別/女性
・職業/会社員(事務職)

■ペルソナ設定の例
・名前: 佐藤花子
・年齢: 28歳
・性別: 女性
・家族構成: 独身
・職業: 広告系企業の正社員(事務職)
・勤務地: 丸の内
・通勤: 埼玉県川口市から電車で片道1時間
・朝の習慣: 会社近くのカフェでコーヒーをテイクアウトし、出勤
・趣味と嗜好その1:読書: 電車での通勤時間に本を読むことが好き
・趣味と嗜好その2:休日には友達と一緒に新しいカフェを発見するのが楽しみ
・趣味と嗜好その3:音楽: オフィスでの作業中には、落ち着いた音楽を聴くことがある
〈上記から導き出されるニーズと期待〉
・効率的な通勤: 長時間の通勤を快適かつ効率的に過ごすための手段が欲しい
・仕事効率: 仕事の効率を向上させるツールやアプリに興味があり、使いやすさが重要
・カフェ体験: カフェでのリラックスしたひとときを大切にし、新しいカフェを見つけることが好き

このように、ターゲット設定では大まかな属性・集団を定義しますが、ペルソナ設定では具体的な人物像を定義し、そこからより具体的なニーズを想定します。

GeNEE_システム開発におけるペルソナの重要性

システム・アプリ開発におけるペルソナ設定の意義

次に、システム・アプリ開発におけるペルソナ設定の意義について触れていきます。

システム・アプリ開発におけるペルソナ設定の要点ですが、噛み砕いて言語化してしまうと、「誰のためにシステム開発をするのか」を設定するという事になります。その「誰」の部分を出来るだけ具体的に練り上げ、架空のユーザーの細部まで想像する事が、ペルソナ設定のポイントです。

例えば、弊社のシステム・アプリ開発プロジェクトでは、実際にシステムを利用する方々にインタビュー調査やヒアリング調査の機会をいただき、ITリテラシーレベルなどを確認します。高齢の方が多数在籍している会社様もあれば、インターネットに強い若者中心の会社様もあり、それは千差万別です。汎用的なパッケージシステムやSaaS型のサービスでは、どうしても痒い所に手が届かず、使いにくく、UI/UXの低いものとなってしまいますが、しっかりとユーザ調査を重ねたシステム・アプリ開発を行いますと、ユーザにとって「使いやすさ」、そして「効率の良さ」を重視したシステムを生み出すことができ、そのようなシステムをしっかりと作ることで結果的に重複業務(無駄)の排除、業務属人化の防止、コスト削減を実現し、競合他社と比べた差別化要素を持つことができるのです。

意外と失敗するペルソナ設定

残念ながらペルソナ設定にも失敗は存在します。
ペルソナ設定は、出来るだけ具体的な架空のユーザー像を作り上げる作業ですが、それには気を付けるべきポイントがあります。


それは、出来るだけ具体的にしつつも、あまり特殊な存在にし過ぎないバランス感覚です。
具体的に人物像を練り上げたものの、仕上がったペルソナ設定が「日本に何人いるのだろう?」という特殊な人物像では、そこに向けて開発されたシステムの失敗は目に見えていますね。

■失敗例その1「スーパーマン過ぎるペルソナ」
“田中太郎。34歳。元タレントの妻との間に1男2女の子宝に恵まれる。こども達はそれぞれ、エスカレーター式私立の中学1年生、小学校5年生、小学校2年生。太郎は総合商社の部長職として、海外戦略も担当。年の半分はヨーロッパを中心に世界中を飛び回っている。趣味は車。所有しているのはランボルギーニとフェラーリ。日本語、英語、中国語のトリリンガルである。学生時代は水泳に打ち込み、強化選手にも選ばれている。当時タレントだった妻との出会いは、スポーツ番組の取材であった。”

一見、具体的なペルソナのようにも見えますが、果たして該当する人物は日本に何人いるのでしょうか。この「田中太郎」さんを想定して開発を行えば、非常にニッチなシステム・アプリが完成してしまうことでしょう。

■失敗例その2「とてもぼんやりとしている」
“佐藤花子。毎日の通勤時間の長さにうんざりしている30前後のOL。片道1時間の通勤時間の過ごし方は、スマホで動画チェックである。ランチタイムには、会社近くのお洒落なカフェを利用することもあるが、節約のために週の半分はお弁当を持参している。”

いかがでしょうか。失敗例その1のスーパーマンに比べると、ペルソナとしては優秀なように見えます。しかし、ペルソナに求められる具体性に欠けている事が問題です。
この失敗例その2は、ペルソナ設定では無くターゲット設定になっていると言えます。
ペルソナ設定とターゲット設定はとても似通っていますので、しっかりと線引きが必要です。

システム開発におけるペルソナ設定の成功例

前項のペルソナ設定の失敗例を念頭に、正しく設定されたペルソナを利用したシステム・アプリ開発の成功例を挙げてみます。

■成功例その1「Apple社のiPhone開発」
Apple社では、iPhone開発のために複数のペルソナを設定し、それぞれの行動シナリオを作成。見事に「先鋭的かつ直感的な操作を実現し、通勤者や大学生に広く愛される」という開発に成功しています。

■成功例その2「ECサイトのペルソナ設定」
ECサイトにおけるペルソナ設定の重要さは大変分かりやすいと思います。そのECサイトの顧客を具体的に設定することで、ユーザーにしっかりと刺さるシステム構成、商品ラインナップを実現する事ができます。

GeNEE_UIUXとしてのペルソナ

ペルソナ設定は重要だが、固執してはいけない

ここまで、ペルソナ設定の重要さを語ってきました。苦労して設定したペルソナですが、残念ながらいつまでも大切に抱え込んでいてはいけません。

ペルソナ設定は、あくまでもその時期のひとつの事例を想定した物であり、時間が経てばユーザーのニーズは変化します。
それに合わせて、ペルソナ設定も柔軟性を持つことが重要です。

例えば、世間で新たな技術が発展し、システムに求められる事やユーザーの層が変わるかもしれません。
ユーザーは思いのほか、新しい技術やトレンドに敏感です。「もっとこうだったら良いのに」というユーザーの要望は常に変化するものであり、ペルソナ設定もそのようなユーザーの変化に合わせて更新する必要があります。

まとめ

システム開発におけるペルソナ設定は、ユーザー中心のアプローチを実現し、具体的なユーザー像を想定することで、ユーザーのニーズや期待を正確に理解します。
これにより、必要とされる機能やデザインを最適化し、効果的なユーザーエクスペリエンスの提供を実現します。
また、ペルソナの存在は、開発プロセスの効率化やマーケティングとの連携に大きな力を発揮します。それにより競争力を獲得し、ユーザーの満足度を持続させることに寄与します。

ペルソナ設定はシステム開発を取り巻く様々な部門の中心となり、あらゆる角度から常に参照しながらプロジェクトを進めることで、開発・デザイン・マーケティングなど、部門毎の足並みを揃える重要な役割を果たすのです。

システム開発やアプリ開発、UI/UXデザインに関するご要望がございましたら、ぜひGeNEEまでご相談ください。お客様のニーズや将来的な事業方針をヒアリングした上で最適な開発手法をご提案いたします。こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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