公開日:2023.07.18 更新日:2023.07.18

Ruby on Railsとは?特徴やメリット・デメリット、活用事例を紹介

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Ruby on Rails(ルビー オンレイルズ)は、世界的に人気が高いRubyフレームワークです。Ruby on Railsを使うことで、Webアプリケーションやデータ管理システムを効率良く開発できます。本記事では、そんなRuby on Railsの特徴やメリット・デメリット、活用事例をわかりやすく解説します。

Ruby on Railsとは

Ruby on Railsとは、Rubyを使った開発を支援するフレームワークです。略してRoR(アールオーアール)と呼ばれたり、単にRails(レイルズ)と呼ばれたりもします。Ruby on Railsは、デンマークのプログラマであるデイビット・ハイネマイヤー・ハンソン氏によって開発され、2005年にリリースされました。

このRuby on Railsの「Ruby(ルビー)」とは、プログラミング言語の一つで、直感的でシンプルなコードでプログラムを構築できるという特徴があります。Rubyで開発する場合は、Rubyフレームワークを用いることで大幅に開発効率を上げられます。

フレームワークとは、アプリの土台となる構造やアーキテクチャ・基本的な機能の実装を含んだ開発支援ツールのことで、Ruby on Railsは数あるRubyフレームワークのなかで最も人気が高く、世界中で活用されています。Ruby on Railsの人気が高いことで、Ruby自体の人気も高まったという傾向もあるほどです。

Ruby on Railsの特徴

Ruby on Railsには次の特徴があります。

  • ・MVCパターンを採用
  • ・DRY
  • ・CoC
  • ・RESTフル

MVCパターンを採用

Ruby on Railsは、MVCパターンと呼ばれるアーキテクチャを採用しています。MVCパターンとは、アプリケーションの構成要素をModel(データの処理ロジック)、View(ユーザーインターフェース)、Controller(ModelとViewの制御)という役割で明確に分離する設計パターンのことです。

MVCパターンは、構成要素を役割ごとに分離することでそれぞれの要素の独立性が増し、保守や再利用がしやすくなるといったメリットがあります。そのため、多くのフレームワークで採用されています。Ruby on Railsも、MVCパターンを採用したことで、保守性や再利用性に優れた開発が可能です。

DRY

DRY(Don’t Repeat Yourself)とは、「同じコード・同じ情報を何度も書かず、1カ所だけに記述する」という設計哲学であり、Ruby on Railsがリリース初期から徹底して貫いている原則の一つです。Ruby on Railsには、開発者がDRYを守れるような仕組みが備わっています。開発者は、DRYを意識してプログラミングすることで、少ないコード量で品質の高いアプリケーションを開発できます。

CoC

CoC(Convention over Configuration)も、Ruby on Railsが貫いている設計哲学の一つです。直訳すると「設定よりも規約」という意味で、Ruby on Railsがあらかじめ用意している規約に従って開発することで、フレームワークの設定の記述量を大幅に省略できるようになっています。開発者はロジックのプログラミングに専念できるため、開発速度が高まるといったメリットがあります。

Ruby on Railsという名称にも、「あらかじめ敷かれたRails(線路のレール)に沿ってアプリケーションを構築することで迷わずスムーズに開発できる」という意味が込められています。

RESTフル

REST(Representational State Transfer)とは、Webアプリケーションの設計概念の一つで、機能ではなくリソースを中心にして設計するという考え方のことです。

具体的には、次のような設計を指します。

  • ・Webアプリを構成する全てのリソースに一意のURLを付与する
  • ・一意のURLを通してリソースを操作できる

RESTに基づいていることを「RESTフル」と呼び、シンプルで統一感があるリソース操作が可能です。Ruby on RailsはRESTフルであり、リソース操作要求のインターフェースを担うControllerを効率良く記述できます。

Ruby on Railsで開発するメリット

Ruby on Railsで開発する主なメリットには、次のようなものがあります。

  • ・開発スピードが速い
  • ・Ruby on Railsだけで開発環境が整う
  • ・最新の技術を導入できる

開発スピードが速い

Ruby on Railsを使うと、開発スピードが格段に速くなります。特に、プロトタイプ(動くもの)が非常に速く作れます。その理由は、DRYやCoC、RESTなどの特徴によって少ないコード量でアプリケーションを構築できるためです。

Ruby on Railsだけで開発環境が整う

Ruby on Railsはフルスタック(全部入り)のフレームワークであり、ライブラリやコード生成ツールをはじめ、データベースとの連携ツールや動作確認のためのサーバーなど、開発に必要なツール類は全てそろっています。そのため、Ruby on Railsをインストールすれば開発環境が整い、すぐに開発に着手できます。また、ライブラリ同士の相性やバージョン違いによる不整合を意識せずに開発を進められます。

最新の技術を導入できる

Ruby on Railsは、昨今のさまざまなWeb技術トレンドやセキュリティに対応しています。そのため、高度で複雑なプログラミングをせずとも、Ruby on Railsを使って簡単に最新のWeb技術を導入できるのも大きなメリットです。例えば、Ruby on Railsの最新版(2023年7月時点)であるバージョン7.0を使えば、最近流行のSPA(Single Page Application)を開発する際に、より簡単な設定でモダンなJavaScriptを活用できます。また、データベースへのリソースの入出力を暗号化した状態で行えるなどの強力なセキュリティ機能を導入できます。

Ruby on Railsのデメリット

非常に人気が高く、メリットが多いRuby on Railsですが、次のようなデメリットも存在しています。

  • ・処理能力が遅い
  • ・大規模アプリに向いていない

処理能力が遅い

Ruby on Railsは、処理能力が遅いというデメリットがあります。遅い理由は、Ruby言語自体が持つ次の特徴に由来しています。

  • ・コードを1行ずつ翻訳しながら実行するインタプリタ言語である
  • ・デフォルトでは同時に実行できるスレッドが1つだけに制限されていて、複数の処理を並列に実行できない

処理能力が遅いRuby on Railsは、一度に大量のデータを処理する必要があるシステムの開発には向いていません。

規模の大きなアプリに向いていない

Ruby on Railsは、大規模なアプリ開発には向いていない側面があります。その理由は、開発の規模が大きくなるとRuby on RailsがもつDRYやCoCといった原則が足枷になるケースが出てくるためです。

同じコードを何度も書かないDRY原則は、アプリの規模が大きくなると、要素間で過度な依存が生じてしまい、修正や保守が難しくなることがあります。また、規約を重視して設定を省略するCoCにしても、大規模なアプリではデフォルトの設定が適さないケースがでてくるため、規約を上書きしてカスタマイズ対応することになり、設定や設計が複雑になってしまいます。

Ruby on Railsの活用事例

こちらの節ではRuby on Railsの活用事例について紹介します。

小規模から中規模のWebアプリ開発

大規模アプリ開発には向かないRuby on Railsですが、小・中規模のアプリ開発では大きな力を発揮します。非常に短期間のうちに、保守性にも優れたアプリを開発できるRuby on Railsは、特に立ち上げ直後のスタートアップ企業のような、開発スピードが何よりも重視される企業では強力な助けとなります。

ECシステム

Ruby on RailsはECサイトの開発にも適しています。Ruby on Railsを使えば、ECサイトに必須となる認証や支払いの処理をライブラリで簡単に実現できるためです。データベースの操作に関しても、SQL(データベースを操作するための言語)を使わずにRubyのコードで操作できるため、生産性や保守性が高まります。そのため、ECサイト開発でRuby on Railsが活用されるケースも多くあります。

業務システム開発

社内で利用する業務システムの開発にも、Ruby on Railsが適しています。メール送信や認証など業務システムでよく使われる機能をライブラリで簡単に実現でき、短期間で開発が行えるためです。また、開発したシステムの保守性が高いため、業務形態の変化に合わせた機能拡張や仕様変更に容易に対応できます。

まとめ

Ruby on Railsは、Rubyを使った開発を支援するRubyフレームワークです。MVCパターンを採用していて、DRYやCoCといった原則を貫いているといった特徴を持っており、少ないコード記述量で保守性が高いアプリを開発できます。そのため、非常に短期間でWebアプリやシステムを開発することが可能です。一方で、処理能力があまり高くなく、大規模アプリ開発には向いていないといったデメリットもあります。

システム開発やアプリ開発では、開発するアプリケーションの特性や規模、環境によって適切なフレームワークやライブラリを選択することが成功の鍵となります。システム開発やスマホアプリ開発のご要望がございましたら、ぜひGeNEEまでご相談ください。お客様のニーズや将来的な事業方針をヒアリングした上で最適な開発手法をご提案いたします。

こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。

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