
目次
新規事業の成否を分けるのは、優れたアイデアだけではありません。真に重要なのは、事業の可能性を多面的に評価し、的確な意思決定につなげる評価設計の力です。
本記事では、市場性や収益性といった基本軸から、フェーズ別の評価視点、KPI設計、撤退判断、バイアス排除の仕組み化までを徹底解説。単なる採点に留まらない、実務で機能する新規事業評価の全体像を明らかにします。

新規事業における評価とは何か

新規事業の推進において、評価は単なる「採点」や「チェック項目の確認」ではありません。評価とは、意思決定を支える構造そのものであり、戦略と実行をつなぐ設計図です。優れたアイデアや情熱があっても、評価の軸が曖昧であれば、経営資源の配分を誤り、撤退のタイミングも見失います。
ここでは、新規事業評価が果たす本質的な役割と、組織に与える影響について整理していきましょう。
新規事業評価の目的と重要性
新規事業評価の目的は、単なる「可否判断」ではなく、事業を前に進めるための意思決定の質を高めることにあります。限られたリソースの中で、どの取り組みに注力し、どのタイミングで見直すべきかを判断するための羅針盤として機能します。
評価が担う主な役割
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 選抜 | 複数の事業案から、実行に値する可能性の高いアイデアを選定する |
| 資源配分 | 人材・予算・時間といった経営資源の最適な配分先を明確にする |
| 進捗管理 | フェーズごとの目標と達成度を見える化し、状況に応じて支援や介入を行う |
| 撤退判断 | 成果が見込めない場合に、適切なタイミングで撤退する判断材料を提供する |
結果として、新規事業の評価が適切に機能すれば、「やるべきではない事業」への誤投資を防ぎ、成長の可能性がある事業への集中が可能になります。
評価が決定と成否に与える影響
新規事業では、明確な前例やデータがない中で、「進める/止める」「投資する/控える」といった重大な意思決定が繰り返します。その判断の質を支えるのが、評価のフレームです。
評価設計が不十分な場合、以下のリスクがあります。
- 意思決定が属人的になり、担当者や役員の主観に依存する
- 事業が惰性で継続され、撤退すべきタイミングを逃す
- KPIがあっても、意思決定に結びつかず形骸化する
一方で、評価が設計され、プロセスとして運用されている組織では、次のような効果が期待できます。
- 判断基準が明文化され、意思決定の透明性と納得感が高まる
- 数値や事実に基づいた対話が促進され、建設的な議論が生まれる
- 事業のどの部分に問題があるのかを把握し、具体的な改善策へとつながる
つまり、評価は事業の成否を左右する「見えないインフラ」であり、経営判断の精度を根本から支える存在です。正しく設計され、組織に根付いた評価こそが、新規事業を持続可能な挑戦へと導いていきます。
新規事業評価の基本的な6つの評価軸

新規事業を評価する際には、ただ思いついたアイデアを並べて可否を問うだけでは不十分です。事業の可能性を多角的に捉えるための評価軸を明確に設けることが、適切な判断を支える基盤となります。特に、事業の初期段階では仮説と不確実性が混在するため、各評価項目が持つ意味を正確に理解し、バランスよく組み込む必要があります。
ここでは、新規事業評価における代表的な6つの基本的な評価軸について見ていきましょう。
市場性(TAM・成長性・課題の強さ)
市場性は、新規事業が成立する前提条件とも言える評価軸です。どれほど優れたプロダクトであっても、対象となる市場が小さかったり、成長が見込めなかったりすれば、事業としての拡大は望めません。
TAMによって理論上の市場規模を把握し、業界や顧客ニーズの成長性を確認することが基本となります。加えて重要なのが、顧客が抱える課題の強さです。不便だが我慢できる課題なのか、解決しなければならない切実な課題なのかによって、事業の浸透速度は大きく変わります。
収益性(ユニットエコノミクス・収益回収見込み)
収益性の評価では、事業が将来的に自立できるかどうかを見極めます。
短期的に赤字であっても問題ありませんが、どの構造で利益が生まれ、いつ回収に向かうのかが説明できることが不可欠です。ユニットエコノミクスを通じて、顧客一人あたりの収益とコストの関係を把握し、規模拡大によって収益性が改善するモデルかを確認します。
収益回収の道筋が描けていない事業は、継続判断の局面で必ず行き詰まります。
競争優位性(差別化要因・参入障壁)
競争優位性は、市場に参入した後に生き残れるかどうかを左右する評価軸です。
競合との差別化が一時的なものに留まっていないか、後発企業が容易に模倣できない構造を持っているかが問われます。機能や価格だけでなく、データの蓄積、ネットワーク効果、業界内のポジションなども重要な要素です。
競争優位性が曖昧な事業は、価格競争に巻き込まれやすく、成長とともに収益性を失うリスクを抱えるでしょう。
実現可能性(技術・体制・戦略実行力)
実現可能性は、構想が現実の事業として形になるかを判断する軸です。
必要とされる技術が社内外で確保できるか、事業を推進する体制が整っているか、戦略を実行に移す意思決定スピードがあるかが評価対象となります。理論上は魅力的でも、実行難易度が高すぎる事業は停滞しやすくなるでしょう。
できるかどうかを冷静に見極める視点が、過度な楽観を抑える役割を果たします。
既存事業との親和性(シナジー・チャネル活用)
既存事業との親和性は、特に大企業や複数事業を持つ組織にとって重要な評価軸です。
既存の顧客基盤や営業チャネル、ブランド、技術資産を活用できる事業は、立ち上げスピードと効率の面で優位に立ちます。一方で、既存事業との関係性が曖昧な場合、社内調整コストが増大し、推進力を失うこともあります。
シナジーが期待できるかどうかは、事業単体の魅力とは別軸で評価する必要があります。
チームと意思(推進力・経営判断)
最終的に新規事業を動かすのは人と意思決定です。どれだけ評価軸が整っていても、推進するチームに覚悟や裁量がなければ事業は前に進みません。
必要なスキルが揃っているか、意思決定が現場に委ねられているか、経営層が本気で支援する姿勢を示しているかが重要です。事業に対する本気度とやり切る力は、数値では測りにくいものの、成否を分ける決定的な要素となるでしょう。
フェーズ別の評価設計と使い分け

新規事業は、立ち上げからスケールまでの各フェーズで状況が大きく変化していきます。その変化に応じて、評価の目的も、見るべき指標も変わるため、画一的な評価軸を当てはめ続けるだけでは適切な意思決定ができません。
例えば、アイデア段階では「面白さ」や「着眼点の新規性」が評価の焦点となる一方、スケール期には「投資に対するリターン」や「市場での勝ち筋」が厳しく問われます。つまり、新規事業評価は、フェーズごとに評価軸の重みと使い方を調整していくプロセスであるべきなのです。
ここでは、アイデア選定からスケール期まで、各段階で押さえるべき評価設計のポイントを整理します。
アイデア選定段階の評価ポイント
事業の出発点であるアイデア段階では、詳細な数値や実績ではなく、仮説の質や着眼点の鋭さが評価対象となります。この時点での目的は、「可能性のある種」を見逃さずに選び出すことです。
| 評価観点 | 検討内容 |
|---|---|
| 顧客課題の強さ | 本当に解決する必要がある痛みを捉えているか |
| 独自の視点 | 他社とは異なる切り口を持っているか |
| 初期仮説の整合性 | 誰に、何を、どう届けるかが論理的に一貫しているか |
| 経営テーマとの整合性 | 中期戦略や企業のビジョンとずれていないか |
この段階では、数字を求めすぎると本質を見失うでしょう。定性的な着眼点と、事業テーマとしての整合性を重視することが選定の質を高めます。
PoC/MVPフェーズで見るべき指標
PoCやMVPの段階では、仮説を現場で検証し、事業として機能するかを見極める局面に入ります。限られたリソースの中でも「検証できること」にフォーカスを絞り込む必要があります。
| 評価観点 | 検討内容 |
|---|---|
| 実際の顧客接点 | 顧客が実際にプロダクトに反応したか(仮説検証) |
| 小さな数字の動き | 仮説が行動や数値に現れているか |
| MVPの完成度 | 本当にコアの価値が伝わる最小限の機能が形になっているか |
| 組織の反応 | 社内外の関係者が支援する動きを見せているか |
PoCやMVPでは、結果がすぐに大きな成果に結びつかないこともあるでしょう。ただし、「兆し」があるかを見逃さず、意志をもって次に進めるかどうかを判断する段階です。
関連記事:MVP開発とは?開発にかかる期間やコスト、PoCやプロトタイプとの違いについて解説
PMF前後で重視すべき評価項目
プロダクトと市場が適合し始めるPMF(Product Market Fit)の前後では、顧客の反応が定性的評価から定量的評価へと変化していきます。
スケーラビリティや再現性の確認が主な目的となります。
| 評価観点 | 検討内容 |
|---|---|
| リピート・継続利用 | 顧客が繰り返し使う理由があるか |
| LTVとCACのバランス | 顧客獲得と収益構造が成立し始めているか |
| 再現性のある販売方法 | 特定の営業力ではなく、誰がやっても成果が出る仕組みになっているか |
| クチコミ・紹介の動き | 顧客が自発的に拡散するほどの価値があるか |
PMFの確認は、外形的な売上よりも、「熱量」と「再現性」がポイントです。表面的な成長より、持続可能な構造かどうかを見極めることが求められます。
スケール期の投資判断基準
スケール期に入ると、事業の可能性ではなく、投資効率と勝ち筋の有無が評価の中心になります。曖昧な期待よりも、数字に基づいた意思決定が不可欠です。
| 評価観点 | 検討内容 |
|---|---|
| 市場の拡張性 | 新たなターゲット市場やエリアへの展開が現実的か |
| 投資効率 | 投資に対してどれだけのリターンが見込めるか |
| チームの拡張性 | 組織が拡大に対応できる体制・文化を持っているか |
| オペレーションの安定性 | 品質や顧客対応など、スケールしても耐えられる運用になっているか |
スケール期では、事業の理想像ではなく、「資金と時間をかけるに足る確度と再現性」があるかが問われます。ここでの評価が、経営としての資源配分を大きく左右するのです。
KPI設計と評価の実務

新規事業の評価を実務で機能させるためには、評価軸を定めるだけでは不十分です。日々の意思決定と行動に結びつくKPI設計があって初めて、評価は現場で意味を持ちます。
特に新規事業では、数値を追うこと自体が目的になりやすく、KPIが増えすぎたり、判断に使われない指標が残ったりしがちです。評価を形骸化させないためには、KPIの位置づけを整理し、撤退判断まで含めた運用設計を行う必要があります。
ここでは、KGI・KSF・KPIの関係性から、実務で使える設計と判断の考え方を探っていきましょう。
KGI・KSF・KPIの関係性
KPI設計を考える際には、まずゴールから逆算する視点が欠かせません。KGI・KSF・KPIは、それぞれ役割の異なる指標であり、階層として整理することが重要です。
| 区分 | 役割 |
|---|---|
| KGI | 事業として最終的に達成すべき成果 |
| KSF | KGIを達成するために欠かせない成功要因 |
| KPI | KSFの進捗を日常的に測るための指標 |
例えば、KGIが黒字化であれば、KSFは顧客の継続利用や獲得効率になり、KPIはアクティブ率や解約率などに落とし込まれます。この関係が曖昧なままKPIだけを設定すると、数字は動いていても事業が前進しない状態に陥るでしょう。
評価に使えるKPIとは、経営と現場の意思決定をつなぐ指標である必要があります。
KPIの絞り込みと優先順位付け
新規事業では、不確実性の高さから「測れそうなものはすべて測りたい」という発想に陥りがちです。しかし、KPIが多すぎると、どの数値を重視すべきか分からなくなり、判断が鈍るでしょう。
重要なのは、今のフェーズで最も確認したい仮説は何かを明確にし、その検証に直結する指標に絞ることです。
| 視点 | 考え方 |
|---|---|
| フェーズ適合性 | 現在の事業段階で意味を持つ指標か |
| 行動連動性 | 数値の変化が具体的な改善行動につながるか |
| 判断可能性 | 上下動を見て進退を判断できるか |
すべてを追うのではなく、あえて追わない指標を決めることが、評価を意思決定に近づけます。KPIは管理表ではなく、判断材料として使われるべき存在です。
撤退判断基準の設定方法
新規事業評価において最も難しく、かつ重要なのが撤退判断です。撤退の基準が曖昧なまま進めると、事業は惰性で続き、人的・金銭的コストが膨らみます。
そのため、事業開始時点で撤退条件をあらかじめ定義しておくことが欠かせません。
| 観点 | 設定の考え方 |
|---|---|
| 期限 | いつまでにどの状態を目指すのか |
| 数値 | 最低限クリアすべきKPI水準 |
| 学習 | 仮説検証を通じて得られた示唆があるか |
撤退とは失敗ではなく、学習の区切りです。続ける判断と同じくらい、止める判断を合理的に行える設計が、新規事業全体の成功確率を高めます。評価が撤退判断まで含んで初めて、経営にとって意味のある仕組みとして機能するのです。
評価を機能させる仕組み化と運用
新規事業の評価が設計通りに機能するかどうかは、仕組みと運用の質にかかっています。どれだけ精緻な評価軸やKPIを用意しても、現場で使われなければ意味がなく、経営判断に結びつかなければ絵に描いた餅に終わります。
特に新規事業では、正解が見えにくく、不確実性が高いため、評価の形骸化やバイアスの入り込みが起こりやすくなります。評価を持続的に使える仕組みにするには、定量と定性の使い分け、評価会議の運営設計、そして主観への対処が欠かせません。
ここでは、評価の運用が現場で生きたものとなるための具体的な視点を紹介します。
定量評価と定性評価のバランス
新規事業の評価では、数値だけに依存すると全体像を見失い、逆に感覚だけでは誤った方向に進みやすくなります。
評価を有効に機能させるためには、定量と定性のバランスが必要です。
| 評価の種類 | 特徴 | 向いている領域 | リスク |
|---|---|---|---|
| 定量評価 | 客観的で再現性がある | KPIによる進捗、収益性、成長率など | 数字が目的化する、背景が見えづらい |
| 定性評価 | 文脈や背景が把握できる | 顧客の反応、チームの熱量、仮説の質など | 主観やバイアスが入りやすい |
数値で説明できる部分は定量で管理しながら、実行段階では現場の手触り感や顧客の声を通じた定性評価で意味づけを補完することが重要です。定量と定性を相互補完的に用いることで、意思決定の立体感が生まれ、事業の判断がぶれにくくなるでしょう。
評価会議の回し方と判断フロー
評価が現場で形骸化する最大の原因は、会議体の不設計にあります。評価会議の設計は、評価の実効性を左右する極めて重要な要素です。
会議を単なる報告の場にせず、意思決定と学習の場として活かすためには、以下のような仕組みが必要です。
- 評価の目的を明示する(報告か意思決定か、議論の焦点を絞る)
- 定量・定性の両面から状況を共有する
- 質疑よりも「次の一手」を生み出す問いを優先する
- 複数の視点で判断するため、評価者の属性を分散させる
- 次回までの仮説・アクション・評価指標を明文化する
このように評価会議を運用すれば、報告と反省の場ではなく、仮説を更新し、挑戦の質を高める循環を生み出す場へと変わっていきます。会議そのものが、事業を進めるエンジンになる状態が理想です。
技術偏重・思い込みバイアスの排除
新規事業では、特定の要素に過度な期待を抱く傾向が多く見られます。例えば、技術の革新性ばかりに注目してしまい、本来問うべき顧客価値や収益構造の検証が後回しにされるケースは少なくありません。また、発案者や上層部の意見に引っ張られた評価が横行すれば、正確な判断は困難になります。
こうしたバイアスを排除するには、評価項目ごとに事前にチェックリストを設け、各軸に対して第三者がレビューする仕組みを取り入れることが効果的です。さらに、評価の根拠となる事実と仮説を分けて整理する習慣をつけることで、議論の前提を明確にできるでしょう。
評価は本来、公平な意思決定を支えるものであり、主観や期待に寄りかかった判断ではなく、構造的な視点からの検討を可能にするための仕組みです。組織的にバイアスを抑える評価の仕組みがあるかどうかが、事業の成否を左右すると言っても過言ではありません。
評価手法・フレームワーク活用ガイド

評価の精度を高め、議論の質を担保するためには、フレームワークや手法の力を借りて構造化することが有効です。
特に新規事業のように、不確実性と主観が入りやすい領域では、フレームワークを使って判断軸を可視化し、チーム間での認識のズレを最小限に抑えることが重要です。ただし、ツールを使うこと自体が目的になってしまえば本末転倒です。自社のフェーズや評価の目的に応じて、最適な手法を取捨選択する視点が求められます。
ここでは、実務で活用されている主要な評価手法や補助線の使い方を紹介し、評価プロセスの解像度を高めるための具体的なヒントを整理しましょう。
スコアリングとウェイト付け手法
評価項目が複数ある場合、判断を定量化しやすくするためにスコアリングやウェイト付けを行う手法は非常に有効です。複数人の主観を構造化し、比較可能な形に落とし込むことができます。
| 手法 | 概要 | 活用シーン |
|---|---|---|
| スコアリング | 各評価軸に対して0〜5などの点数をつける | 複数案の相対比較、意思決定前の事業整理 |
| ウェイト付け | 各評価項目に重要度の重みを設定する | 評価軸の影響度を調整したいとき |
| レーダーチャート | スコアを視覚化して全体のバランスを把握 | プレゼン資料や会議での共有時に有効 |
スコアリングは手軽な一方で、数値に現れない背景や質的な部分が埋もれやすくなるリスクがあります。あくまで議論の補助線として使い、判断の根拠や仮説とセットで活用することが大切です。
BMO法による魅力度×適応度評価
BMO法(Business Model Optimization)は、新規事業を「魅力度」と「適応度」の2軸で捉え、投資や推進の優先順位を判断するための評価手法です。
重要なのは、感覚的に高い・低いと判断するのではなく、評価項目を分解し、一定の基準に沿って数値と根拠を揃えることです。魅力度は市場や顧客から見た価値、適応度は自社にとっての実行現実性を示し、外向きと内向きの視点を同時に整理できます。
| 軸 | 主な評価項目 | 評価方法の例 |
|---|---|---|
| 魅力度 | 市場規模、成長率、課題の深刻度、社会性 | TAMが1000億円超=5点、成長率10%以上=高評価 |
| 適応度 | 技術・人材、組織体制、既存事業との親和性、財務負荷 | 技術を内製済み=5点、外注必須=2点 |
各項目を5段階などで評価し、合計点やマトリクス上に配置することで、事業の立ち位置が可視化されます。数値は比較と整理のための手段であり、評価の背景や前提条件を必ず言語化することが実務では欠かせません。
魅力度と適応度を併せて見ることで、夢物語にも過度な保守にも偏らない、現実的な意思決定が可能になります。
成長マトリクス・BMCなど補助線の使い方
評価を立体的に進めるためには、フレームワーク単体ではなく補助線としての図解・構造整理ツールを併用することが効果的です。
ここでは代表的な2つのツールを紹介します。
| ツール | 主な用途 | 活用ポイント |
|---|---|---|
| 成長マトリクス(Ansoff Matrix) | 既存市場×新市場、既存商品×新商品で機会領域を整理 | 事業のリスクと成長期待のバランスを視覚化 |
| BMC(ビジネスモデルキャンバス) | 顧客セグメント、提供価値、チャネルなど事業の構造要素を整理 | 仮説が揃っているか、不足点がどこにあるかを明確化 |
いずれの手法も、評価を構造化し、「なぜこの判断に至ったのか」を可視化する補助線として非常に有効です。
特に経営陣や他部門との共有において、感覚ではなくロジックとしての伝達力を高める効果があります。フレームワークは答えを出すものではなく、問いを整理し、議論の質を高めるための道具として活用すべきです。
まとめ:新規事業の評価は主観やバイアスを排除することがカギ

新規事業の評価は、単なる可否判断ではなく、事業を前進させるための意思決定インフラです。
市場性や収益性などの評価軸を整理し、フェーズごとに目的に応じた指標を設けることで、判断の質が高まります。また、KPI設計や撤退基準の明確化、フレームワークの活用により、主観やバイアスを排除した透明性のある評価体制が実現するでしょう。
評価を仕組みとして機能させることで、挑戦が戦略に変わり、持続可能な事業創出が可能になるのです。

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<略歴>
東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院・慶応義塾大学ビジネススクールMBA(経営学修士取得)卒業。
京都大学経営管理教育部博士課程単位取得退学。国内最大手IT企業の株式会社NTTデータなどでエンタープライズ(大手法人)領域の事業開発・事業企画等に従事。
スタンフォード大学への海外研修を経て、株式会社GeNEEの代表取締役に就任。
<資格>
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、MBA(経営学修士)、MOT(技術経営修士)等
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