公開日:2023.07.25 更新日:2023.07.25

Next.jsとは?特徴やメリット・デメリット、Reactとの関連性を解説

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Next.js(ネクスト・ジェイエス)というフレームワークをご存じでしょうか?Next.jsは、React(リアクト)をベースにしたWebアプリケーションフレームワークで、ReactによるWebアプリケーション開発を強力に支援します。

本記事では、そんなNext.jsの特徴やメリット・デメリット、Reactとの関連性について解説します。

Next.jsとは

Next.jsとは、Reactベースのフレームワークです。

Vercel(バーセル)社が開発したオープンソースのフレームワークであり、2016年にバージョン1がリリースされました。人気が高いWebアプリケーションフレームワークの中では、比較的新しい部類と言えます。

フレームワークとは、アプリケーションの基盤となる構造や設計パターン、基本機能の実装を含んだ開発支援ツールのことです。Next.jsは、Reactを使ったアプリ開発を強力に支援します。Reactとは非常に人気が高いJavaScriptライブラリで、WebアプリのUI構築に特化した機能を提供しています。

Next.jsを使えば、Reactだけでは実現が難しい機能をもったアプリも開発できるようになります。特にWebのパフォーマンスを高める機能が豊富なため近年注目されており、アプリ開発に導入される事例が増えてきています。

Next.jsの特徴

Next.jsには次のような特徴があります。

  • ・ファイルシステムベースルーティング
  • ・サーバーAPIも実装できる
  • ・画像の最適化
  • ・高パフォーマンスなレンダリング方式

ファイルシステムベースルーティング

Next.jsは、ファイルシステムベースのルーティング機能を持っています。ルーティングとは、特定のURLが指定されたときに、どのJavaScriptコードを実行するかを決定する仕組みです。ファイルシステムベースのルーティングでは、特定のディレクトリにJavaScriptコードを配置すると、そのコードのファイル名がそのままURLとして適用され、URLとコードが自動的にひも付きます。ルーティングに関する設定を開発者が記述する必要がないため開発が迅速になり、設定ミスによる不具合も防げます。

サーバーAPIも実装できる

Next.jsは、サーバー側のAPIも実装できるAPIルートという機能を持っていて、簡易的なサーバー機能を実装できます。実際には、サーバーの実装はPHPやJavaなどのフレームワークが使われることが多く、Next.jsが採用されることは少ないでしょう。ですが、開発中にNext.jsで簡易的なサーバー機能を簡単に作成できるため、サーバーサイドの実装を待たずに結合テストが行えるなど、開発効率を上げるのに役立ちます。

画像の最適化

Next.jsは画像のレンダリングを高速化する機能を提供しています。具体的には、次のような機能があります。

  • ・表示サイズなどを考慮して画像サイズや形式を最適化する
  • ・ブラウザに表示される領域の外にある画像の読み込みを後回しにすることで、表示領域内の表示を高速化する

高パフォーマンスなレンダリング方式

Next.jsはSG(Static Generation)やSSR(Server Side Rendering)といった、高パフォーマンスなレンダリングの仕組みを提供しています。従来のReactを使ったWebアプリは、クライアント側でJavaScriptを実行してレンダリングしていました。これをCSR(Client side Rendering)と呼びます。CSRには、クライアントのデバイススペックによってはレンダリングが遅くなるといったデメリットがありました。

一方、Next.jsが提供するSGやSSRはサーバー側でレンダリングする仕組みです。そのため、クライアントのデバイススペックに依存しない高速なレンダリングが可能となります。

SG(Static Generation)

ユーザーのブラウザに表示する静的なページ(HTML)をあらかじめ生成しておき、クライアントから要求があったら生成済みのHTMLを返す方式です。サーバーは生成済みのHTMLを送信するだけ、クライアントは返されたHTMLを表示するだけなので、非常に高速にWebページを表示できます。

しかし、動的に表示内容を変更するようなWebページでは使いづらいといったデメリットもあります。例えば、認証したユーザーに合わせて表示する情報を動的に変えるようなページでは、全ユーザー分のHTMLをあらかじめ生成しておくのは現実的ではなく、SGの利用は向いていません。

SSR(Server Side Rendering)

クライアントから要求があったら、サーバー側でJavaScriptを実行してレンダリングを行い、その結果をクライアントに返す方式です。クライアント側ではレンダリング結果を表示するだけなので、ユーザーのデバイススペックに依存しない高速なWebページ表示が可能です。つどレンダリングする方式のため、SGでは対応できない動的なWebサイトにも使えます。

ただし、SGと比べると次のようなデメリットがあります。

  • ・サーバー側に、JavaScriptを実行できる環境を組み込んでおく必要がある
  • ・クライアントから要求があるたびにサーバーでJavaScriptを実行するため、サーバーの負荷が高くなる
  • ・SGと比べるとページ表示の速度が遅い

Next.jsとReactとの関連性

Next.jsは、Reactを使ったWebアプリ開発をさらに効率的にするために設計されたフレームワークであり、Reactとセットで使うことを前提としています。Reactは、WebアプリのUI表示を高速化したり、UIをコンポーネント化(部品化)して再利用性を高めたりといった、UI構築の機能が豊富なライブラリです。しかし、ルーティング機能やSG/SSRといったシステム全体のアーキテクチャは含まれていません。これらの機能を実現するには、他のライブラリを追加したり、開発者が別途設計したりする必要があります。

そこで、登場するのがNext.jsです。Next.jsを使えば、ファイルシステムベースルーティングやSG/SSRといった機能を簡単に導入でき、Reactを使った開発を強力に支援します。

Next.jsで開発するメリット

Next.jsで開発することで、次のようなメリットを得られます。

  • ・快適なWeb体験を提供できる
  • ・開発効率の向上

快適なWeb体験を提供できる

Next.jsが持つ、サーバー側でのレンダリング機能(SG/SSR)や画像最適化の機能を活用することでWebサイトの初回表示が高速になります。Webサイトにアクセスした瞬間にページを表示できるため、ユーザーはイライラすることなく快適に閲覧を開始できます。快適なWeb体験には、ユーザーの離脱率を低減する効果が期待できます。

開発効率の向上

ファイルシステムベースのルーティング機能を活用することで、開発者はルーティングの設定を記述する必要がなくなり、ロジックのコーディングに専念できます。また、APIルートを使って簡易的なサーバーAPIを構築すれば、サーバーとの結合を確認しながら開発することも可能です。これにより開発効率が高まり、短期間でアプリ開発ができます。

Next.jsのデメリット

Next.jsには次のようなデメリットも存在します。

  • ・エンジニアが多くない
  • ・小規模なサイトには向いていない

エンジニアが多くない

Next.jsは、比較的新しいフレームワークのため、Next.jsの知識をもったエンジニアは、Reactと比べるとまだ少ないのが現状です。ただし、Next.jsの人気は高まっているため、エンジニアも今後増加していくと思われます。

小規模なサイトには向いていない

Next.jsが提供している機能は、サイトの規模が大きいほど有効に働きます。小規模なサイトをNext.jsで構築することも可能ですが、小規模なサイトではSG/SSRや画像最適化などが必要ないことも多く、機能過剰となってしまいます。小規模サイトでは、エンジニアが多く柔軟性が高いVue.jsなどのフレームワークを使う方が開発しやすいでしょう。

Next.jsの活用事例

Next.jsが活用されている事例を紹介します。

SPA

Next.jsがもつSG/SSRといったサーバ側のレンダリング機能は、SPA(Single Page Application)で特に大きな力を発揮します。

SPAとは、ページ遷移せず1ページ内で機能が完結しているWebアプリケーションのことで、ページ内の機能が豊富な分レンダリングに時間がかかる傾向があります。特に初回表示に時間がかかってしまうのがSPAの課題でした。Next.jsのSG/SSR機能は、この課題を解決してくれます。そのため、Next.jsは多くのSPAで活用され始めています。

コーポレートサイト

コーポレートサイトでもNext.jsが活用されています。コーポレートサイトや、オウンドメディアといった、更新頻度が少なくて動的な表示変更がないWebサイトでは、Next.jsがもつSGの機能が非常に有効に働きます。サイトに訪れたユーザーは非常に快適にサイト閲覧ができるため、企業の印象を高められます。

まとめ

Next.jsはReactベースのフレームワークです。Webサイトのパフォーマンスを高める機能が豊富なため、Next.jsでWebサイトを構築することでユーザーに快適なWeb体験を提供できます。また、開発効率を高める機能も備えており開発期間を短縮できるといったメリットもあります。一方で、エンジニアの数がまだ少ない、小規模サイトには向いていないといったデメリットも存在します。

Web開発では、開発するアプリケーションの特性や規模、環境によって適切なフレームワークやライブラリを選択することが成功の鍵となります。システム開発やスマホアプリ開発のご要望がございましたら、ぜひGeNEEまでご相談ください。お客様のニーズや将来的な事業方針をヒアリングした上で最適な開発手法をご提案いたします。

こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。

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