公開日:2022.07.10 更新日:2024.03.18

農業におけるDXの推進で日本の農業の発展を探る。具体的な取り組みとともに解説

GeNEE_DXの注意点

日本の農業は、高齢化や労働者が不足しているなど、色々な課題を抱えています。深刻化するこれらの問題を解決すべく農林水産省は、2021年3月に『農業DX構想』と題し、現状の課題や今後の取り組みについて発表し、政府としてのDXへの取り組み姿勢を公にしました。
こちらの記事では、農業でDXを推進する目的、農業でDXを推進する必要性、実際のDXへの取り組み、事例を解説していきたいと思います。
※他の業種のDX推進に関してはこちら。
金融業界におけるDXとは

農業でDXを推進する目的

農業の分野では、1番の課題とも言えるのが「労働者の不足」・「高齢化」のため、業務の効率化・省力化が第一の目的となるでしょう。また、DXを推進することで、付帯作業となっている紙ベースで管理していた出荷情報等のデータ化、AIやロボットを活用した農作業の自動化も出来るようになります。しかし、これらの目的は非常に大切なことではありますが、これらはあくまで過程であり、農業の経営をする上で、消費者からの利益が得られなければ産業としての意味をなし得ない為、最終的なDXの目的は消費者のニーズに対応した価値を想像・提供する農業への変革を進めることと言えるでしょう。

農業でのDXの必要性

それでは具体的にどのような背景でDXが必要とされているのでしょうか。
以下に挙げられる2点が主たる背景です。詳しく見ていきましょう。
・労働者の不足
・客観的なデータを利用できる

労働者の不足

高齢化が進み、65歳以上の農業従事者は全体の7割以上と言われています。新たに農業従事者となる若年層も多くないのが現状です。
どうしても人手に頼らざるを得ない作業の多いイメージのある農業ですが、そういった生産・経営スタイルを続けていると、生産水準や生産基盤の維持も難しくなってくると言えます。このことは、国内で生産される農作物の絶対量の低下にも関わってくる問題です
それ故、進化する技術を取り入れ、現在の状況を打破すべく変革を経て効率的な生産体制・経営方法へ切り替えていくことは急務です。

客観的なデータを利用できる

農業は他の業種とは異なり、大きく天候に左右されるなど、経験値だけでは予測が立てにくい環境で生産を進めていく必要がありました。特に昨今では以前の日本では考えられなかったような豪雨や日照り、寒波などにより、より厳しくなっている状況です。
こういう中で、活用されるようになってきているのが、ビッグデータです。
ビッグデータの活用により、土壌と気候や作物の因果関係が解明され始めています。この部分が分かることで、生産性が向上し、そこから収益の増加に繋がるなど、大きな影響を与えていると言えます。
今まで天候に左右されて苦しんでいた部分を、DXを推進することで解決に向かえ、収益も安定して得られるようになることに繋がるため、労働不足と同等で急務な内容と言えるでしょう。

DXへの取り組み

農業においてDXを推進するにあたり、以下のような環境の整備がとられていると、

農林水産省が令和3年1月に発表した「農業DXをめぐる現状と課題」という資料に掲載されています。

・スマート農業を実現するための環境構築
・行政側の変革
・データの連携や・流通を効率化

それでは、具体的に内容を見ていきましょう。

スマート農業を実現するための環境構築

まずスマート農業とはどのようなものを指すかというと、「スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことです。
日本の農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題となっています。そこで、日本の農業技術に「先端技術」を駆使した「スマート農業」を活用することにより、農作業における省力・軽労化を更に進められる事が出来るとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待されます。※1)」と農林水産省で伝えている新たな農業のことを言います。

このスマート農業を実現するために、データの管理をするシステム、AI、ドローンやスマート農業機器(自動走行無人トラクターなど)による作業の自動化のスペースの確保が必要になります。
農業従事者インターネットの利用率は、全国民で89.8%なのに対して、80.8%と農村地域も含めて幅広い世代で広がりつつあると言えます。最新技術を徐々に取り入れて現状の課題を解決すべく、また作業の効率化を試みている生産者も増えてきている一方で、環境整備には費用もかかることもあり、DX推進が進められていない生産者の方がいるのも現実です。このような状況を打破すべく、農林水産省はDX推進の各技術を2025年までに実証・市販化するとしており、認知の拡大に努めています。

※1)農林水産:「スマート農業とは、どのような内容のものですか。…」より引用

行政側の変革

農業における行政手続には、紙媒体による申請や手作業による審査が行われているものや、書面・押印・ 対面を前提としたものが主でした。また、申請書類の種類が多いので、DXを進める中で簡素化していく必要性があります。これらの課題は農林水産省共通申請サービス(eMAFF)により令和4年度ま でにオンライン化予定なので、これにより少し手間が省けて効率化にはつながるでしょう。
また、日本では行政ありきで農業は発展してきたという背景があるため、今後の農業でDXを進めていくには、生産現場でのリアルな声に行政が迅速に政策面で対応をするなど、いち早く変革に取り組むことが行政側には求められています。

データの連携や・流通を効率化

上記の行政側の改革の中でもあった、紙ベースでのデータの管理をデジタル化して管理する方向に移り変りつつあります。そこから得られた情報を生産者や行政、流通業者などで円滑に共有できるシステムが構築されることが期待されています。そうすることで、データの連携・流通の促進が図られ作業も効率化し、結果として農業生産者の収益の増加にも繋がっていくと考えられます。

農業DXの事例

ここまで見てきた内容をもとに、実際にDXを推進している農業の事例を見ていきたいと思います。

株式会社ビビッドガーデンの食べチョク

株式会社ビビッドガーデンが運営する「食べチョク」は、生産者が個人の消費者・飲食店に直接食材を発送するオンラインの直売所です。
色々な食材のオンラインショップがある中で、この食べチョクのポイントは、直接消費者の方々と生産者がコミュニケーションを取れるというところです。生産する過程や、美味しい食べ方など、生産者の生の声を伝えることができ、生産者の顔が見えることで消費者も安心して購入することができるなどというメリットが沢山あります。また、事前に登録された消費者の好みと生産者側の生産情報をマッチングさせるシステムも付与されているので、より効率的に生産者と消費者が繋がることができます。

このように、今までは仲買を通して生産物を流通させていたシステムも、消費者と直接やりとりができるようになることで、新鮮なものを届けられるのはもちろん、無駄なコストも減り更なる収益化に繋がるDX化と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
農業におけるDXは、省力化した上で生産効率を上げ、生産物の付加価値を高めた上で、食料を安定供給できる環境作りに貢献するものと期待されています。DX化達成の目標も国として掲げて動き始めているので、民間での動きもさらに活発化していくでしょう。国内の食料供給が安定したものであり続けるためにも、農業のDX化は積極的に推進し、取り組んでいきたいものです。

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