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新規事業における市場調査のやり方を徹底解説|調査手法から活用法まで

監修者
飯嶋 シロ
新規事業における市場調査のやり方を徹底解説

目次

新規事業の成功には優れたアイデアだけでなく、的確な市場調査が不可欠です。顧客ニーズの把握、競合環境の理解、成長性の見極めなど、事業の土台を築くための視点が市場調査には詰まっています。

本記事では、調査の意義から具体的な手法、活用事例、事業への反映方法までを解説。調査を単なる準備作業ではなく、事業成功への戦略的ステップとして位置づけ、実行に移せる内容をお届けします。

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なぜ新規事業に市場調査が不可欠なのか

なぜ新規事業に市場調査が不可欠なのか

新規事業の立ち上げにおいて、市場調査は成功率を大きく左右する要素です。多くの企業が「良いアイデアがあれば売れる」と考えがちですが、実際には顧客の本音を捉えたうえで市場環境を見極め、的確な戦略に落とし込むことが不可欠です。

ここでは、なぜ市場調査が必要なのかを多角的に整理し、調査を怠ることで起こりがちな失敗も交えて解説します。

アイデアだけでは成功しない理由

良いアイデアはあくまで出発点であり、成功を保証するものではありません。市場に出した際に受け入れられるかどうかは、ニーズとの合致タイミングの精度にかかっています。

失敗の可能性が高まるケース

アイデアの状態典型的な課題
自社都合で立案顧客の課題を深く理解していない
直感ベース客観的データに基づかない
技術先行型市場が求めていない機能・仕様になりやすい

市場に存在しないニーズを想定して事業を進めると、初期投資だけが先行し、回収できないリスクが高まります。事業アイデアは仮説にすぎず、現場での検証を通じて実効性を持つものへと磨き上げる必要があるでしょう。

顧客ニーズと市場適合性の重要性

商品やサービスが受け入れられるかどうかは、顧客ニーズとの一致市場環境との整合性にかかっています。いくら技術的に優れていても、「誰の」「どのような課題を」解決するのかが曖昧では、事業として成立しません。

市場適合性を見極めるには、次の2点が重要です。

  • ターゲット顧客の解像度を高めること
    年齢層や業種といった表面的な属性だけでなく、意思決定プロセスや日常の困りごとまで具体的に把握する必要があります。
  • 競合との違いを明確にすること
    同じニーズを満たす代替手段がすでに存在する場合、自社の提供価値が十分に伝わらないリスクがあります。

これらを調査によって明らかにすることで、市場にフィットした事業コンセプトを設計できるようになります。

ニーズ調査を怠った場合の典型的な失敗例

実際に市場調査を軽視したことで、新規事業が頓挫したケースは少なくありません。

よくある失敗パターン

失敗の原因よくある結果
ニーズを調べずに製品開発を進行販売開始後に顧客の反応が鈍く在庫が残る
顧客インタビューを省略実際の利用シーンとプロダクトが合っていない
競合調査を怠った類似サービスが既に普及しており差別化できない

特に「自分が欲しいから他人も欲しいはず」といった主観的な判断に依存すると、失敗リスクは一気に高まります。

市場調査は、時間やコストがかかる一方で、「間違った意思決定」を防ぐ保険とも言えます。早い段階で現場の声を聞き、ニーズとのズレを修正する姿勢が、新規事業の成否を左右するのです。

関連記事:新規事業が失敗する理由とは?よくある原因とフェーズ別の対策を解説

市場調査で把握すべき4つの視点

市場調査で把握すべき4つの視点

市場調査を行う際にただ漠然と情報を集めても、有効な戦略にはつながりません。新規事業において本当に把握すべきなのは、顧客の行動原理と市場全体の構造を捉えるための視点です。単に数値データやトレンドを追うのではなく、調査の初期段階で「何を見極めるべきか」を明確にしておくことが、調査の質とその後の戦略精度に直結します。

ここでは、事業企画において特に重視すべき4つの視点を探っていきましょう。

顕在ニーズと潜在ニーズの違い

顧客のニーズには「明確に自覚している顕在ニーズ」と「本人も気づいていない潜在ニーズ」があります。新規事業においては、顕在ニーズへの対応だけでは競争優位性を築くのが難しいという課題を念頭に置きましょう。

ニーズの種類特徴発見方法
顕在ニーズ顧客が言語化している課題アンケート、FAQ分析など
潜在ニーズ顧客がまだ気づいていない欲求行動観察、深掘りインタビュー

特に潜在ニーズの発見は、ユーザーインタビューや現場観察など定性的アプローチが有効です。表面的な発言だけでなく、その背景にある動機や文脈まで掘り下げることで、競合が気づいていない価値を見出せるでしょう。

顧客セグメントと購買動機

すべての顧客が同じニーズを持っているわけではありません。誰に向けてどんな価値を届けるのかを明確にするためには、顧客を適切にセグメント分けし、それぞれの購買動機を把握する必要があります。

有効な切り口の例

  • 年齢・性別・地域などの属性情報
  • ライフスタイルや価値観
  • 行動パターンやチャネルの使い方
  • 課題の深刻度とその解決への意欲

例えば、同じ商品でも「時短ニーズ」で選ぶ人と「コスト削減目的」で選ぶ人では、響くメッセージやチャネルが変わってきます。購買理由が異なれば、訴求すべき価値も変わるという視点を持つことが、顧客理解を深めるうえで非常に重要です。

競合環境と代替手段の把握

新規事業の成否を左右するもう一つの大きな要素が、競合とのポジショニングです。自社がどの立ち位置にあるのかを把握するためには、既存プレイヤーや類似サービスだけでなく、顧客が現在使っている「代替手段」まで含めた視野が求められます。

競合分析の視点

分析項目内容
直接競合同じニーズに対して類似商品を提供する企業
間接競合一部ニーズが重なるが、異なる手段で解決するサービス
代替手段人手対応や既存の習慣、現状維持など「使われていない手段」

競合だけでなく「何もしない」という選択肢も顧客にとっての現実的な選択肢である点を見落としてはいけません。そこに勝てる価値をどう作るかが、ポジショニング戦略の核心になるのです。

市場規模と成長性の検証

新規事業として成立するかどうかを判断するうえで、市場の大きさと今後の成長性を見極めることは欠かせません。いくら有望なアイデアでも、市場が小さすぎる・縮小傾向にある場合には持続的な収益化が難しいでしょう。

市場規模や成長性の分析に役立つ情報

  • 総市場規模(TAM)、サービス対象市場(SAM)、自社が狙える市場(SOM)の試算
  • 過去数年の成長率と今後の予測
  • 法規制や技術動向など、環境変化の兆し

特に初期フェーズではSOM(自社が実際に狙える市場)のリアリティを重視する必要があります。理論上は大きく見えても、実際のアプローチ可能性やリソースに見合っていなければ戦略としては機能しません。定量・定性の両面から市場性を見極めることが、事業判断の基盤となるでしょう。

市場調査の主な手法と使い分け

市場調査の主な手法と使い分け

市場調査を行ううえで重要なのは、目的に応じた手法を正しく選び、適切に実施することです。手法ごとの特性や得意領域を理解していなければ、せっかくの調査も有効なデータにはなりません。また、実施の順序や組み合わせによって、得られる示唆の質も大きく変わってきます。

ここでは、新規事業において活用される主要な調査手法と、それぞれの使いどころについて見ていきましょう。

定量調査と定性調査の違いと使いどころ

市場調査には大きく分けて「定量調査」と「定性調査」の2種類があります。

それぞれの違いを正確に理解し、得たい情報の性質に応じて使い分けることが求められます。

種類特徴向いている目的
定量調査数値化されたデータを大量に集める市場規模の把握、傾向の把握、仮説の検証
定性調査行動や感情などの深掘り潜在ニーズの発見、課題の構造理解

例えば「どの機能が最も重視されているか」を知りたい場合は定量調査、「なぜその機能が必要と感じられているのか」を探るには定性調査が適しています。両者を組み合わせることで、表面的な傾向とその背後にある本質の両方にアプローチできます。

インタビュー、アンケート、ユーザーテストの実施ポイント

調査を実行する手段としては、インタビューやアンケート、ユーザーテストなどがよく用いられます。それぞれの特性を理解したうえで、調査目的に合った形式を選ぶことが成果の質を左右するでしょう

手法特徴とメリット実施時のポイント
インタビュー深い洞察が得られる/柔軟な対話が可能質問はオープンに、傾聴姿勢を徹底
アンケート広範なサンプルから数値が得られる回答の選択肢は明確かつ網羅的に設計
ユーザーテスト実際の行動を観察できる目的を明確化し、記録や分析体制を整える

特にユーザーテストは、サービスの使い勝手や思わぬつまずきを把握するのに有効です。アンケートやインタビューでは表れない「無意識の行動」から新たな示唆を得られる可能性があります。

調査設計時に陥りがちなミスと対策

どれほど良い手法を選んでも、調査設計そのものが誤っていれば正しい結論にはたどりつけません。特に新規事業の初期段階では、仮説が曖昧だったり、設問が誘導的になっていたりするケースが多く見受けられます。

代表的な失敗例と対策

よくあるミス具体例対策
仮説が曖昧なまま調査を開始何を確かめたいかが不明確調査目的を明文化し、仮説リストを作成する
質問が誘導的になっている「この商品は便利だと思いますか?」中立的な表現に言い換える
回答者の属性を限定できていないターゲット外の人が多数含まれるセグメントごとのスクリーニングを徹底

調査は実施そのものよりも、設計段階で8割が決まるとも言われます。調査前に十分な仮説整理と設問設計を行い、必要に応じて第三者によるレビューを入れることで、調査結果の信頼性を大きく高めることができます。

調査目的別に選ぶおすすめツール・サービス一覧

調査目的別に選ぶおすすめツール・サービス一覧

市場調査は、調査手法だけでなく「どのツールやサービスを使うか」によっても得られる情報の質が変わってきます。特に新規事業では、限られたリソースのなかで効率よく有効なデータを収集する必要があります。そのためには、目的や予算に応じて最適なツールを選ぶ視点が欠かせません

ここでは、初期検討段階で手軽に使える無料ツールから、信頼性の高いプロフェッショナルサービス、さらには社内データやSNSを活用した独自のアプローチまで、目的別に活用できる手段を紹介します。

無料・低コストで使える調査ツール

立ち上げフェーズでは、調査に大きなコストをかけられないことも珍しくありません。そんな場合でも、手軽に使えて一定のインサイトが得られるツールは数多く存在します

代表的なツール

ツール名特徴と用途
Googleフォーム無料でアンケート作成、集計も自動で対応
SurveyMonkey(無料プラン)シンプルな設問設計と即時集計に適する
Twitterアンケートフォロワーからリアルタイムな反応を収集
SimilarWeb自社・競合サイトのアクセス傾向を把握
Googleトレンドキーワードの検索動向を時系列で確認できる

無料ツールでの調査は、初期仮説の検証や方向性の絞り込みに最適です。精度や信頼性に限界はありますが、スモールスタートの材料としては十分に機能します。

本格調査に役立つプロフェッショナルサービス

より精度の高い定量・定性データを得たい場合には、調査設計から実施、分析まで一貫して依頼できる調査会社の活用が効果的です。特に社内にリサーチの知見がない企業にとっては、設問設計や対象者の抽出など専門的な支援が大きな強みになります。

プロへの依頼はコストがかかりますが、判断材料として説得力のあるデータを必要とする場面では有効な投資です。特に経営層への提案資料や、事業計画書の裏付けとしても利用価値が高まるでしょう。

SNS・社内データを活用した“裏技的”アプローチ

定番の調査手法に加えて、すでに存在するデータや日常的な接点から「生の情報」を拾う工夫も有効です。コストをかけず、タイムリーな情報を得るという意味で、非常に実践的な手段です。

活用できるアプローチ

  • SNSの検索機能を使ったニーズ探索
    TwitterやInstagramで特定のキーワードを検索し、実際の発言や悩みを収集
  • 既存顧客へのヒアリングログの再分析
    カスタマーサポートや営業部門が持つ過去の応対履歴をもとに、ニーズ傾向を抽出
  • 社内に蓄積されたアクセスログやCVデータの活用
    ウェブサイトやアプリの行動ログから、関心領域や離脱ポイントを特定

上記の方法は、調査という形を取らずとも自然な形で顧客理解を深められる点が特長です。通常の調査と併用することで、より立体的な分析が可能になります。特にスピードと実行力が求められる新規事業開発では、こうした裏技的アプローチが成果を左右することも少なくありません。

市場調査を活用した新規事業の成功事例3選

市場調査を活用した新規事業の成功事例3選

市場調査の意義を理解しても、具体的な活用イメージが持てなければ実行にはつながりません。実際の企業がどのように市場調査を活用し、新規事業の立ち上げに結びつけてきたのかを知ることで、調査の本質や活かし方がより立体的に見えてきます。

ここでは、大手企業、スタートアップ、そしてデータドリブンな組織の3タイプに分けて、実際の事例を紹介します。

大手企業が新規事業に成功した事例(富士フイルム)

富士フイルムは、写真フィルム市場の急速な縮小という逆風を受けながらも、徹底した市場調査と自社技術の再定義によって事業転換に成功した代表例です

具体的には、保有していたナノテクノロジーやコラーゲン解析の技術を、ヘルスケアやスキンケア領域に応用。調査を通じて、加齢や美容に対する顧客の悩みと市場の成長性を捉え、スキンケアブランド「アスタリフト」の立ち上げにつなげました。

このケースが示すのは、市場環境が変化したとき、既存リソースとニーズの接点を改めて見直すことの重要性です。変化に柔軟に対応しながらも、戦略的な調査を軸に据える姿勢が、新たな収益源の創出を可能にしています。

スタートアップがニーズ検証からピボットした例

スタートアップの成長過程において、当初の仮説と市場の実態がずれていることに気づき、事業の方向性を修正する「ピボット」はよくあるプロセスです。この判断を支えるのが、ユーザーインタビューや簡易なプロトタイプテストなどによる早期のニーズ検証です。

例えばあるプロダクト開発支援企業の事例では、学生向け学習ツールの開発を進めていたものの、実際に使ってもらうと「継続性に課題がある」という声が相次ぎました。そこで再度インタビューを重ねた結果、「保護者が進捗を可視化したい」というニーズに着目。結果的に、子どもだけでなく親も巻き込む機能設計へとピボットし、ユーザー定着率を大きく伸ばすことに成功しています。

小さく検証してすばやく軌道修正する柔軟さこそ、スタートアップにおける市場調査の真価と言えるでしょう。

社内データ分析と顧客ヒアリングを組み合わせたケース

市場調査というと外部から情報を取りに行くイメージが強いですが、実は社内に蓄積されている既存データにも価値あるインサイトが眠っています。顧客ヒアリングを掛け合わせることで、定量・定性の両面から多角的な分析が可能になります。

あるIT系企業では、ユーザーの行動ログを詳細に分析した結果、「特定の時間帯に離脱率が高い」ことに気づきました。そこで実際のユーザーにヒアリングを行ったところ、導線が分かりにくくなっていたUIの不備が判明。結果として導線設計を見直し、CVR(コンバージョン率)が改善されたという報告があります。

このように、社内データという「事実」と、ヒアリングという「解釈」を組み合わせることで、より解像度の高い意思決定が可能になります。

新規事業における市場調査のやり方

新規事業における市場調査のやり方

新規事業の調査は以下の4つのステップで進めます。

ぞれぞれについて解説していきます。

  1. 外部環境と市場規模の把握
  2. 顧客ニーズの深堀り
  3. 仮説の検証
  4. 自社や競合を分析

外部環境と市場規模の把握

外部環境と市場規模を把握するには、「マクロからミクロへ」と段階を追ってフレームワークを活用します。

外部環境の把握には以下の3つのフレームワークを使います。これらのフレームワークで、自社でコントロールできない要因を整理します。

  • PEST分析:政治(P)・経済(E)・社会(S)・技術(T)の4要素から世の中の大きな流れを掴む。
  • 5フォース分析:業界の競争環境と収益性を「5つの競争要因(脅威)」で分析し、その分野での稼ぎやすさを評価。
  • 3C分析:市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)から勝ち筋を見つける。

市場規模の算出と把握には、以下を使います。

  • 公開データの活用:家計調査や経済センサスなど官公庁の統計データや富士経済や矢野経済研究所の市場調査などを使います。
  • 概算の算出:正確なデータがある場合、「単価×顧客数×購入頻度」で積み上げたり、売上・業界シェアから全体を把握。ない場合は、フェルミ推定で概算を算出。
  • セグメント別把握:市場を、最大市場規模(TAM)、有効市場規模(SAM)、現実的な売り上げ目標(SOM)の3つに分けて考える。

外部環境と市場規模をそれぞれ把握したら、SWOT分析を使い、具体的な戦略に落とし込みます。

顧客ニーズを深堀り

数値化できない悩みやインサイトを直接探ります。ここでのポイントは、ただ「欲しい=ニーズ」ではなく、その背景にある解決したい課題や不満(ペインポイント)を特定することが重要です。

顧客ニーズを特定するステップは以下です。

  1. ジョブ理論で本質的なニーズを特定
  2. 定性インタビューで背景を聴く
  3. 集めた情報をフレームワークで構造化する

ジョブ理論でニーズを特定する

ジョブ理論とは、顧客の購買行動の理由を説明するための理論です。ジョブ理論では、顧客一人ひとりが直面している状況と目指すべき進歩を考慮するため、より解像度を上げた顧客ニーズを捉えることが可能です。

定性インタビューで背景を聴く

定量調査(アンケート)では見えない「なぜ?」を深掘りするために、顧客インタビューを実施します。 1つの話題に対して最低3回は質問を重ね、行動の背景にある感情やエピソードを引き出します。

集めた情報をフレームワークで構造化する

ここまでで、集めた情報を整理し、事業の「狙い目」を明確にします。具体的には、顧客が抱える悩みと得たい情報を書き出し、自社の解決策と合致するか検証、顧客が言葉にできない無意識の行動を、実際の利用現場を観察することで発見します。

仮説の検証

新規事業の仮説検証は、「顧客の課題は本当にあるか?(CPF)」「その解決策は求められているか?(PSF)」の順番で、回すのが鉄則です。

1. 検証すべき「仮説」を言語化する

頭の中にあるアイデアを、検証可能な形に書き出します。書き出すのは、具体的なペルソナ(誰が)が、どんな悩みや不満を抱えていて(課題)、どんな機能・価値を求めているのか(解決策)です。この時にリーンキャンパスを使うとビジネスモデル全体の仮説を1枚で整理できます。

2.検証計画をたてる

仮説が、どんな状況だったら正しい/正しくなかったのかを基準(KPI)を設けて検証していきます。

3.最小コストで検証を「実行」する

いきなり製品やサービスを作らず、プロトタイプとなる最小限の単位で作り、検証していきます。検証の方法は、ターゲットに近い人にあって、ターゲットの行動や事実を聴き、そのうえで解決策を具現化したものを見せて反応を確かめます。

4.結果から「学び」を得て改善する

検証した結果をもとに、継続するのか、方向転換(仮説が外れていた場合)するのか、撤退するのか決めます。

自社や競合を分析

新規事業の立ち上げにおいて、自社と競合を正確に把握することは、勝ち筋を見つけるために不可欠です。分析は「外(市場・競合)から内(自社)」へと視点を移していくのが基本です。以下の手順で進めることで、網羅的かつ戦略的な分析が可能になります。

1.市場と競合の全体像を把握する

まずは戦う市場と、そこに誰がいるかを洗い出します。戦う市場の市場規模や成長率、顧客が何を求めているか(ニーズ)を確認します。そして、競合他社をリストアップします。競合は、直接的な競合だけでなく、代替品を提供する間接的な競合も含めてリストアップします。

2.3C分析で「三者」の関係性を整理する

市場分析の定番である 3C分析 を使い、顧客・市場(顧客の属性や市場の動向)、競合(競合のシェア、評価、強み・弱み、リソースなど)、自社(自社のビジョン、強み・弱み、提供できる価値)の3つの視点で情報を整理します。

3.競合と自社を詳細に比較する

4p分析やポジショニングマップを使って、より具体的に勝てるポイントを探ります。ポジショニングマップでは、顧客の重視する2軸(例:価格と品質)を選び、自社と競合の立ち位置を可視化します。空いている「空白地帯」が狙い目です。

4.自社の勝ち筋を導き出す

収集したデータを統合し、具体的なアクションプランに落とし込みます。SWOT分析の実施して、市場の「機会・脅威」と自社の「強み・弱み」を掛け合わせ、自社の武器や改善点を明確にします。そして、競合が提供できていない価値や、自社にしかできないサービスを決定します。

調査結果を事業に落とし込むためのプロセス設計

調査結果を事業に落とし込むためのプロセス設計

調査によって得られた知見は、分析だけで終わらせてはいけません。最も重要なのは、それらの示唆をどのように事業戦略やプロダクト設計に結びつけていくかという実行のフェーズです。

優れた市場調査ほど、実務に落とし込めなければ価値が半減します。ここでは、調査結果を具体的なアクションに変換するためのプロセスについて、3つの視点から解説します。

仮説検証の進め方と仮説の見直し方

新規事業における市場調査は、明確な「問い」や「仮説」があってこそ意味を持ちます。調査結果を活かすには、仮説を立て、それを検証するプロセスを設計することが第一歩です

仮説検証の進め方

  1. 調査前に「誰の・どんな課題を・どう解決するか」を仮説として明文化する
  2. 市場調査によって仮説を検証し、齟齬がないか確認する
  3. ギャップが見つかった場合は、新たな仮説に修正し再検証を行う

例えば、最初に想定したニーズが「作業効率化」だったものの、調査の結果「社内承認プロセスの複雑さ」に真因があったことが分かるケースはよくあります。調査によって得た気づきを柔軟に取り入れ、仮説をアップデートし続けることが、事業の精度を高める鍵になるでしょう。

MVP開発とスモールスタートによるフィードバックループ

調査結果をただ資料化するだけでなく、実際に仮説を市場で試す「行動フェーズ」に移すことが重要です。その手段として最適なのが、MVP(Minimum Viable Product)とスモールスタートの考え方です。

関連記事:MVP開発とは?開発にかかる期間やコスト、PoCやプロトタイプとの違いについて解説

手法内容メリット
MVP(実用最小限製品)核となる価値だけを実装した簡易プロダクトリスクを抑えつつ市場反応を検証できる
スモールスタート小規模なターゲットに限定してリリース検証・学習サイクルを素早く回せる

例えば、あるSaaS企業ではユーザーの悩みに応じた機能だけを限定開発し、初期ユーザー20名に限定公開したところ、要望の9割が別の部分に集中。そこで一部の仮説を修正し、次の開発フェーズへ移行しています。

調査と開発を切り離さず、試行錯誤のループを回す姿勢が、実践的な事業検証を支える要です。

社内共有と意思決定への落とし込み方

調査結果をいかに活かすかは、社内での共有の仕方にも大きく影響されます。良いデータであっても、解釈や伝え方を誤ると意思決定に結びつかないため、プロセス設計においては「社内伝達の設計」も重要な要素となります。

社内での共有時の工夫

  • データだけでなく「なぜその示唆が重要か」という背景を添える
  • 調査結果と仮説、アクションプランをセットで提示する
  • 部門横断で共有し、反応や意見を取り込む機会を設ける

例えば、パワーポイントで表やグラフだけを並べても、「で、どうするのか?」と問い返される場面は珍しくありません。調査結果を事業戦略に落とし込むには、意思決定者が納得できる論理の橋渡しが必要不可欠です。

結果として、調査が単なるレポートで終わらず、社内を動かす起点として機能するようになります。

まとめ:市場調査は新規事業の勝率を決める第一歩

市場調査は新規事業の勝率を決める第一歩

新規事業の成功において、市場調査は単なる事前準備ではなく、勝率を左右する戦略的プロセスです。顧客ニーズの把握、市場環境の理解、競合との差別化、そして仮説検証とフィードバックのループまで、すべての土台には精度の高い調査があります。

アイデアをかたちにする前に、誰のどんな課題を解決するのか、その価値は本当に求められているのかを問い直すこと。調査の視点と手法を正しく使い分け、得られた示唆をMVPや戦略設計に落とし込むこと。それができて初めて、事業は現実の市場で競争力を持つ存在へと育つでしょう。

調査を行うかどうかではなく、どう行うかが結果を左右します。手探りのフェーズだからこそ、事実と向き合いながら意思決定を進めるための調査視点を持つことが、事業成功への確かな一歩となるはずです。

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監修者
飯嶋シロ
飯嶋シロ
コンテンツマーケティングディレクター
<略歴>

慶應義塾大学卒業後、日系シンクタンクにてクラウドエンジニアとしてシステム開発に従事。その後、金融市場のデータ分析や地方銀行向けITコンサルティングを経験。さらに、EコマースではグローバルECを運用する大企業の企画部門に所属し、ECプラットフォームの戦略立案等を経験。現在は、IT・DX・クラウド・AI・データ活用・サイバーセキュリティなど、幅広いテーマでテック系の記事執筆・監修者として活躍している。

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