
目次
中小企業の業務改善手段として、SaaS(クラウド型ソフトウェア)の導入が一般的になりつつあります。
一方で、
「導入したが現場で使われない」
「ツール選定を誤り、かえって業務が複雑化した」
といった失敗も少なくありません。
SaaS導入を成功させるためには、ツール選びだけでなく、業務課題の整理、導入プロセスの設計、現場への定着までを一連で考える必要があります。
本記事では、SaaS導入でよくある失敗例を踏まえながら、失敗しないための導入フロー、判断チェックリスト、業務に定着させるための実践ポイントを体系的に解説します。
なぜ今「SaaS導入支援」が必要とされているのか

近年、SaaSは中小企業にとっても身近な存在となり、業務改善やコスト削減を目的に導入を検討する企業が急増しています。
しかし、「導入すればうまくいく」という思い込みのまま進めた結果、かえって混乱を招くケースも増えています。
ここでは、なぜSaaS導入に専門的な支援が求められているのか、その背景と課題を整理しましょう。
中小企業のデジタル化が急務になっている背景
中小企業を取り巻く経営環境は急速に変化しており、アナログな業務フローのままでは競争力を維持できない状況が生まれています。
特に以下のような課題が、SaaSを含むデジタルツールの導入を後押ししています。
- 人手不足の深刻化
担当者の属人化や業務過多が常態化し、自動化・効率化のニーズが高まっている - テレワーク・ハイブリッドワークの定着
勤怠管理、社内コミュニケーション、資料共有など、クラウド環境で完結する仕組みが必要に。 - 取引先からのDX要請
大手企業や行政との取引継続のため、電子帳簿保存法やインボイス対応などデジタル対応が必須に - 競合との差別化
ITを活用して業務スピード・品質を高めることが、受注・採用の面でも優位性につながる
このように、デジタル化は中小企業にとっても「いつかやる」ではなく「今すぐ取り組むべき」課題となっているのが実情です。
SaaSは導入が簡単でも、業務に定着させるのが難しい
SaaSの最大の魅力は、初期費用を抑えてスピーディーに導入できる点にあります。
しかし導入のハードルが低い反面、「導入しただけで業務改善につながる」と誤解されやすいという課題があります。
実際、多くの企業が以下のような理由でSaaS導入に失敗しているのです。
| よくある失敗要因 | 説明 |
|---|---|
| 業務フローに合っていない | ツールの仕様が自社の業務にフィットせず、現場が混乱する。 |
| 導入目的が曖昧 | 何のために導入するのか社内で共有されておらず、効果測定も困難になる。 |
| 運用ルールが未整備 | 操作マニュアルや権限設定が不明確で、誰も使わなくなる。 |
| 教育・フォロー不足 | 導入時の説明だけで終わり、担当者の異動や退職で運用が止まる。 |
このように、SaaSは導入自体は容易でも、「業務に定着させて成果を出すこと」が本当の難所であり、そこを乗り越えるために適切な支援が欠かせません。
SaaS導入でよくある失敗パターン
SaaSは初期費用の低さや導入の手軽さが魅力ですが、その反面、導入プロセスを甘く見たことで失敗するケースが後を絶ちません。実際に多くの中小企業で起きている失敗の原因は、導入前の準備不足や導入後の運用設計の欠如です。
ここでは、特に頻発する3つの失敗パターンを紹介し、その本質的な原因を見ていきましょう。
ツール選定が目的化してしまう
SaaS導入の失敗で最も多いのが、業務に合わないツールを導入してしまうケースです。
見た目の機能や価格、評判だけで選んでしまい、実際の業務フローや利用者のスキルにフィットしないまま導入が進められることがあります。
主な失敗要因は以下の通りです。
- 現場の業務フローを可視化せずに導入してしまう
- 導入担当者がツールの使い勝手を把握していない
- 一部の部署だけが選定に関与し、他部署の意見が反映されない
- 導入目的が曖昧なまま、なんとなく導入してしまう
このような状況では、せっかく導入したツールも現場に定着せず、結局Excelに逆戻りするなどの“手戻り”が発生してしまうでしょう。
現場と情報システム担当の分断による失敗
中小企業では、専任の情報システム担当がいない、または本業と兼任しているケースが多く、導入後の運用設計やトラブル対応に手が回らないという問題が起こります。
「導入すれば自然に現場が使いこなすだろう」という誤解が背景にあることも少なくありません。
よくある課題は以下の通りです。
- 初期設定やユーザー登録などが属人的になっている
- 設定変更やバージョン対応ができず、途中で放置される
- 運用フローや権限管理のルールが整備されていない
- トラブル発生時に誰も対応できない体制になっている
このような状況では、SaaSを“使える状態”にはなっても“使い続けられる状態”にはならないというギャップが生まれ、ツールの活用度が大きく低下します。
導入後の運用・定着が回らない
SaaS導入の効果は、現場で継続的に使いこなされて初めて発揮されます。
しかし、多くの企業が導入時の説明だけで終わってしまい、その後のフォローや教育を怠った結果、定着しないという問題に直面しています。
典型的な失敗パターンには以下があります。
- 最初の研修以降、追加教育やリマインドが一切行われない
- マニュアルが整備されておらず、新人や異動者が使えない
- 質問しづらい社内風土や、相談窓口が存在しない
- 利用状況や効果を定期的に確認・評価していない
結果として、現場ではツールの存在を忘れられ、導入費用だけが無駄になるという非常にもったいない結末を迎えることになるでしょう。
では、こうしたSaaS導入の失敗を避けるためには、どのような手順で導入を進めればよいのでしょうか。詳細については「失敗を回避するためのSaaS導入の全体フロー」で解説します。
SaaSとは?定義と従来システムとの違い

SaaSとは、ソフトウェアを自社で保有・管理するのではなく、
クラウド上で提供されるサービスを利用する形で業務に取り入れることを指します。
近年では、会計、勤怠管理、顧客管理、営業支援、社内コミュニケーションなど、
多くの業務領域でSaaSが活用されるようになりました。
一方で、「SaaSとは何か」「他のシステムと何が違うのか」を正しく理解しないまま導入を進めてしまうと、前章で触れたような失敗につながるケースも少なくありません。
ここでは、SaaS導入を検討するうえで最低限押さえておきたい基礎知識を整理します。
SaaSの定義と仕組み
SaaS(Software as a Service)とは、インターネット経由で利用するソフトウェアサービスのことです。
従来のように自社でソフトウェアをインストールしたり、サーバーを構築・運用したりする必要はなく、ブラウザや専用アプリを通じてすぐに利用できる点が特徴です。
SaaSの主な仕組みは以下の通りです。
- ソフトウェア本体はサービス提供事業者が管理
- 利用者は月額・年額などの利用料を支払う
- 機能追加やアップデートは自動的に反映される
- インターネット環境があれば場所を問わず利用可能
この仕組みにより、初期費用を抑えつつ、短期間で業務改善を始められることが、SaaSが広く普及した大きな理由です。
SaaSの代表例(業務改善でよく使われるサービス)
SaaSにはさまざまな種類がありますが、ここでは中小企業の業務改善でよく活用されている代表的な例を紹介します。
あくまで一例であり、重要なのはツール名ではなく「自社の業務に合っているかどうか」です。
| SaaSの代表例 | サービスの特徴 |
|---|---|
| kintone | 自社専用の業務アプリをノーコードで簡単に作成でき、部門ごとに異なる業務を、Excelではなくクラウド上で一元管理したい時に有効。 |
| Backlog | プロジェクトやタスクの進行状況を“誰でも使える”UIで見える化できる。 タスク管理が属人化を防ぎたい、プロジェクト全体の流れを可視化したい時に有効。 |
| Notion | 文書作成・情報整理・タスク管理を統合したオールインワンのドキュメント管理。 業務の属人化を防ぎ、情報資産を社内に残す仕組みづくりに有効。 |
| Google Workspace | メール、スケジュール、ファイル管理、オンライン会議など、業務の基本機能を統合されたツール。 クラウドを前提とした働き方にしたいときに有効。 |
このように、SaaSにはさまざまな種類がありますが、どのサービスを選ぶかよりも、
「どの業務に、どのように使うか」を整理することが重要です。
SaaS・オンプレミス・パッケージの違い
SaaSを正しく理解するためには、従来のシステム形態との違いを押さえておくことが重要です。ここではSaaS、オンプレミス、パッケージとの違いを解説します。
| SaaSの特徴 | オンプレミスの特徴 | パッケージの特徴 |
|---|---|---|
| ・クラウド上で提供されるサービスを利用 ・初期費用が低く、導入がスピーディー ・運用・保守は基本的に提供事業者が担当 ・業務に合わせた細かなカスタマイズは難しい場合がある | ・自社内にサーバーを設置してシステムを構築 ・高い自由度・カスタマイズ性がある ・初期費用・運用負荷が大きい ・専門人材や管理体制が必要 | ・既製の業務ソフトを購入・導入 ・一定の業務には適合しやすい ・バージョンアップや保守対応が負担になりやすい ・業務変更への柔軟性は限定的 |
「すべてを自社で抱え込まず、必要な機能をサービスとして使う」という考え方に基づいた選択肢であり、特に中小企業にとって導入しやすい形態と言えます。
IaaS / PaaS との違い
クラウドサービスには、SaaS以外にもIaaSやPaaSと呼ばれる形態があります。
| IaaSの特徴 | PaaSの特徴 |
|---|---|
| ・サーバーやネットワークなどのインフラを提供 ・OSやアプリケーションは自社で構築・管理 ・自由度は高いが、運用負荷も大きい | ・アプリケーションを開発・実行するための基盤を提供 ・開発効率は高いが、一定の技術知識が必要 ・主にシステム開発向け |
SaaSが「完成した業務アプリをそのまま使う」のに対して、PaaSは」アプリを作るための土台」に使われ、IaaSはITインフラ(サーバー、ストレージ、ネットワーク)を、インターネット経由で「サービス」として利用するために使われます。
業務改善を目的とした場合、多くの企業にとって最初の選択肢となるのはSaaSです。
一方で、独自要件が多い業務やシステム連携が複雑な場合には、IaaSやPaaS、あるいはスクラッチ開発との比較検討が必要になるケースもあります。
SaaS導入のメリット・デメリット

SaaSは、業務改善をスピーディーに進められる有効な手段ですが、すべての企業・すべての業務に万能というわけではありません。
メリットだけでなくデメリットも理解したうえで導入を判断することが、SaaS導入を成功させるための重要なポイントです。ここでは、SaaS導入の代表的なメリットとデメリットを整理します。
SaaS導入の主なメリット
ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
初期費用を抑えてスピーディーに導入できる
SaaSは、サーバー構築やソフトウェア購入が不要なため、
オンプレミス型システムと比べて初期費用を大幅に抑えられる点が特徴です。
契約後すぐに利用を開始できるケースも多く、
「まずは試してみる」「一部業務から始める」といった柔軟な導入が可能です。
運用・保守の負担を軽減できる
SaaSでは、システムのアップデートや障害対応、セキュリティ対策の多くを
サービス提供事業者が担います。
そのため、自社で専門のIT人材を確保できない企業でも、安定したシステム運用を実現しやすいというメリットがあります。
場所や端末を問わず利用できる
インターネット環境があれば利用できるSaaSは、テレワークや外出先での業務にも対応しやすく、働き方の柔軟性向上にもつながります。
特に、情報共有や承認フローなど、複数人で利用する業務との相性が良い点も特徴です。
機能改善・アップデートを継続的に受けられる
SaaSは定期的に機能追加や改善が行われるため、常に最新の状態でサービスを利用できます。
法改正対応や業界動向への対応も自動で反映されるケースが多く、長期的な運用においても安心感があります。
SaaS導入のデメリット・注意点
ここでは、主なデメリットを4つ紹介します。
業務に完全にフィットしない場合がある
SaaSは多くの企業で使えるように設計されているため、自社独自の業務フローに完全に合わせることが難しい場合があります。
その結果、
- 業務フローをツールに無理に合わせる
- 一部業務だけ結局Excelに戻る
といった状況が発生することもあります。
カスタマイズ性に限界がある
オンプレミスやスクラッチ開発と比べると、SaaSはカスタマイズの自由度が限定的です。
追加開発ができない、または高額になるケースもあるため、導入前に「どこまで標準機能で対応できるか」を見極める必要があります。
利用が定着しなければコストが無駄になる
SaaSは月額・年額課金が一般的なため、使われない状態が続くと、費用だけが発生し続けることになります。
導入後の教育・フォロー、運用ルール設計を怠ると、「定着しないSaaS」になりやすい点には注意が必要です。
ベンダー依存やサービス終了リスクがある
SaaSはサービス提供事業者に依存する側面があり、仕様変更やサービス終了の影響を受ける可能性があります。
そのため、以下のことを事前に確認しておくことが重要です。
- データのエクスポート可否
- 他システムへの移行のしやすさ
- 契約条件やサポート体制
SaaS導入が向いている業務・向いていない業務
SaaS導入が向いている業務・向いていない業務を以下の表にまとめました。
| 向いている業務 | 向いていない業務 |
|---|---|
| ・業務フローがある程度標準化されている業務 ・複数人で情報を共有・更新する業務 ・法改正や制度変更への対応が必要な業務 ・スピード重視で改善効果を出したい業務 | ・業務内容が高度に独自化している業務 ・複雑なロジックや特殊な計算が必要な業務 ・厳格なデータ管理・制御が求められる業務 |
このように、業務の特性を見極めたうえでSaaSを選択することが、導入効果を最大化するポイントです。
SaaSには多くのメリットがある一方で、導入の進め方を誤るとこれらのデメリットが顕在化してしまいます。次章では、SaaS導入を成功させるための具体的な進め方を解説します。
SaaS導入の全体フロー【失敗しない進め方】

SaaS導入を成功させるためには、「良さそうなツールを探す」ことから始めるのではなく、
業務課題の整理 → 導入 → 定着までを一連のプロセスとして設計することが重要です。ここでは、多くの企業で再現性の高い SaaS導入の全体フローをご紹介します。
Step1:業務課題・目的の整理
最初に行うべきなのは、SaaSを導入する目的の明確化です。
- どの業務が非効率なのか
- 何がボトルネックになっているのか
- 業務改善によって何を実現したいのか
を整理せずにツール選定を始めてしまうと、「使われないSaaS」「効果が説明できないSaaS」になりがちです。
ここで、業務フローの可視化・課題の言語化を行い、SaaS導入によって解決すべきテーマを明確にします。
SaaS導入を成功させるには、まず業務課題を正しく整理することが重要です。業務改善の方法は以下の記事で解説しています。
関連記事:属人化・非効率を解消する業務改善の進め方。業務可視化からツール導入までを支援するITコンサルティングの全体像
Step2:要件定義とSaaS選定
次に、整理した業務課題をもとに 要件定義とSaaS選定を行います。
- 必須機能/不要な機能
- 利用人数・利用部門
- 既存システムとの連携有無
- セキュリティ・権限管理要件
ここで重要なのは、「機能が多いSaaS」ではなく「業務に合うSaaS」を選ぶことです。
業務要件に対してSaaSの機能がどの程度フィットするかを軸に、複数サービスを比較検討します。
要件が曖昧なままSaaSを選定すると、導入後に使われなくなるケースも少なくありません。要件定義の方法については以下の記事で解説しています。
関連記事:システム開発の要件定義とは?欠かせない要素と進め方を解説
Step3:PoC・スモールスタート
いきなり全社導入を行うのではなく、PoC(概念実証)やスモールスタートを行うことが、失敗を防ぐポイントです。
- 一部部署・一部業務で先行導入
- 実際の業務で使えるか検証
- 現場のフィードバック収集
この段階で、「業務フローに合っているか」、「操作性に問題ないか」、「想定外の負荷が発生しないか」を確認することで、本格導入後のトラブルを最小限に抑えることができます。
いきなり全社導入せず、PoCで効果検証することがリスク低減につながります。PoCの進め方については以下の記事で解説しています。
関連記事:PoC支援とは?ITコンサルで失敗を防ぎ成果につなげるプロセスを解説
Step4:本番導入・運用設計
PoCで問題がなければ、本番導入へ進みます。このフェーズで重要なのが 運用設計です。
- 権限・アカウント管理ルール
- 利用ルール・ガイドライン
- 他システムとの連携設計
- 問い合わせ・トラブル対応フロー
SaaSは「導入すれば終わり」ではなく、継続的に使われる前提で設計することが欠かせません。
Step5:定着化・効果測定・改善
導入後は、定着化と効果測定を行います。
- 利用率は想定通りか
- 業務時間は削減されているか
- 現場の負担は増えていないか
効果を定期的に確認し、必要に応じて運用ルールや使い方を見直すことで、SaaS導入による業務改善を継続的に実現できます。
SaaS導入を成功させるための判断チェックリスト
SaaS導入を検討する際は、「導入すべきかどうか」「どのSaaSを選ぶべきか」を客観的に判断できる軸を持つことが重要です。
以下は、導入前に確認しておきたい 判断チェックリストです。
| チェックカテゴリ | チェック項目 |
|---|---|
| 業務適合性 | ・解決したい業務課題が明確になっているか ・現行業務フローに無理なく組み込めるか ・標準機能で業務が回るか |
| コストの妥当性 | ・初期費用や月額費用は想定内か ・利用人数増加時のコストは許容範囲か ・導入や運用にかかる社内工数も考慮できているか |
| セキュリティ・ガバナンス | ・自社のセキュリティポリシーを満たしているか ・権限管理やアクセス制御は十分か ・データの保管場所・バックアップ体制は明確か |
| 運用・定着のしやすさ | ・操作がシンプルか ・現場が自走できる設計になっているか ・マニュアル・サポート体制は整っているか |
| 将来拡張性・連携性 | ・他システムとの連携は可能か ・事業拡大・業務変更に対応できるか ・サービス終了リスクやベンダー依存は許容範囲か |
SaaS以外の選択肢との比較も重要
SaaSは万能ではありません。以下のようなケースでは、他の選択肢も検討すべきです。
- 業務が高度に独自化している場合
- 厳格なデータ管理・制御が求められる場合
- 長期的に大規模な機能拡張が前提の場合
その場合は、スクラッチ開発やパッケージシステムとの比較を行ったうえで、最適な手段を選択しましょう。
SaaS導入をスムーズに進めるための支援体制

SaaSの導入は「ツールを選んで契約すれば終わり」ではありません。
本当に業務改善につながる導入を実現するには、事前準備・選定基準・定着支援まで含めた総合的な設計が必要です。
この一連のプロセスを支えるのが、ITコンサルティングによる伴走型の支援です。
ここでは、その価値を3つの観点から探っていきましょう。
ツール導入前に「業務の棚卸し」が必要な理由
SaaS導入を成功させる第一歩は、「何のために導入するのか」を明確にすることです。
そのためには、現場の業務を可視化し、どこに課題があるのか、どの業務にツールが有効なのかを把握する「業務の棚卸し」が欠かせません。
主な目的と効果を下記にまとめました。
| 目的・アクション | 説明 |
|---|---|
| 業務フローの可視化 | 誰が・何を・いつ・どうやって行っているのかを明確にし、非効率な点を洗い出す |
| 課題の優先順位付け | ツール導入で解決すべき課題と、手作業のままでよい業務を分類する |
| 既存ツールとの関係整理 | 既に使っているソフトやシステムと、導入予定のSaaSが重複していないか確認する |
| 業務プロセスの標準化 | 部門ごとのやり方の違いを整理し、共通ルールを設けてから導入することで混乱を防ぐ |
このように、業務を整理せずにツールだけを先に入れると、むしろ非効率が拡大するリスクが高まるのです。
下記の記事は、戦略設計とIT実装の両方を理解しておきたい方に適したコンテンツです。戦略コンサルとITコンサルの違いや役割、関わる範囲を整理し、DX時代に必要とされる“戦略×IT”のハイブリッド視点を分かりやすく解説しています。SaaS導入後も成果を出し続けるには、経営課題と現場のIT活用を橋渡しできる人材・パートナーの重要性を知ることができます。
関連記事:戦略コンサルティングファームとITコンサルティング会社の違いとは?戦コンの一覧を含めて解説
SaaSの選定は「機能比較」ではなく「業務適合度」で判断する
多くの企業が、カタログスペックや費用感だけを頼りにツールを比較しがちです。
しかし、本当に重要なのは「自社の業務にどれだけフィットするか」という観点です。
適切な選定のためのポイントは以下の通りです。
- 現場の課題や目的と、SaaSが解決できる機能が一致しているかを確認する
- 利用者のITスキルや業務スピードに見合ったUI/UXかどうかを実際に試す
- カスタマイズ性やワークフローの柔軟性が業務プロセスに合っているか検証する
- 既存のシステムや他のSaaSと連携できるかを事前に調査する
- 将来的な業務拡張やチーム増加に耐えられるか、スケーラビリティを確認する
これらを考慮せず、単に「できる機能の多さ」で選ぶと、現場には使いにくく、導入後の手戻りが増える原因となるでしょう。
システム連携・権限設計・操作マニュアルもセットで考える
SaaS導入時に意外と軽視されがちなのが、「周辺との連携」や「社内のルールづくり」です。
特に複数ツールを並行して使う場合や、異なる部署が関与する場合には、導入前に運用設計を明確にしておかないとトラブルの原因になるでしょう。
以下の表に、設計時に検討すべき要素とその目的を整理しました。
| 設計項目 | 内容・目的 |
|---|---|
| システム連携 | 他のSaaSや社内システムとAPI連携・データ連携することで、二重入力や手作業を削減する |
| 権限設計 | 誰がどの情報にアクセスできるかを定めることで、セキュリティリスクや誤操作を防ぐ |
| ワークフローの定義 | 承認ルートや通知の流れを設計し、スムーズな業務遂行を実現する |
| 操作マニュアルの整備 | ユーザーごとの使い方ガイドを用意することで、社内教育の工数を削減できる |
| 初期設定・運用ルールのドキュメント化 | 設定内容を記録することで、トラブル対応や引き継ぎが容易になる |
上記を導入後に考えるのではなく、導入と同時に運用設計も進めることが、現場の混乱を防ぎ、スムーズな定着を実現するために欠かせません。
担当者が変わっても運用できる仕組みを構築
中小企業では、SaaSの導入や運用が一人の担当者に依存しているケースが少なくありません。
しかし、その担当者が異動・退職した瞬間に、運用が止まってしまうというリスクも同時に抱えています。このような属人化を防ぐためには、「誰がやっても回る仕組み」を意識した設計が必要です。
特に重要なのは以下のポイントです。
- 導入手順・初期設定をドキュメント化する
マニュアルや設定記録を残し、再設定やトラブル時に備える - 操作マニュアル・FAQを社内共有する
新人や別部署のメンバーでも使えるように、簡潔で実用的な資料を準備 - 役割ごとの権限設計を明確にする
属人性の排除とセキュリティ対策を両立する設計 - 定期的なレビューと引き継ぎの仕組みを整備する
半年や1年ごとに運用体制を見直し、属人化を予防 - SaaSの利用状況を記録・監視する体制を作る
管理者が不在でも活用度の把握と改善ができるようにする
属人化せず、誰でも回せる仕組みを設計しておくことが、長期的な運用安定につながるでしょう。
SaaSの効果を持続させるうえで、導入初期の設計段階から意識しておくべき重要な観点です。
SaaSを利用して、労務管理を効率化し、法令遵守やセキュリティ面も強化したい企業には、下記の記事もおすすめです。
SaaS型労務管理ソリューションの基本や、オンプレミス型との違い、導入メリット・注意点、選定のチェックポイントまで整理されています。特に勤怠管理や給与計算の自動化、リアルタイムな情報共有、モバイル対応の活用法は、テレワークや分散拠点を持つ中小企業にとって有益でしょう。
伴走型の支援で定着率を高める
SaaS導入の成功は、「現場で日常的に使い続けられるか」にかかっています。そのためには、初期設定や操作説明だけでなく、継続的なサポートと改善が欠かせません。
ITコンサルティングの伴走型支援では、以下のようなサポートを提供することで、ツールの定着と効果の最大化を図ります。
| 支援内容 | 目的と効果 |
|---|---|
| 定着支援トレーニング | 初期研修に加え、運用フェーズでの継続学習やリマインド教育を実施 |
| 操作マニュアル・FAQ作成 | 担当者が変わっても対応できるよう、ナレッジを社内に残す |
| 利用状況のモニタリング | ログや利用率をチェックし、活用が進まない部門に適切なフォローを行う |
| フィードバックによる改善提案 | 現場の声をもとに設定変更や運用ルールを見直し、使いやすさを高める |
このような支援により、導入後に「使われなくなるリスク」を未然に防ぎ、継続的な業務改善へとつなげることができるでしょう。
SaaS導入を成功させるには、ツール選びだけでなく、中長期的なIT戦略と業務改善の設計が不可欠です。下記の記事では、ITコンサルの役割や依頼できる範囲、企業選びのポイントを体系的に解説しています。戦略から開発・運用までを一貫して支援する伴走型パートナーの見極め方を知ることで、導入効果を最大化できる道筋が見えてきます。
関連記事:ITコンサルティング企業とは?仕事内容・依頼できる支援内容を徹底解説
SaaS導入支援におけるGeNEEの強みと独自性

SaaSの選定・導入・定着を成功させるためには、単なるITの知識やツールの比較だけではなく、業務理解・現場設計・運用支援にまたがる包括的な支援体制が求められます。
GeNEEはそのすべてに対応できる、数少ないパートナーです。
まず特筆すべきは、業務の棚卸しから導入後の定着支援までを一気通貫で提供できる伴走型の支援力です。課題抽出や業務プロセスの設計といった上流から、ツールの選定・設定・マニュアル整備、さらには運用・保守・改善までワンストップでサポートできる体制を整えています。
この支援を支えるのが、コンサルタント・エンジニア・UI/UXデザイナーが一体となった三位一体のプロジェクト体制です。ただ導入するだけでなく、実際の現場で使いやすく、継続的に活用されるSaaS環境を設計・実装。特に「業務にフィットしない」「誰も使わなくなった」といった導入後の失敗を未然に防ぐアプローチには定評があります。
また、ITに不慣れな中小企業にも安心のサポート体制を提供している点も見逃せません。
スモールスタートやPoC(実証導入)にも柔軟に対応し、初めてのSaaS導入でも負担なく始められる設計支援が可能です。導入後もマニュアル整備・FAQ作成・利用状況のモニタリングなど、「使い続けられる仕組みづくり」に重点を置いたアフターサポートが特徴です。
これまでには教育機関、医療法人、製造業、大学など幅広い業種での支援実績があり、業種特有の要件や現場事情にも柔軟に対応できる知見が蓄積されています。
SaaSの効果を“導入”で終わらせず、“業務改善の実現”につなげる――それを本気で支援できるのが、GeNEEの最大の強みです。
ITリテラシーに不安がある企業こそまず相談しよう

SaaS導入において、「社内に詳しい人がいない」「どこから手をつければいいか分からない」と感じるのは、ごく自然なことです。重要なのは、その不安を抱えたまま自己判断で進めてしまわないことです。
SaaSは選び方や進め方を誤ると、時間もコストも無駄になりやすい一方で、最初の設計さえ間違えなければ、大きな業務改善効果を生み出すことができます。ここではSaaS導入に関するよくある質問に回答していきます。
FAQ:SaaS導入に関するよくある質問
SaaS導入が失敗する原因は何ですか?
多くの失敗は、ツール選定そのものではなく、導入前の業務整理不足や、導入後の運用・定着設計が不十分なことに起因します。「導入すれば自然に使われる」と考えてしまうことが、失敗の大きな要因です。
SaaS導入前に必ずやるべきことは何ですか?
導入前には、現在の業務フローを整理し、「どの業務を、どのように改善したいのか」という目的を明確にすることが重要です。業務の棚卸しを行わずにSaaSを導入すると、ツールが定着しない原因になります。
SaaSはどのような業務に向いていますか?
SaaSは、業務フローがある程度標準化されている業務や、複数人で情報を共有・更新する業務に向いています。一方、独自要件が多い業務や高度なカスタマイズが必要な業務では、慎重な検討が必要です。
SaaS導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
ツールの種類や業務内容によりますが、シンプルなSaaSであれば数週間〜1か月程度で導入できるケースもあります。ただし、業務整理や運用設計を含めると、一定の準備期間を確保することが望ましいです。
ITに詳しい担当者がいなくてもSaaS導入は可能ですか?
可能ですが、導入や運用が属人化しやすいため注意が必要です。ITに詳しい人材がいない場合は、業務整理や導入設計を含めて外部の支援を活用することで、失敗リスクを大きく下げることができます。
SaaS導入は外部に相談すべきですか?
必須ではありませんが、「自社に合ったSaaSが分からない」「進め方に不安がある」場合は、早い段階で相談することで手戻りや無駄なコストを防ぐことができます。
特に中小企業では、第三者視点での整理が有効です。
GeNEEでは、業務の棚卸しからSaaS選定、導入後の定着支援までを一貫してサポートしています。
「導入すべきかどうか迷っている」という段階でも問題ありません。まずは現状整理や判断材料を得るための相談から始めてみてください。
ITに不安がある企業こそ、早い段階での相談が失敗回避につながります。
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GeNEEの開発実績製造業、小売業、流通業、印刷・出版業など、業界別のベストプラクティスを保持しています。
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慶應義塾大学卒業後、日系シンクタンクにてクラウドエンジニアとしてシステム開発に従事。その後、金融市場のデータ分析や地方銀行向けITコンサルティングを経験。さらに、EコマースではグローバルECを運用する大企業の企画部門に所属し、ECプラットフォームの戦略立案等を経験。現在は、IT・DX・クラウド・AI・データ活用・サイバーセキュリティなど、幅広いテーマでテック系の記事執筆・監修者として活躍している。
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