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公開日:2025.12.01 更新日:2025.12.01

クラウド移行でよくある失敗例と原因とは?設計とベンダー選定で差がつく理由

クラウド移行でよくある失敗例と原因

目次

クラウド移行を実施したものの、「コストが想定以上に膨らんだ」「移行後の運用が現場に定着しない」といった課題に直面する企業は少なくありません。その多くは、初期の設計不足や移行戦略の甘さ、適切なベンダー選定ができていないことに起因します。

本記事では、よくあるクラウド移行の失敗例をもとに、移行フェーズで押さえるべきポイントを解説します。

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なぜクラウド移行で失敗したと感じる企業が増えているのか?

なぜクラウド移行で失敗したと感じる企業が増えているのか

クラウド移行は、単にサーバーをクラウド環境へ置き換えるだけで完了するものではありません。

しかし、現場では「導入したのに思ったほど効果が出ない」「むしろ負担が増えた」と感じる声が年々増えています。その背景には、移行の目的と実行プロセスの不一致初期設計の甘さパートナーとの連携不足といった、移行前後に見落とされがちなポイントが潜んでいます。

クラウドは適切に活用すれば強力な武器になりますが、前提となる設計と体制が整っていなければ、むしろ企業の足を引っ張る存在になりかねません。

ここでは、実際に多くの企業が直面している代表的な失敗のパターンを整理しましょう。

導入したのにコスト削減につながらないケース

クラウドは「オンプレミスよりも安くなる」というイメージを持たれがちですが、実際には従量課金によるコストの見通しの甘さが原因で、かえって費用が膨らむケースが少なくありません。

特に以下のような状況が重なると、クラウドのコストは予算を大きく上回ることになります。

よくある失敗要因内容
インスタンスの過剰スペック実際の負荷に対して過大なリソースを確保し、無駄なコストが発生する
利用状況のモニタリング不足非稼働時間帯でもサービスが常時稼働し続け、料金がかさむ
サービスの多重契約必要のない機能を含んだプランやオプションに加入し続けてしまう
ストレージの放置一度アップロードしたデータが整理されず、課金が継続される

さらに、最適な料金プランの見直しやリソースの自動スケーリング設定といった、クラウドならではのコスト管理手法が実装されていない場合、削減どころか「クラウド移行でコストが増えた」という結果になってしまいます。

移行後の運用負荷が想定以上に増えた理由

「クラウドに移せば運用は楽になる」と考えていた企業ほど、移行後に発覚する見えない運用負荷に戸惑う傾向があります。クラウド環境は柔軟性が高い一方で、常に設定と監視が求められる運用基盤でもあります。

主な原因

  • IAM(アクセス権限)設計が複雑化し、社内で管理しきれない
  • アラート通知やモニタリングの設定が不十分で、障害に気づくのが遅れる
  • クラウド特有の運用ノウハウが社内に蓄積されておらず、属人化が進む
  • セキュリティアップデートや構成変更の影響範囲が読めず、対応に時間がかかる

つまり、クラウドは移行すれば終わりではなく、運用・保守まで見越した体制整備がなければ、負担はむしろ増加します。この部分を軽視した移行は、長期的に現場を疲弊させる要因になるでしょう。

「移しただけ」では業務効率化に繋がらない

クラウド移行の目的として「業務効率化」や「生産性向上」を掲げる企業は多いものの、実際にそれを実現できている企業は一部に限られます。その理由は明確で、業務プロセス自体を見直さず、システムだけをクラウドへ移したに過ぎないケースがほとんどだからです

例えば、紙ベースの承認フローや属人的な情報共有体制をそのまま残したまま、クラウド上にファイルを置き換えても、利便性はほとんど向上しません。クラウドはあくまで手段であり、目的に合わせた業務設計の見直しがセットで求められるのです。

クラウド移行を「デジタル化」ではなく「業務変革の機会」と捉え、設計段階から業務要件に踏み込むことができて初めて、本当の意味での効率化につながります。

よくあるクラウド移行の失敗パターンとその原因

よくあるクラウド移行の失敗パターンとその原因

クラウド移行において失敗とされるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。特に、「Lift & Shift」のように既存環境をそのまま移す方式を採用した結果、クラウドの恩恵を十分に享受できなかったという声は少なくありません。

また、移行を急ぐあまり要件定義が曖昧なままプロジェクトが進行し、予算オーバーやスケジュール遅延を招く例も多く見られます。さらに、運用段階に入ってから社内体制の未整備が露呈し、システムが定着せずに使われなくなったというパターンも珍しくありません。

ここでは、現場で実際に発生している失敗の構造を3つの視点から見ていきましょう。

Lift & Shiftによる非最適アーキテクチャのままの移行

クラウド移行を急ぐあまり、「まずはそのまま移してしまおう」という判断で行われるのがLift & Shiftです。既存のオンプレミス環境を大きく変更せず、インフラをクラウド上に載せ替えるだけの方式は、移行スピードの面では有利です。

しかし、クラウドの特性に合わない構成のまま運用されるリスクが非常に高くなります。

Lift & Shiftによってよく起きる問題

問題点内容
過剰なリソース割り当てオンプレの構成をそのまま持ち込むため、スケーラビリティや可用性を活かせない
コスト最適化の欠如クラウドの従量課金モデルに合わず、無駄なコストが積み重なる
冗長なアーキテクチャクラウドに本来不要な構成を維持したままになる
運用自動化の取りこぼしオンプレ前提の手動運用が継続され、クラウドのメリットが得られない

Lift & Shift自体が悪いわけではありませんが、目的や設計思想がないまま実行された場合、クラウド化しただけで終わってしまいます。必要なのは、移行後の活用を見据えたアーキテクチャの見直しです。

要件定義不足による予算・納期のズレ

クラウド移行は単なるインフラの変更ではなく、業務プロセスやセキュリティポリシー、運用体制にまで影響を及ぼすプロジェクトです。ところが、初期段階での要件定義が不十分なまま進行したことで、後から追加要件が発生し、予算超過やスケジュールの遅延に陥るケースが多発しています。

特に注意すべきポイント

  • クラウド移行の目的が部署ごとにバラバラで、共通認識が形成されていない
  • 既存システムの仕様や業務フローを正確に把握していない
  • セキュリティや監査対応といった非機能要件が後から浮上する
  • 予算見積りがインフラコストだけに偏っており、人件費や教育費を含めていない

このような状態でプロジェクトが始まると、途中から要件を詰め直す必要が生じ、結果として工程が二重に発生することになります。要件定義の段階でどれだけ具体的に詰め切れるかが、プロジェクト全体の成否を左右するでしょう。

組織・人材側の準備不足による運用定着の失敗

システムの移行が完了しても、現場の運用が回らなければプロジェクトは失敗したも同然です。クラウド移行における最終フェーズである「運用の定着」は、意外と見落とされがちなポイントですが、ここに組織的な準備不足が露呈しやすいのも事実です。

よくある失敗パターン

項目内容
社内にクラウドの知見がないIAM、VPC、セキュリティグループなどの設計・運用に対応できない
担当者が属人化しているキーパーソンが退職・異動すると、運用ノウハウが引き継がれない
教育・トレーニングが後回し利用部門がクラウドサービスの使い方を把握できておらず、定着しない
トラブル対応のルール不在インシデント発生時に誰が何をするのか明確でないため、復旧が遅れる

移行作業が終わった瞬間がスタートラインであり、その後の運用が正常に回るためには、人材育成や社内の運用体制構築までを見据えたプロジェクト設計が欠かせません

クラウド移行の成功は設計段階で8割が決まる

クラウド移行の成功は設計段階で8割が決まる

クラウド移行において最も重要なフェーズは、実はサーバーを動かす作業そのものではありません。プロジェクトの成否を分けるのは、現状の正しい理解と、将来を見据えた設計・計画にどれだけ時間をかけられるかにかかっています。

とりわけ、既存システムをただクラウドに載せ替えるだけの移行では、柔軟性も拡張性も十分に活かせません。ビジネス要件や業務フローを踏まえたうえで、アーキテクチャを一から見直すことが、本当の意味でのクラウド活用につながります

ここでは、移行を成功に導くために設計段階で押さえるべきポイントを紐解いていきましょう。

現状分析〜移行計画フェーズで考慮すべき視点

クラウド移行の第一歩は、現状を正しく把握することです。

「どのシステムが、どのような目的で稼働しているのか。依存関係はどうなっているか。運用中の業務フローにどれだけ影響するのか」こうした情報を棚卸しせずに計画を立てると、移行後に想定外のトラブルや業務停止が起こりやすくなります

設計段階で考慮すべき代表的な視点

視点検討内容
システム構成の全体像アプリケーション、DB、外部連携の依存関係を可視化
リスクポイントの洗い出しSLAに影響する要素、障害時の復旧プロセスなど
データ移行の複雑度データの整合性、移行量、メンテナンス期間の確保
クラウド対応状況ソフトウェアやライブラリがクラウド環境で動作するか

設計フェーズで手を抜くと、移行後に再設計や構成変更が必要になる可能性が高くなるでしょう。最小の手戻りで最大の成果を得るためには、現状分析に十分なリソースと時間を投じることが不可欠です

業務要件・システム特性に合わせたアーキテクチャ設計

クラウド環境では、あらゆるリソースが選択可能である一方で、その自由度ゆえに適切な構成を選べなければコストと性能のバランスを崩すことになります。そこで重要になるのが、業務要件とシステム特性を踏まえたアーキテクチャの設計です。

例えば、以下のような特性に応じて構成の判断が変わります。

  • 高トラフィックへの対応が求められるWebサービス → オートスケーリングとCDNの設計が必須
  • データ整合性が重視される基幹系システム → ストレージやDBの整合性・バックアップ方針を重視
  • バッチ処理が多い業務系アプリ → 処理時間帯に応じたリソースの一時的増強を検討

また、業務特性に合わせてマルチクラウド構成やハイブリッド構成も選択肢に入れる必要があるでしょう。最も避けたいのは、「一律の構成テンプレートに当てはめるだけの画一的な設計」です。

クラウドの柔軟性を活かすには、自社の業務にとって最適な構成を見極める力が欠かせません。設計にこそ時間と労力を投資すべき理由がここにあります

「将来の運用」から逆算するクラウド構成の考え方

多くのクラウド移行プロジェクトでは、目の前の移行作業ばかりに意識が集中しがちです。しかし、クラウドは導入後の運用フェーズで真価を発揮するインフラです。そのため、構成を考える際には「将来の運用スタイル」から逆算する発想が不可欠です。

設計時にあらかじめ検討すべき将来的な運用項目

  • アクセス権限やログ管理などのガバナンス対応
  • 定常的なコスト最適化(RIやSavings Plansの活用)
  • アップデートやスケーリングに伴う無停止運用
  • 監視・アラート体制の設計(CloudWatchなどの導入)

例えば、監視設計が不十分だと障害発生時に原因特定までに時間を要し、サービス停止が長引くでしょう。また、コストに関しても、利用開始後のチューニングができなければ、継続的な負担となります。

「移行すること」ではなく「移行したあとにどのように運用するか」を考えることが、真に実用的なクラウド構成を生み出す鍵となります

中長期的な視点でクラウド移行を検討している経営層の方には、以下の記事もご覧いただきたい内容です。テクノロジー活用と経営戦略の接続方法中期経営計画を「実行される計画」に変えるための考え方が整理されています。

関連記事:中期経営計画を実行に移す戦略とは|テクノロジー活用とDX支援の全体像

クラウドベンダーやパートナー選定で差がつくポイント

クラウドベンダーやパートナー選定で差がつくポイント

クラウド移行を成功させるためには、社内体制や技術設計と同じくらい、移行を支援する外部パートナーの選定が重要なカギを握ります。設計の質や、構成提案の現実性、移行後の支援体制などは、選んだベンダーの力量によって大きく左右されるからです。

とりわけ、クラウド特化型の企業と総合ITベンダーではアプローチに違いがあり、どのタイプが自社のフェーズに合っているかを見極める視点が求められます。また、技術力や対応スピード、柔軟な姿勢なども含めた総合力を判断する必要があります。

ここでは、パートナー選びに失敗しないための見極めポイントを見ていきましょう。

クラウド特化企業と総合ITベンダーの違い

クラウド移行の支援を依頼する際、選択肢は大きく分けて「クラウド特化型の専門企業」と「幅広い領域を扱う総合ITベンダー」に分かれます。それぞれの特徴を理解し、自社のニーズやプロジェクト規模に合った企業を選ぶ視点が欠かせません

項目クラウド特化企業総合ITベンダー
主な強みクラウドネイティブな設計・移行ノウハウに精通業務システムとの統合・レガシー対応力が高い
スピード技術判断が早く、意思決定までが迅速合意形成に時間がかかることがある
柔軟性小回りが利き、仕様変更にも柔軟に対応しやすいプロセスが重厚で変更対応に時間を要する
提案の深さ最新のクラウド機能や設計トレンドに基づく提案既存インフラとのバランス重視の提案が中心

クラウド移行を「変革のきっかけ」として捉えるなら、クラウドに特化した知見とスピード感を持つパートナーが適しています。一方で、既存業務との連携が複雑な場合は、総合ベンダーの力が必要になるケースもあるかもしれません。

パートナー選定時にチェックすべき技術力と体制

移行支援を依頼する際には、提案内容や価格だけでなく、技術力の裏付けや、プロジェクトを担う体制の実態にも目を向けるべきです。名のある企業であっても、実際の現場担当者にスキルが不足しているケースは珍しくありません。

選定時に確認しておきたいチェック項目

  • クラウド認定資格の保有状況(AWS、Azure、GCPなど)
  • 過去の移行実績(業種・業態別の経験があるか)
  • インフラ設計とアプリ開発の両対応が可能か
  • 移行後の監視・保守体制が整っているか
  • プロジェクトマネージャーが専任でつくかどうか

特に中堅・中小企業のクラウド移行では、移行後の運用設計までを任せられるパートナーかどうかが重要です。表面的な提案だけで判断せず、体制の中身まで見極めることが成功への第一歩となるでしょう

提案力・対応力・柔軟性の見極め方

パートナー企業との相性を見極めるうえで、最終的な決め手となるのが「提案力」と「対応力」、そして「柔軟性」です。どれだけ優れた技術を持っていても、自社の課題や状況に合わせた現実的な解決策を提示できなければ、実務レベルでの信頼関係は築けません

代表的な比較項目

  • 初回提案がテンプレートではなく、ヒアリング内容を反映したものか
  • 質問や仕様変更に対するレスポンスが早く、丁寧かどうか
  • 提案内容に「業務側の視点」が含まれているか
  • トライアル・検証フェーズの設計が現実的かつ段階的か
  • 想定外のトラブル発生時にどのようなサポート体制をとるか

単に「作れる会社」ではなく、「相談できるパートナー」であるかどうか」この違いが、プロジェクトを円滑に進められるか否かを左右するでしょう。

GeNEEの「伴走型クラウド移行支援」が重視する設計思想

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クラウド移行を真に成功させるには、インフラの置き換えに留まらず、ビジネス要件と運用現場に深く踏み込んだ設計思想が必要です。

GeNEEはその考えのもと、計画から移行・運用までを一貫して支援する「伴走型」のクラウド移行支援を提供しています。

特徴的なのは、最初のヒアリングから要件定義、設計、開発、テスト、移行、定着支援までをワンストップで対応できる体制を持っている点です。プロジェクトの初期段階では、現行業務やシステム構成を丁寧に棚卸しし、クラウド移行がどのような業務改善や経営効果に繋がるのかを可視化します。

そのうえで、Lift & Shiftではなく、将来の運用・拡張を見越した設計(スモールスタート+段階的拡張)を基本方針としています。例えば、最小構成での検証導入を経て本格移行に至るステップを設計することで、初期投資を抑えつつ、リスクを分散できるのです。

また、移行後の運用フェーズまで視野に入れたセキュリティ設計・モニタリング体制の構築・社内向けトレーニングも一貫して対応。プロジェクトが終わった後も、運用が自走するまで支援を継続する点が、GeNEEの伴走型支援の最大の特長です。

結果として、単なるクラウド移行ではなく、業務の変革・システムの再構築・組織の成長支援までを含めた包括的なサービスとして、企業のDX推進を下支えしています。

クラウド移行を成功に変えるには?失敗を起点にした見直しのすすめ

クラウド移行を成功に変えるには?失敗を起点にした見直しのすすめ

クラウド移行は一度実施すれば終わりというものではありません。実際には、「移行したものの期待した効果が出ない」「現場にフィットしていない」といった声も多く、導入後に課題が顕在化するケースが少なくありません

しかし、こうした失敗の蓄積こそが、次の改善の起点になります。重要なのは、過去の移行に対して「間違っていた」と断じるのではなく、現在の状態を客観的に評価し、どこからどう見直すかを冷静に判断することです。

ここでは、クラウド化を一度終えた企業が、そこからどう改善し、持続的な成長に繋げていくかの考え方と手順を整理しましょう。

すでにクラウド化したシステムのリファクタ・再設計の必要性

初回のクラウド移行でLift & Shiftを採用した場合や、要件を詰め切れないままの移行だった場合、構成や運用に何らかの歪みが残っている可能性があります。たとえ大きなトラブルが起きていなくても「今の設計がクラウドに最適化されているか」を再検証することは価値があります

見直しの対象

見直し対象内容
アーキテクチャ構成マイクロサービスへの再構成、単一障害点の解消など
リソース配分常時稼働の無駄なリソース、スケーリング設定の不備
セキュリティ設計アクセス制御やログ監査の強化、ゼロトラスト構成の導入
運用設計アラート閾値や監視項目の見直し、障害対応手順の整備

設計を一度「棚卸し」し、必要に応じてリファクタリングや再構築に着手することが、クラウドを長期的に有効活用するうえで不可欠なステップとなるでしょう

PoC止まりで終わってしまう新規事業に課題を感じている方には、以下の記事もおすすめです。仮説検証を軸にしたMVP開発の進め方を通じて、事業化に向けた検証プロセスの再設計方法が丁寧に解説されています。

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部分的な見直しから再構築へ進むロードマップ

すべてを一度に作り直す必要はありません。むしろ、部分的な見直しを起点とし、段階的に改善を進めるロードマップを描くことが、実現性の高いアプローチです。ポイントは、技術だけでなく、業務・人・体制も含めた総合的な視点でロードマップを設計することです。

以下は、段階的な見直しの一例です。

  1. 現状把握と課題整理
     ・アーキテクチャや運用体制の実態を可視化
     ・システムごとの利用状況と負荷の把握
  2. 小規模システム・非基幹領域からの改善着手
     ・まずは周辺システムの構成見直しや、セキュリティ強化などからスタート
  3. PoC(概念実証)による再構築検討
     ・改善後の構成を限定的に試すフェーズ。効果を数値で検証
  4. 段階的な展開と社内定着化
     ・業務部門との連携を強めながら、本格的な再構築へと移行

ロードマップは「再構築ありき」ではなく、自社の課題とリソース状況を踏まえて現実的に描くことが重要です。失敗経験があるからこそ、次の打ち手には確かな判断が求められるでしょう。

レガシーシステムからの脱却をきっかけに、全社IT戦略そのものの再構築を検討している方には、下記の記事もおすすめです。2025年の崖に備えたIT再設計のステップよくある失敗と成功企業の違いを丁寧に解説しています。

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「やり直し」をコストではなく成長のための投資と捉える視点

クラウド移行の見直しを提案すると、多くの企業で最初に持ち上がるのが「またコストがかかるのではないか」という懸念です。確かに再設計や再構築には一定の予算が必要になりますが、単なる「やり直し費用」と捉えるか、「成長への再投資」と捉えるかで、社内の動き方は大きく変わるでしょう。

例えば、非効率なリソース設計や手動運用の継続によって発生する隠れコストや人的な疲弊を放置したままでは、今後の事業拡張や新サービス展開にも影響が出ます。一方、早期に見直しを行えば、コスト削減だけでなく、運用スピードや開発効率の向上といった、副次的なメリットも得られます。

経営として重要なのは、投資に対する回収計画(ROI)を明確にし、改善によってどのような成果を目指すかを定量的に示すことです。そうすることで、クラウドの見直しは「過去の失敗」ではなく、「未来への再スタート」として社内に受け入れられるようになります。

まとめ:クラウド移行の成功はパートナー選定と設計で決まる

クラウド移行の成功はパートナー選定と設計で決まる

クラウド移行は、単なる技術的な置き換えではなく、事業や業務に深く関わる全社的な取り組みです。だからこそ、トラブルやギャップが発生しやすく、「移行したのに効果が出ない」と感じるケースが後を絶ちません。

本記事で紹介してきたように、クラウド移行の失敗は初期の設計不備や、目的と手段のミスマッチ、ベンダー選定の甘さなど、プロジェクトの根幹に関わる要素から始まることがほとんどです。

裏を返せば、構想段階での設計精度を高め、適切な支援パートナーと連携することができれば、クラウドは企業の競争力を押し上げる大きな武器になります。重要なのは、クラウドという選択肢を「安価なインフラ」としてではなく、「業務変革と成長のプラットフォーム」として位置づける視点です。

すでに移行を終えた企業であっても、見直しや再設計を恐れる必要はありません。むしろ、移行経験のある今だからこそ見える課題に正面から向き合い、次の一手としてのリファクタや再構築に踏み出すことが、中長期的な成果につながります

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監修者
飯嶋シロ
飯嶋シロ
コンテンツマーケティングディレクター
<略歴>

慶應義塾大学卒業後、日系シンクタンクにてクラウドエンジニアとしてシステム開発に従事。その後、金融市場のデータ分析や地方銀行向けITコンサルティングを経験。さらに、EコマースではグローバルECを運用する大企業の企画部門に所属し、ECプラットフォームの戦略立案等を経験。現在は、IT・DX・クラウド・AI・データ活用・サイバーセキュリティなど、幅広いテーマでテック系の記事執筆・監修者として活躍している。

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