
目次
新規事業の成功を左右する最大の要因は「マーケティング設計」にあります。顧客のニーズを見誤り、戦略不在のまま施策を乱発しても成果は得られません。
本記事では、新規事業におけるマーケティングの全体像を体系的に解説します。

新規事業におけるマーケティングの重要性とは

新規事業を立ち上げる際、プロダクトやサービスそのものに注目が集まりがちですが、実際に事業の成否を分けるのは「誰に・何を・どう届けるか」というマーケティングの設計力です。単なる広告や販促活動ではなく、事業の軸となる戦略としてマーケティングを機能させることが求められます。
ここではまず、既存事業との違いや、新規事業が直面するマーケティング特有の課題、成功企業の共通点について解説します。
既存事業とのアプローチの違い
新規事業と既存事業では、マーケティングのアプローチに明確な違いがあります。
特に下記の3点が異なる視点として重要です。
| 観点 | 既存事業 | 新規事業 |
|---|---|---|
| 顧客理解 | 過去データや既存顧客から逆算 | 仮説構築からインタビュー・検証 |
| ブランド力 | 既存の信頼や知名度に依存可能 | ゼロから価値を伝える必要あり |
| 戦略立案 | 成熟市場を前提にした最適化 | 不確実性を前提とした仮説検証型 |
既存事業は「いかに効率化・最適化するか」が主軸ですが、新規事業では「仮説をいかに早く試し、修正するか」が鍵となります。この違いを理解せずに既存事業の延長線で進めてしまうと、思わぬ失敗を招くリスクがあるでしょう。
関連記事:新規事業と既存事業の違いとは?対立が起きる理由と両立させる設計
顧客ニーズを掴み切れずに失敗する理由
新規事業の失敗理由の多くは、プロダクトアウトの発想に陥り、顧客の本質的な課題を見誤ることにあります。よくある失敗パターンには以下のようなものがあります。
- 「便利だから使うはず」という一方的な前提で開発
- 顧客インタビューを実施したが、表面的な感想しか得られていない
- サービス設計が競合の模倣になっており、差別化が不十分
結果として、市場に出しても使われず、検証の手前で撤退せざるを得なくなるケースが多く見られます。ニーズ把握において重要なのは、言葉にされない不満や課題=インサイトを掘り起こす力で、マーケティングの初期設計でこそ鍛えるべき視点です。
成功企業はマーケティング設計から始めている
新規事業で成果を上げている企業は、マーケティングを「後工程」ではなく「起点」として位置づけています。
- 顧客インタビューから仮説を構築
- ターゲット像を明確にし、刺さるメッセージを設計
- 施策前に検証フローを組み込み、社内でPDCAが機能する体制を準備
例えばSaaS企業などは、プロダクト開発と並行してペルソナ設計やカスタマージャーニーの仮説検証を継続的に実施しています。こうした企業は、施策を打つ前の「設計力」が圧倒的に高く、競合との差別化も明確です。
マーケティングを設計段階から事業に組み込むかどうかが、成功と失敗を分ける大きな分岐点となるのです。
新規事業のマーケティング手順と考え方

新規事業のマーケティングは、単なる「集客活動」ではなく、顧客理解から提供価値の設計、検証、改善までを一貫して行う戦略的プロセスです。場当たり的に施策を積み重ねるのではなく、正しい順序でステップを踏みながら、精度の高い仮説検証を繰り返す必要があります。
ここでは、成功する企業が実践しているマーケティングの基本手順と、それぞれの考え方について見ていきましょう。
市場調査とインサイトの把握
マーケティング活動の出発点は、「誰に対して何を提供するのか」を見極める市場調査とインサイトの抽出です。特に新規事業においては、前例のない市場やニーズに向き合うことが多く、感覚的な判断ではリスクが高くなります。
効果的な調査
- 定量調査:市場規模、競合数、価格帯などの客観的データ
- 定性調査:ユーザーインタビュー、観察調査などによる潜在ニーズの発見
- トレンド調査:社会変化や技術革新による新たな価値観の把握
特に重視すべきは、「表層的な要望」ではなく、その背景にある課題や感情=インサイトに着目することです。表面的な「不便さ」だけを拾ってしまうと、似たようなプロダクトが乱立する結果になりやすくなります。
関連記事:新規事業における市場調査のやり方を徹底解説|調査手法から活用法まで
セグメンテーションとターゲティングの精度
市場調査で得た情報を基に、顧客をどのように分けて、誰を狙うかを明確にする工程がセグメンテーションとターゲティングです。
ここで曖昧さが残ると、後続の戦略や施策にブレが生じやすくなります。
| ステップ | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| セグメンテーション | 顧客を共通の特徴で分類 | 年齢、業種、価値観、行動パターンなど |
| ターゲティング | 優先的に狙う顧客を選定 | 20代の都市部在住×健康志向の層 |
「この人たちのためのサービスです」と言い切れるレベルまで絞り込むことで、メッセージや体験設計の一貫性が生まれます。中途半端な絞り込みでは、結局誰の心にも響かないマーケティングに陥ってしまうリスクがあります。
ポジショニングで顧客の選択理由を作る
ターゲットが明確になった後は、「なぜその人たちが自社を選ぶのか」という選択理由を設計する段階です。これがポジショニングの役割です。
例えば、健康志向のスナック菓子市場を想定した場合のポジショニングマップは以下の通りです。
| 高価格帯 | 低価格帯 | |
|---|---|---|
| 高健康価値 | A社(オーガニック専門/高級志向) | 自社(健康志向+手頃な価格/日常利用) |
| 低健康価値 | C社(高価格×嗜好重視のプレミアム系) | B社(量販店向け/価格訴求型) |
この図から見えてくるのは、「健康志向だが日常的に買える価格帯の商品が少ない」という市場の空白領域です。そこに自社がポジショニングすれば、他社とは異なる訴求ポイントを明確にできるでしょう。
また、ポジショニングマップを描く際のポイントは以下の通りです。
- 軸の選定が主観的すぎないこと(顧客の意思決定軸を想定する)
- マップで見えてきたポジションに、ちゃんとニーズがあるかを検証すること
- 競合の位置づけが曖昧な場合は、自社内での仮説で構わないが、後で実地調査すること
ポジショニングは単なる見た目のマップではなく、「顧客が他社ではなく自社を選ぶロジックを明文化する作業」です。詰めが甘いと、価格競争に陥ったり、メッセージが拡散して顧客に響かなくなります。
このように、競合と顧客ニーズのマトリクス上で自社の立ち位置を視覚化することで、「なぜ選ばれるか」のストーリーを論理的に構築可能です。ポジショニングが曖昧なままでは、価格競争に巻き込まれたり、機能の差別化が伝わらないまま埋もれてしまう可能性が高くなるでしょう。
戦略から施策への落とし込みと改善ループ
マーケティング戦略が整ったら、具体的な施策に落とし込み、PDCAで改善を繰り返すプロセスに移行します。ここで重要なのは、「施策の手段」ではなく「仮説と目的」が先に立っていることです。
施策への落とし込みでよく使われる考え方
- カスタマージャーニーの設計:認知→興味→比較→購入→継続の流れを描く
- チャネル選定:SNS、展示会、広告、営業などの最適化
- KPI設計:各フェーズに応じた定量・定性の指標設定
そして、施策を打ちっぱなしにせず、数値と声をもとに改善を回すループを回し続けることが、成果につながる最短ルートです。
成功するマーケティングは、単発のキャンペーンではなく、仮説と検証が連続する設計思想から生まれています。
主要フレームワークの活用と落とし穴

新規事業のマーケティングを進める上で、フレームワークの活用は欠かせません。状況整理や戦略立案に役立つツールではありますが、フレームワークを使うこと自体が目的化してしまうと、かえって判断を誤る原因にもなります。
ここでは、マーケティング実務でよく使われる代表的な分析フレームワークの「使い分け」と「実務でありがちな落とし穴」について整理しましょう。
3C・PEST・SWOTの使い分け
マーケティング戦略の全体像を描く際に活用されるのが、3C分析・PEST分析・SWOT分析の三本柱です。各フレームワークの位置づけと使いどころを明確にしておきましょう。
| フレームワーク | 主な目的 | 活用タイミング | 例示 |
|---|---|---|---|
| 3C分析 | 顧客・競合・自社の関係整理 | 市場参入前、強み・弱みの把握 | 顧客ニーズ × 競合の隙間 × 自社の強み |
| PEST分析 | マクロ環境の変化を把握 | 中長期戦略の前提条件整理 | 法規制の変化、人口動態、技術トレンドなど |
| SWOT分析 | 内外要因を統合的に分析 | 戦略方向性を決めるとき | 機会と脅威に対して強みをどう活かすか |
大事なのは、それぞれを独立して使うのではなく、情報の流れとして連携させていくことです。PESTで外部環境を捉え、3Cで市場と自社のポジションを整理し、SWOTで戦略を導く。こうした一貫した思考が、戦略の質を高めます。
STPとポジショニングマップで戦略に深みを出す
市場全体を把握した後、実際にどこを狙うかを具体化する際には、STP分析とポジショニングマップが有効です。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を意味ある単位で分類
- Targeting(ターゲティング):最も価値を届けたい層を決定
- Positioning(ポジショニング):その層に選ばれる理由を設計
単なる「幅広いニーズへの対応」ではなく、「この人に、こういう価値を、こう伝える」という戦略的なマーケティングが可能になります。
特にポジショニングマップを活用する際は、顧客の選択基準(価格・機能性・デザイン・信頼性など)を軸に置き、競合と差別化できる空白を見つける視点が重要です。マップが描けた段階で満足せず、実際にユーザーの声で検証するプロセスまで含めて活用しましょう。
実践でよくある使い方の誤解と回避法
フレームワークを用いた分析は、新規事業にとって重要な羅針盤になりますが、実践の中では使い方を誤ってしまうケースも少なくありません。
以下は特に多い誤解と回避策です。
| よくある誤解 | 結果として起こる問題 | 回避のための視点 |
|---|---|---|
| フレームワークを埋めることが目的化している | 机上の空論で終わり、実行に結びつかない | 常に「何を決めるための分析か」を意識する |
| SWOTで強みと弱みを書き出すだけで終わっている | 戦略に落とし込めない | クロスSWOTで「強み×機会」の戦略仮説を立てる |
| STPが現実と乖離している | ターゲットに刺さらず、施策が空回りする | 実データやインタビューで仮説検証を行う |
フレームワークは「正解」を導くツールではなく、「仮説を構造的に考える補助輪」です。形式にとらわれず、自社の事業フェーズや意思決定にとって有益な視点だけを取捨選択して使いこなす柔軟性が求められます。
マーケティング施策の選び方と体制構築

マーケティング戦略が整った後、次に問われるのはどんな施策をどう実行するか」そして「それを実現できる体制があるか」という点です。設計は論理的でも、実行フェーズでの連携が不十分であれば、成果にはつながりません。施策の選定と実行体制の構築は、戦略を現実の成果に変える最も重要なプロセスです。
ここでは、オンライン・オフラインの施策の選び方、実行時に必要な社内外連携、そして持続的に成果を生み出すためのPDCA体制について解説します。
オンラインとオフライン施策の組み合わせ方
新規事業では、限られたリソースの中で、どの施策に優先的に投資すべきかが常に問われます。特にオンライン施策とオフライン施策をどう組み合わせるかは、顧客の行動特性や業界構造によって大きく異なります。
| 項目 | オンライン施策 | オフライン施策 |
|---|---|---|
| 代表例 | ウェブ広告、SEO、SNS運用、ホワイトペーパーDLなど | 展示会出展、セミナー開催、テレアポ、DMなど |
| 向いている市場 | BtoC、意思決定が早い業種 | BtoB、対面信頼が重視される業界 |
| メリット | 初期投資が比較的小さめ/測定・改善が高速 | 高関与顧客との接点、信頼構築力が高い |
大切なのは、オンラインかオフラインかの二択ではなく、カスタマージャーニーに応じた適切な接点を設計することです。例えば、初期接触は検索広告やコンテンツマーケティングによって課題認知層と接点を持ち、詳細検討フェーズではウェビナーや対面商談を通じて具体的な導入イメージを共有していく流れが一般的です。
施策単体のROIではなく、複数の施策を組み合わせた「全体最適」で判断する視点を持つことが、成果につながる施策運用の鍵です。
実行フェーズで求められる社内外の連携
どれほど緻密な戦略と施策案を用意しても、実行段階での社内外の連携が崩れれば、成果は出ません。特に新規事業はスピードと柔軟性が求められるため、意思決定と実行の距離をいかに縮めるかが重要です。
連携が必要なポイント
- 営業部門との情報共有:マーケティングで得たリード情報を活かすには、営業側の理解と納得が不可欠です。
- 開発部門との擦り合わせ:プロダクトの訴求ポイントが実際の仕様と乖離しないよう、定期的な認識合わせが必要です。
- 外部パートナーとの役割明確化:広告代理店や制作会社との連携では、期待成果と評価軸を明文化しておくことが重要です。
成功している企業は、単に情報を共有するのではなく、「共通の目的」を持って動ける体制を築いています。この文化の構築が、マーケティング活動全体の再現性を高める要因となります。
成果が出る組織のPDCA体制とは
マーケティング施策は、一度打って終わりではなく、継続的な改善の仕組みが整っているかどうかが、長期的成果の分かれ道です。そのためには、形式だけのPDCAではなく、改善に本気で向き合う文化と設計が必要です。
成果が出る組織に共通するPDCA運用の特徴
- P(Plan):施策ごとに目的とKPIを明文化。目標設定が抽象的ではない。
- D(Do):施策実行のログを残し、データと定性情報を並行で取得。
- C(Check):KPIの進捗だけでなく、未達時の要因分析を構造的に行う。
- A(Action):次回施策への反映を関係者全員で議論し、即実行へ移す。
単なる報告会ではなく、「次のアクションが自然に決まるレベルの内省」が組織に根づいているかが、最も重要なポイントです。このような体制が確立すれば、施策単体の成否に一喜一憂せず、全体最適でマーケティングを育てていけるようになります。
BtoBとBtoCで異なるマーケティング設計

新規事業においては、自社がBtoBなのかBtoCなのかによって、マーケティングの設計思想や施策展開が大きく変わります。どちらも「顧客を理解し、価値を届ける」という基本は同じですが、意思決定の構造や導線の設計、育成アプローチなどにおいて求められる視点はまったく異なります。
ここでは、BtoBとBtoCそれぞれの特性を踏まえたマーケティング設計の違いを明らかにし、戦略や施策を間違った前提で組み立ててしまうリスクを回避するための考え方を見ていきましょう。
顧客の意思決定構造とチャネルの違い
BtoBとBtoCでは、顧客が購入に至るまでのプロセスや判断基準が根本的に異なります。特に意思決定の構造と、情報接触のチャネル選定が重要な違いです。
| 項目 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 意思決定の人数 | 複数人(稟議・承認が必要) | 原則1人(衝動買いも含む) |
| 判断基準 | ROI・業務改善・信頼性 | 価格・利便性・ブランドイメージなど |
| 情報収集チャネル | ホワイトペーパー、Webセミナー、営業担当 | SNS、検索、レビューサイト、店舗など |
| 購入までの期間 | 数週間〜数ヶ月 | 数分〜数日 |
BtoBは論理的・多面的な納得感を設計する必要があり、BtoCは感情と直感をどう刺激するかがカギになります。チャネルの選び方も、売りたい側の都合ではなく、顧客の判断プロセスに寄り添う必要があります。
この構造の違いを認識しないまま施策を進めると、的外れな導線やコンテンツを作ってしまい、成果に結びつかなくなってしまいます。
コンテンツ・営業・育成手法の最適化ポイント
意思決定構造の違いは、提供するコンテンツや営業体制、リード育成(ナーチャリング)のアプローチにも大きな影響を与えます。以下のように最適化のポイントを整理することで、施策の無駄打ちを防ぐことが可能です。
| 項目 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| コンテンツ | 導入事例、技術資料、ROIシミュレーションなど | 商品紹介、体験レビュー、動画・SNS投稿など |
| 営業手法 | インサイドセールス+フィールドセールスの連携 | 店頭・ECの接客体験、キャンペーン訴求など |
| 育成手法 | ステップメール、セミナー、CRMによるスコアリング | リマーケティング広告、LINE通知、SNSフォロー施策など |
BtoBでは「論理性」と「信頼感」の醸成が軸となり、BtoCでは「共感」と「即時性」が成果に直結する軸となります。
例えばBtoBで、コンテンツを単に数多く出すだけではなく、営業がそれをどう活用するかの設計が不十分だとリード獲得は成果に繋がりません。一方BtoCでは、アテンションを獲得する初期コンテンツに投資を集中し、購入体験をスムーズにする施策が効果を発揮します。
両者の設計思想を明確に分け、それぞれの顧客特性に合った施策に磨きをかけていくことで、マーケティングの費用対効果は飛躍的に高まるでしょう。
撤退判断と収益モデル設計の勘所

新規事業のマーケティングにおいて見落とされがちなのが、「いつ・どの条件で続けるか、やめるか」を決める設計です。撤退を前提に語ることはネガティブに捉えられがちですが、実際には事業を前進させるための健全な意思決定プロセスと言えます。あわせて、短期的な売上ではなく、長く事業を続けるための収益モデルを描けているかも重要です。
ここでは、新規事業における撤退ラインの考え方、PMFを見極めるためのKPI設計、そして持続可能な収益構造をつくるための視点について解説します。
新規事業における撤退ラインの決め方
新規事業は不確実性が高いため、感情や期待値だけで継続判断を行うと、損失が膨らむリスクがあります。そのため、事業開始前に撤退ラインを明確に定めておくことが欠かせません。
撤退ラインを設計する際の主な観点
- 期間軸:検証期間を3か月、6か月、1年などで区切る
- 数値軸:売上、獲得顧客数、継続率などの下限値を設定
- 検証軸:仮説がどこまで検証できたかを評価指標に含める
重要なのは、「成果が出ていないから撤退」ではなく、「検証が進まず、次の打ち手が描けない状態」を撤退判断の基準に含めることです。この考え方を共有しておくことで、組織内の納得感も高まり、次の挑戦へとスムーズにつなげられます。
初期KPIとPMF判定の基準
新規事業の初期フェーズでは、売上や利益だけを追いかけると、本質的な判断を誤る可能性があります。最初に追うべきは、顧客が本当に価値を感じているかどうかを測るKPIです。
フェーズごとに見るべき指標の一例は以下の通りです。
| フェーズ | 主なKPI | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 初期検証 | 利用率、継続率、NPS | 使われ続ける理由があるか |
| 拡大前 | リピート率、口コミ | 自発的な利用・紹介が起きているか |
| 拡大期 | CAC、LTV | 投資に見合う成長が可能か |
PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の判断は、「売れているか」ではなく、「手放せない存在になっているか」という視点で行うことが重要です。顧客の声や利用状況を丁寧に追い、定性的な変化にも目を向ける必要があります。
持続可能な収益構造のつくり方
PMFの兆しが見えた後に取り組むべきなのが、事業として成立する収益構造の設計です。短期的な売上を作れても、利益が残らなければ事業は継続できません。
収益モデルを設計する際の主な視点
- 誰から、どのタイミングで、いくらもらうのかが明確か
- 顧客獲得コストと回収期間が現実的か
- スケールした際に利益率が改善する構造か
例えばサブスクリプションモデルでは、解約率の管理と顧客単価の設計が収益性を大きく左右します。一方、スポット型のビジネスでは、リピートやアップセルの導線設計が欠かせません。
持続可能な収益構造とは、マーケティング施策と事業モデルが噛み合い、成長するほど事業が安定する状態を指します。この状態を意識して設計することで、新規事業は一過性の取り組みではなく、企業の次の柱へと育っていきます。
まとめ:仮説と検証を繰り返せる設計がマーケティングを成功に導く

新規事業におけるマーケティングの本質は、市場の不確実性に対して、仮説を立て、検証を繰り返す設計をどれだけ丁寧に組み込めるかにかかっています。
戦略設計、施策実行、評価、撤退判断までを一貫して仮説検証型で回すことで、意思決定の質が高まり、施策の再現性も向上するでしょう。成功企業はこのサイクルを組織的に回す力を持っており、結果としてマーケティングが単なる集客手段ではなく、事業成長を支える中核機能として機能しています。

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東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院・慶応義塾大学ビジネススクールMBA(経営学修士取得)卒業。
京都大学経営管理教育部博士課程単位取得退学。国内最大手IT企業の株式会社NTTデータなどでエンタープライズ(大手法人)領域の事業開発・事業企画等に従事。
スタンフォード大学への海外研修を経て、株式会社GeNEEの代表取締役に就任。
<資格>
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、MBA(経営学修士)、MOT(技術経営修士)等
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